北海道札幌市の円山動物園で、飼育する鳥について驚きの事実がわかった。それは、雌雄の“つがい”と認識していたオニオオハシ2羽が、どちらも“雌”であったというのだ。

上:ポコ 下:トト(提供:円山動物園)
上:ポコ 下:トト(提供:円山動物園)
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円山動物園では、オニオオハシのトトとポコの2羽を2013年1月から飼育しており、今までトトは“雄”だと思われていた。しかし、2020年12月に採血を行い、DNA検査の結果で2021年3月に正確な性別が雌だと分かったというのだ。

最近では、別の動物園でも「雄だと思っていたフクロウが卵を産んだ」と話題となっていたが、鳥の性別の判別は難しいのだろうか?

(参考記事:飼育員どよめく…雄のはずのフクロウが「卵を産みました」!? “性別間違い”のワケを動物園に聞いた

DNA検査をする前はどのようにして判別していたのだろうか? そして今後、この2羽がどうなるのかも気になる。

円山動物園の担当者にいろいろ話を聞いた。

性別はくちばしと体の大きさで判別

ーーそもそも、オニオオハシはどんな鳥なの?

南米の森に生息しています。主に果物を食べますが、昆虫や小鳥なども食べます。見た目がとても美しいため【アマゾンの宝石】と言われています。大きなくちばしが特徴的ですが、このくちばしは体内の熱を放熱することができる仕組みになっています。


ーーDNA検査をする前は、どうやって性別を判別していたの?

オスはくちばしと体がメスよりも大きいです。基準となる数字はありますが、個体差が大きいため確実ではありません。


ーー他の動物と比べると、この判別は難しい?

くちばしや体の大きさでの雌雄判別のため、個体差によってわかりにくいケースがあります。

ポコ(提供:円山動物園)
ポコ(提供:円山動物園)

ーー2羽の大きさに差はあったの?

くちばしの長さ、全長、翼開長などは全てトトの方が大きいです。また、メスの繁殖期の流れとしては特に問題なく、卵の状態も良好でした。


ーー2羽とも雌だと疑い始めたきっかけを教えて

1羽あたり2~4個の産卵が通常ですが、2018年は巣内に6つの卵があるのを確認し、巣内にあった卵の数が1羽が産む数より多かったためです。

提供:円山動物園
提供:円山動物園

同園のサイトによると、2016年から繁殖に向けた取り組みを行っていて毎年産卵は確認されていたというが、孵化予定日にどちらかの個体が卵を巣外に運び出してしまい孵化に至らなかったそうだ。1羽が産み出すより多い6つの卵を確認した2018年からは、卵を巣外に運び出す前に検卵を行ったが、すべて無精卵だった。

そして、2020年には巣箱の内部を撮影できるカメラを新たに設置。より細かく観察を行ったところ、カメラの映像と卵の数から、雄と思われていたトトが産卵をした可能性が出てきたことから、DNAでの性別判定を行ったという。
 

「やっぱりという気持ちでした」

ーー雌だとわかった時、どう思った?

2018年6月からどちらもメスではないかという疑いが出ており、担当になった時(2020年10月)にはすでに疑いが出ていたため、やっぱりなという気持ちでした。また担当した時は、2021年の繁殖までに性別をはっきりさせなければならないと思いました。


ーー飼育している2羽について教えて

トト(雄だと思われていた個体):野生由来の個体のため生年月日などは不明。性格はポコよりも警戒心がつよい。

ポコ:野生由来の個体のため生年月日などは不明。性格はトトと対称的で、好奇心が旺盛。

トト(提供:円山動物園)
トト(提供:円山動物園)
ポコ(提供:円山動物園)
ポコ(提供:円山動物園)

ーー今後、2羽はどうなるの?

飼育中のオニオオハシの今後についてですが、オニオオハシは現在国内で飼育している動物園で協力して繁殖に取り組んでいる動物種であるため、当園では今後もこの計画に参画し、協力して進めていく必要があると考えております。

現時点ではこの2羽を別々に飼育する予定はございませんが、繁殖を目指してオスを導入することとなった場合、オニオオハシは繁殖期には縄張り意識が強くなり、つがい以外への攻撃なども見られるようになるため、飼育方法の検討が必要になるところです。今後の飼育については国内の血統を管理している担当者とも調整して進めていきます。

現在は国内で血統を管理している計画管理者と調整している段階ですので、具体的にいつ、どこの、どの個体や動物園といった話はございません。

 

今回のDNA検査で判別したオニオオハシの性別。今後については調整中とのことだが、トトもポコも産卵することができる貴重なメスであることから、今後は雄を迎えるなどをして、繁殖に取り組んでいくという。

 

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プライムオンライン編集部
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