夫は生産、妻は商品開発と、二人三脚で「信州サーモン」の新しい食べ方を研究。その魅力を全国に発信しようと奮闘している、「信州サーモン愛」にあふれた夫婦を取材した。

夫が「養殖」、妻が「商品開発」

信州サーモン
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長野県の水産試験場が開発したブランド魚「信州サーモン」。

定番の刺身

刺身やカルパッチョが定番だが、最近、ユニークな商品が開発された。

それは、肉を使って作ることが多いフランス料理のパテやリエット。信州サーモンが使われている。

考案したのは、長野・安曇野市の佐藤英二さん(51)、美絵さん(41)夫妻。2人にはそれぞれ役割がある。

佐藤英二さん、美絵さん夫妻

夫・英二さん:
自分の仕事は信州サーモンを育てる仕事で、育てた魚を嫁が加工して、お客さまに食べていただこうと始めた

夫の英二さんは信州サーモンの養殖を、妻の美絵さんは商品開発をして、その魅力を発信している。

夫・英二さん:
元気ですね、すごい暴れてますね

佐藤英二さん

英二さんは9年前、信州サーモンの養殖の仕事を始めた。

料理人から転身…育てるうちに愛情が深まって

夫・英二さん:
(養殖の仕事は)大変は大変なんですけど、やりがいのある仕事で、ここ(安曇野)に来て初めて生産者の立場になって、本当に楽しいですね

実は、英二さんは元料理人。海外の一つ星レストランで腕を振るっていた。アメリカやイタリアで経験を積み、帰国後も軽井沢のレストランで働いていた。

なぜ、料理人から生産者に転身したのだろうか?

夫・英二さん:
アメリカでもイタリアでも、とにかく食材を大切に扱っている。地場産の食材を扱って、生産者とのつながりがすごい強いっていうんですかね。生産者の存在が身近でなければいけないと、ずっと思っていた

 

英二さんは、軽井沢時代に「信州サーモン」の養殖業を営む安曇野の会社の求人をみつけ、新たな世界に飛び込んだ。
最初は3年ほど経験し、再び料理人に戻るつもりだったが、育てていくうちに奥深さを知り、信州サーモンへの愛情が深まっていったという。

夫・英二さん:
本当に面白すぎちゃって、辞められなくなっちゃいました。自分の子どものように大切に育ててあげたものを出荷するって、寂しいものもあるんですが、その先で喜んでいただけるお客さまがいれば、やっててよかったなって思います

試行錯誤して商品化

一方、妻の美絵さんは2021年の春、信州サーモンの加工品を販売する事業を立ち上げた。

美絵さんは、もともと美容師だったが、夫の影響もあり食に携わる仕事をしたいと考えていた。
そこで始めたのが、夫が育てた「信州サーモン」を使った商品開発だ。

新しい食べ方を提案したいと考えたのが、フランス料理。
信州サーモンの身と内臓をペースト状にして湯煎焼きにする「パテ」に、じっくり火を通した身をペースト状にした「リエット」などの開発に着手することにした。

「信州サーモン」を使った商品開発

妻・美絵さん:
私は料理を基礎から学んだ人間じゃないので、わからないことだらけなんですよね。これを足したらいいんじゃないかとか、抜いたらいいんじゃないかっていうのを、一歩一歩、ちょっとずつちょっとずつの試行錯誤をやりました

夫からアドバイスも得て、約1年の月日を経て、ようやく2021年2月に商品化が決まった。

信州サーモンのリエット

記者がリエットを試食…

記者リポート:
刺身と違って、バターや香辛料とうまくマッチしていて、さらに信州サーモン本来の味も残っていて、とてもおいしいです

安曇野スイス村ハイジの里(安曇野市)

今はオンラインでの販売がメインだが、10月からは地元の店舗などでも取り扱ってくれるようになった。

購入した客:
もともと信州サーモンが好きで、なかなか出会えなくて…おいしそうなものがあって、パンにも合いそうだし買ってみました

物珍しそうに見る客も…

訪れた客:
初めて見ました。知らなかったです

訪れた客:
(普段は)お刺身でいただくんですけどね。(パテ・リエットは)まだ食べたことない

商品を扱っている安曇野スイス村ハイジの里・下平光雄 副センター長:
こういった珍しい商品は積極的に売り場の方でも展開したいと思っていたので、それが一つの活性化にもつながりますので、いいかなって思っています

パンなどにのせるほか、どんな食べ方があるのか。元料理人の英二さんに、「パテ」を使った簡単な料理を教えてもらった。

まず、市販のトマトソースに炒めたタマネギとニンニクを混ぜ合わせる。

フライパンでパテをさっと炒める

続いて、フライパンでパテをさっと炒める。

夫・英二さん:
最初にトマトソースに(パテを)入れちゃうと、(全体の)味がパテの味になっちゃう

ソースに茹でたペンネと炒めたパテを入れ、あえる

最後に、茹でたペンネと炒めたパテをソースに入れて、あえたら完成だ。

信州サーモンの魅力を広めたい

育てる喜びに、作る楽しさ。そして、味わってもらう…。
「信州サーモン愛」にあふれた2人は、今後も食材の可能性を引き出し、全国にその魅力を広めていきたいと意気込んでいる。

夫・英二さん:
生産者の視線から、信州サーモンをごく一般に広めていきたいと思っている

妻・美絵さん:
より多くの人に、県内だけじゃなくて日本全国いろんな地域の人たちに食べてほしい。可能性は無限大で、いろんな可能性を秘めた魚なんだって、うちらが形にして…

夫・英二さん:
幅広く一般の人に広めていきたいね

(長野放送)

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