長引く休業に限界の声…経済回復への一手

例年であれば、夏場は多くの観光客で賑わいを見せていた沖縄県石垣市。

新型コロナウイルスの影響により、人通りはまばらで市内の飲食店の多くは休業している。飲食業などで組織する組合には、長引く休業要請に「限界」という声が寄せられている。

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感染リスクを減らしながら経済を回していく。その大きな難題に直面し、試行錯誤が続いてる。石垣市ではワクチンを接種したことを証明する市民が、飲食店などで特典を受けられるサービスを2021年10月1日からスタートさせ経済の回復を狙う。

沖縄県飲食業生活衛生同業組合 八重山支部 大野等副支部長:
早めに緊急事態宣言を解除してほしいとか、酒(提供)がないとどうしても成り立っていけませんので…居酒屋さんとか低料金でやっている店は特にです

経済活動の再開と感染防止対策の両立を図るため石垣市が始めるのが、ワクチンの接種を証明すれば飲食店などで割引や特典のサービスを受けることができる、いわゆる「ワクチンパスポート」。

スマートフォンなどで専用のページにアクセスして生年月日や接種券番号を入力すると、接種した回数などが表示される。

石垣市 企画政策課 棚原輝幸係長:
接種証明書を活用して、飲食店であればインセンティブをワクチン接種証明書を提出した方にお出しするとか。施設の方に関しては、接種証明書を持っていくことによって入場人数制限を緩和したりですね

石垣市でワクチンの2回接種を終えた12歳以上の市民は、9月26日時点で77.75%と沖縄県内11の市の中で最も高くなっている。

沖縄県飲食業生活衛生同業組合 八重山支部 大野等副支部長:
「飲食店=マイナス」とかバツ印をつけられた状況でしたけど、店によって一生懸命やっている店もたくさんありますから。それを提示することによって地元の人間の安心安全、そして従業員の安全のためにも一番効果があっていいかなと思います

ワクチンを打てない人にも配慮

9月25日に開かれた経済対策関係団体会議では、ワクチン接種証明をめぐって、若い世代がワクチンを接種しようという動機づけに繋げるため、積極的に活用すべきという声も高まっている。

沖縄県 玉城デニー知事:
専門家会議の先生方も、ぜひ若い人たちのワクチン接種のモチベーションを上げたいと

経済対策関係団体会議で発言する玉城デニー知事
経済対策関係団体会議で発言する玉城デニー知事

沖縄県飲食業生活衛生同業組合 上原正彦専務:
ワクチンを接種した人に対しては、優先的にアルコールを提供している店に入れるというのを県にプッシュしていただきたい

経済対策関係団体会議にて
経済対策関係団体会議にて

石垣市 中山義隆市長:
単純な仕組みで出来れば、県が統一して作っていただいて全県的にできないかと

経済対策関係団体会議にて
経済対策関係団体会議にて

一方、ワクチンを接種していない人が不利益にならないよう配慮することも必要だ。

石垣市ではアレルギーなどでワクチンが打てない市民を想定し、検査で陰性であることを証明すれば同様のサービスが受けられるように調整を進めている。

石垣市 企画政策課 棚原輝幸係長:
ワクチン接種サービスを活用しながら経済対策をしっかり行うことが、石垣の経済がもう一度浮上するきっかけには必要じゃないかと考えています

新型コロナウイルスの流行を抑えながら地域経済を回復させる取り組みが始まる。ワクチンパスポートの活用は、飲食店や施設のみならずホテルでの「宴会」にも活用できないかと、観光業者も期待を寄せている。

沖縄県もプロジェクトチームを作って導入に向けて検討を進めていて、10月に実証実験を行った上で11月からの運用を目指している。

(沖縄テレビ)

沖縄テレビ
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