女子バスケットボールWリーグは、プレーオフ・ファイナルを迎えた。

今季を締めくくるファイナルは2戦先勝方式。4月16日(土)より、Wリーグ史上初となる国立競技場代々木第一体育館で、その熱い戦いは始まった。

ファイナルのカードは、6季ぶりファイナルの舞台で14季ぶりの優勝を目指す「富士通レッドウェーブ」vs 2連覇を目指す「トヨタ自動車アンテロープス」の戦い。

町田選手とのコンビプレーで得点を重ねた篠崎澪選手
町田選手とのコンビプレーで得点を重ねた篠崎澪選手
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GAME1の立ち上がり、富士通が完全に流れを支配した。篠崎澪選手が走って得点を取ると、司令塔・町田瑠唯選手のゲームメイクも光る。

ゲームメイクが光った司令塔・町田瑠唯選手
ゲームメイクが光った司令塔・町田瑠唯選手

トヨタ自動車は本来の力が発揮できず、重たい展開となった。第2クォーターに追い上げをはかるものの、再び富士通が主導権を握り、前半は41-31と10点のリードで折り返す。

後半に入っても富士通は宮澤夕貴選手、町田選手と篠崎選手のコンビプレーなどで得点を重ねる。しかしここでトヨタ自動車は山本麻衣選手が強気のシュートを沈めると、少しずつ息を吹き返す。

怒涛の追い上げを見せたシラ ソハナ ファトー ジャ選手
怒涛の追い上げを見せたシラ ソハナ ファトー ジャ選手

最終クォーターはトヨタ自動車、シラ ソハナ ファトー ジャ選手が次々にミドルシュートを決め怒涛の追い上げとなり、山本選手の3ポイントシュートでついに同点。

息詰まるシーソーゲームとなった終盤、富士通・町田選手が獲得したフリースローのチャンスを2本とも落としてしまい、会場には思わず声が漏れる場面も。最後はトヨタ自動車・山本選手がバスケットカウントで決着をつけ、74-69でトヨタ自動車が逆転勝利を飾った。

その立ち上がりが注目されたGAME2。

トヨタ自動車が勝てば2連覇、富士通が勝てば第3戦へ繋がる一戦は、互角の入りとなった。第2クォーター、一気にギアを上げたのはトヨタ自動車。

富士通はタイムアウトを取り、その流れを断ち切ろうとしたが、この試合もソハナ選手がしっかりと得点に絡み、山本選手、三好南穂選手が連続で3ポイントシュートを決めるなど、トヨタ自動車の勢いは止まらない。

富士通は町田選手がなんとか繋げるが、前半は43-29、トヨタ自動車リードで終了。

後半に入ってもトヨタ自動車ペースは変わらない。

得点で意地を見せた宮澤夕貴選手
得点で意地を見せた宮澤夕貴選手

富士通も篠崎選手、宮澤選手、内野選手などが得点し、点差を詰め意地を見せるが、第4クォーターになるとトヨタ自動車がほぼ20点のリードで試合は進む。

レギュラーシーズン2連覇を飾ったトヨタ自動車
レギュラーシーズン2連覇を飾ったトヨタ自動車
惜しくも優勝を逃した富士通
惜しくも優勝を逃した富士通

最後はベンチメンバーもコートに立ち、優勝へ一気に試合を進めた。最終スコアは87-71、トヨタ自動車が2連覇を達成した。

東京五輪3x3代表~5人制代表 進化を続ける山本麻衣選手

このファイナルの2戦、勝負どころでことごとくシュートを沈め、勝利に貢献したのがトヨタ自動車山本麻衣選手。

プレーオフMVPを獲得した山本麻衣選手
プレーオフMVPを獲得した山本麻衣選手

このプレーオフMVP初受賞となった。22歳の若手ながら3人制の東京オリンピック代表、さらには5連覇を達成した去年10月のアジアカップ、そして今年2月に行われたワールドカップ予選の日本代表選手でもある。

強気の3ポイントシュート、ねじこむバスケットカウント、自分自身を「点を取ることができるポイントガード」と言うがまさにその通りで、鮮やかに決まるシュートに観客が唸る場面は数知れず、勝利に不可欠な存在で、今回のWリーグ2連覇にも貢献した。

