東京五輪で女子代表を銀メダルに導き、新たに男子を率いるトム・ホーバス(54)ヘッドコーチの新たな船出は、順風満帆とはいかなかった。

「勉強になった」中国に大敗も収穫

バスケットボール男子23年W杯アジア1次予選が28日に行われ、世界ランク35位の日本は16点差で完敗した前日に続き、アジアの強豪・中国に歯が立たず100点ゲームを喫した。

この記事の画像(5枚)

平均身長は中国より7センチ低い。「スピード」で中国の「高さ」に対抗を図るも、第1クオーターから2桁リードを奪われた。第2Qに34歳のベテランシューター古川孝敏(秋田)が3Pシュートを連続で決めて、一時はリズムをつかむも、その後は中国の高さに加え、素早いパス回しからの3Pシュートと速攻で得点を許す展開。33点差の惨敗となった。

改革に掲げる「3Pシュート」は32本と多投したが、射抜いたのは8本で成功率25%と低調だった。対する中国は14本もの3Pシュートを沈め、成功率58%という驚異的な数字だった。

インサイド(ゴール下)に選手を配置せずアウトサイド(3Pラインの外側)に5人の選手を配置する“ファイブアウト(5OUT)”の小さいチームが勝つためのオフェンス戦術を試みるも、連携ミスも目立った。

初采配から連敗で厳しい現実を突きつけられたが「いろいろと勉強になった。悔しいが、ポジティブなこともある」と収穫も口にした。

初招集の寺嶋良が16得点

収穫は代表初招集の寺嶋良(24・広島ドラゴンフライズ)が指揮官の求める「ハイスピード」を体現するかのようにドライブで果敢にアタックし16得点。若手の台頭が光った。

「出ている時間帯は最後までハッスルしようと思いプレーした。得点は良かったが、ガードとしてクリエイトできていない部分もあった。これが旅の始まり。頑張っていきたい」

さらには最終盤残り6秒から同じく初招集の岸本隆一(31・琉球ゴールデンキングス)が“ディープスリー”を沈めて意地も見せた。

23年W杯へ「間違いなく上手くなる」

「出だしは良くなかったが、後半の気持ちの持ち方は良かったし、最後までプレーを続けてくれた。この歴史のスタートはあまりよくなかったが、我慢して下さい。間違いなく上手くなる。23年のW杯ではもっともっといいバスケを見せる」と巻き返しを誓った。 日本は開催国枠でW杯出場権を得ており、次は来年2月にチャイニーズタイペイと対戦する。

バスケットボール男子23年W杯アジア1次予選  日本73ー106中国 (ゼビオアリーナ仙台・28日)

(フジテレビ 加藤忍)

加藤忍
加藤忍

早稲田大学卒業。フジテレビ入社。スポーツ局すぽると!ロッテ担当、ヤクルト野球中継などを経て現在は報道局兼スポーツ局。