沖縄戦の激戦地だった沖縄本島南部の土砂を、名護市辺野古の埋め立てに使用する国の計画を巡って、「遺骨の問題は沖縄だけの問題ではない」と若者たちが行動を起こしている。
若者たちの陳情・請願により、県外の地方議会で「遺骨が混じる土砂を使用しない」よう国に求める意見書の採択が相次いでいる。

沖縄在住経験ある女性が石川県内の市議会に…

2021年9月27日、石川県の珠洲市議会は「沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂を使用しないよう求める意見書」を全会一致で可決した。

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沖縄から遠く離れた石川県の珠洲市議会で意見書を可決するきっかけを生んだのは、珠洲市に住む坂本菜の花さんが議会に請願した事だった。

坂本菜の花さん:
沖縄で起こっているいろいろな問題というのは、沖縄に原因があって沖縄で起こっている問題じゃなくて、原因はこちらにあって、それが表れている問題だという風に学んだので…

菜の花さんは高校3年間を沖縄県のフリースクール珊瑚舎スコーレで過ごし、戦争で学ぶ機会を奪われたお年寄りたちの言葉や、普天間基地の辺野古移設問題の現場を自分の足で歩き、沖縄の問題に向き合ってきた。

坂本菜の花さん:
沖縄で起こっている、沖縄に押し付けている問題に、何かしたいなと思って、動く自分でいたいから

2021年3月、遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表が、沖縄本島南部から土砂を調達して辺野古の埋め立てに使用する計画中止を求めて、ハンガーストライキを行った。その体を張った訴えに、菜の花さんは呼応した。

2021年3月

坂本菜の花さん:
まだ遺骨が手元にない方がもし石川県にいらっしゃるのなら、知らぬ間にその遺骨が一生戻ることがなくなる、手元に帰ってくることはなくなってしまうかもしれないということを考えたときに、知った以上は何か動かないと後悔するなと思って

すべての都道府県から死者を出した沖縄戦。石川県出身者も1000人近くが沖縄戦で命を落とした。
地中に眠る遺骨は、沖縄だけの問題ではないことを多くの人に知ってもらうために、市議会への請願と合わせて署名活動も行った。

坂本菜の花さん:
それで何か変わることを期待するんじゃなくて、これをきっかけに採択になっても不採択になってもどちらにせよ、報道の仕方はありますし、新聞でもテレビでも大きな媒体使って、もっと多くの人に知ってもらうためにしようと思いました

「沖縄だけの問題じゃない」大阪でも…

石川県珠洲市議会に先駆けて2021年6月、大阪府の茨木市議会でも沖縄戦の戦没者遺骨を埋め立てに使用しないことを国に求める意見書が可決された。

茨木市議会に陳情した西尾慧吾さんは、この問題を本土のメディアがほとんど報道しなかったことがきっかけと話す。

西尾慧吾さん:
最初に一番気になったのは、大和と沖縄の温度差なんですね。沖縄でこうした問題が起こっていることすら認知されていないし、ましてや意見書を上げてくださいとか言ったら、「なんで大和でそういう意見書を上げないといけないのかよくわからん」という反応をされました

西尾さんはこうした声に繰り返し説明を続けた。

西尾慧吾さん:
これは決して沖縄問題として他人事のように扱ってはいけない問題ということ、沖縄戦戦没者遺族というのも日本全体にいますし、そもそもこれだけ非人道的な工事の計画を作っているのは国なので、沖縄が進めている政策ではないですから、じゃあ日本全国で問題提起することなんですよと

西尾さんの粘り強い姿勢は議会を動かし、戦没者遺骨の問題についての意見書は、市議会のすべての会派の幹事長が提出者となって全会一致で可決された。
一方、意見書には「辺野古」や「基地」の文言はない。

西尾慧吾さん:
問題の本質に触れていない弱さはあるんですけど、少なくとも、この問題を入口に改めて辺野古の工事について勉強してみようとか、どうして沖縄に7割もの米軍専用施設が集められているかとか、広く議論するための入口としても使える話題であったのかなと思っています

坂本菜の花さん:
今回議会で採択されて、「よかった!おしまい」じゃなくて、この半年の動きで心に響かなかった人たちとか、署名できないといった人たちも一緒になってできることとか、もう少し広い範囲で届く形は何だろうなと考えないといけないと思っています

県外の若者たちは、今も戦没者の遺骨が置かれた問題に心を寄せて、離れた場所でできることを模索し続けている。

(沖縄テレビ)