今季で引退を表明していた三好南穂選手
今季で引退を表明していた三好南穂選手

そして今季で引退を表明していたトヨタ自動車の三好南穂選手は溢れる涙を堪えきれず、会場も感動に包まれた。

日本代表でも活躍し、最後のシーズンを優勝で終え、自身もレギュラーシーズンでベスト5にも選出、まさに有終の美を飾った。

試合の後に表彰式が行われたアウォード表彰、受賞者は以下の通り。
 

・プレーオフMVP
トヨタ自動車・山本麻衣選手(初)
・プレーオフベスト5
トヨタ自動車・山本麻衣選手
トヨタ自動車・シラ ソハナ ファトー ジャ選手
トヨタ自動車・馬瓜ステファニー選手
富士通・町田瑠唯選手
富士通・篠崎澪選手
・レギュラーシーズンMVP
ENEOS・渡嘉敷来夢選手(2年ぶり8回目)

プレーオフベスト5(左から篠崎選手、町田選手、馬瓜選手、ソハナ選手、山本選手)
プレーオフベスト5(左から篠崎選手、町田選手、馬瓜選手、ソハナ選手、山本選手)

・ルーキー オブ ザ イヤー
シャンソン・吉田舞衣選手
・コーチ オブ ザ イヤー
トヨタ自動車・ルーカス モンデーロ ヘッドコーチ(初)
・レフリー オブ ザ イヤー
渡邊諭さん(初)
・ベストディフェンダー
三菱電機・渡邉亜弥選手(2年ぶり3回目)
・ベスト6thマン
トヨタ紡織・平末明日香選手(初)

・ベスト5〈ガード〉
富士通・町田瑠唯選手(2年ぶり5回目)
・ベスト5〈シューティングガード〉
トヨタ自動車・三好南穂選手(初)
・ベスト5〈スモールフォワード〉
デンソー・赤穂ひまわり選手(2年連続2回目)
・ベスト5〈パワーフォワード〉
ENEOS・渡嘉敷来夢選手(2年ぶり10回目)
・ベスト5〈センター〉
デンソー・髙田真希選手(6年連続10回目)

東京で銀、パリで金に向けて…女子バスケの挑戦は続く

東京オリンピックで銀メダル獲得、アジアカップでは前人未到の5連覇と、国内のみならず世界からも注目度が上がり開幕した今季の女子バスケットボール、Wリーグ。

レギュラーシーズンを盛り上げたアウォード表彰選手とトヨタ自動車、富士通
レギュラーシーズンを盛り上げたアウォード表彰選手とトヨタ自動車、富士通

史上初となる代々木第一体育館でのファイナルはGAME1に5,855人、GAME2には7,151人の観客が詰めかけた。この数字はWリーグの観客動員数の新記録となった。最上階まで埋まった観客席は圧巻で、そのなかでプレーをする選手たちは一際輝いて見えた。

新型コロナウイルスの影響で試合が延期・中止になるなど、イレギュラーなスケジュールが続くなか、選手たちはモチベーションを切らさず最後まで走り続けた。記録にも記憶にも残るシーズンとなったことは間違いないだろう。

Wリーグとしての行事は、ファン投票で選ばれた選手による年に一度の祭典、オールスター2021-2022が5月4日(水・祝)、5日(木・祝)に国立代々木第二体育館で行われ、終了する。

休む間もなく日本代表候補が招集~合宿を行い、6月18日(土)、19日(日)の女子日本代表国際強化試合(対戦相手調整中)など調整を経て、9月22日(木)からオーストラリアで行われるFIBA女子ワールドカップ2022本戦へと向かっていく。

東京で銀メダルの後は、「パリで金」の目標に向けて、彼女たちの躍進は続いてゆく。

船岡未沙希
船岡未沙希

東京フイルム・メート フリーランス 実況 インタビュー newsアナ
唐津生まれ魚育ち🐟
バスケと浜田省吾さんをこよなく愛しています✌︎
両膝前十字靭帯断裂→明治大学男子バスケ部主務🏀
スポーツと虎と料理と読書とHUMMERが好き
今年の目標は船舶免許を取ること⛴
私は本物になりたい◎
我が道をゆくがモットー🕶