長引くコロナ禍で、ふるさと・松山に里帰りできない人たちに懐かしいあの味を楽しんでもらいたい…
愛媛・松山市の鍋焼きうどんの老舗が新たなサービスを始め、人気になっている。
コロナ禍で人気の“老舗”も打撃
(SNSの書き込み)
「東京で故郷の味。懐かしい、温かい、おいしい、ありがたい」
「久々で染みわたりました! 早くまたお店に食べに行きたい!」

SNSに書き込まれた感激の声。鍋焼きうどんの老舗が始めた全国発送サービスが、コロナ禍で全国のファンを喜ばせている。

鈴木瑠梨アナウンサー:
松山のソウルフード、ことりの鍋焼きうどんです。だしとうどん、最高ですね。この味がおうちでも楽しめるんです
創業72年、松山の名店「鍋焼うどん ことり」は、地元の人たちだけでなく観光客にも大人気だ。

行列の絶えなかった老舗も、新型コロナの感染拡大で大きな打撃を受けた。
ーー売り上げは?
「鍋焼うどん ことり」3代目・中矢有伊子さん:
めちゃくちゃ減っています。約半分ぐらいは影響があります

客足が鈍り始めたのは、緊急事態宣言が愛媛を含め全国に拡大された2020年4月だった。
店は、テイクアウト用の鍋焼きうどんセットの販売を始めた。

しかし、その後も感染拡大は収束せず、2年連続でお盆に帰省の自粛が呼びかけられる事態となった。
「客と店を守る」全国発送が人気に
「鍋焼うどん ことり」3代目・中矢有伊子さん:
(ことりの鍋焼きうどんが)楽しみで帰ってくる方もいらっしゃるんですけど、そういう方が帰ってこられないのと、あとは純粋にお店を守らなきゃいけないということで、両方のことを考えてやろうと決めました

こうした中、3代目の中矢さんは家族の心配を押し切り、8月に創業以来初めてとなる鍋焼きうどんの全国発送に踏み切った。

「鍋焼うどん ことり」2代目・祖父の森田史之さん:
若い人の発想ですからね。私らにとっては「どんなかな」っていう心配はありましたけど、それでもコツコツやってるからね。まあ、これで何とかいけるかなっていう

「鍋焼うどん ことり」3代目・中矢有伊子さん:
やっぱり初めてのことなので、「発送なんて」というのが一番最初の言葉だったんですけど、「やらなかったらなくなるよ、お店」と、もう強引に進めた感じはありますね
ーー開発時のこだわりは?
「鍋焼うどん ことり」3代目・中矢有伊子さん:
一番は、おだしですね。おだしが冷蔵庫に入れると濃くなってしまうので、しょうゆの量をちょっと減らして、届いた先でも大丈夫なようにあわせて発送するようにはしてますね

長距離輸送で時間がたっても、店の味をきちんと再現できるよう、試行錯誤を重ねた納得のうどんセットは、1日に30~40食分作るのが限界だ。
しかし、そのかいあって評判は瞬く間に広がり、店の公式インスタグラムに多い時には一度に100食の注文が入ったこともあるそうで、先の見えないコロナ禍で確かな手ごたえをつかんだようだ。

「鍋焼うどん ことり」3代目・中矢有伊子さん:
いつ来ても、ここに「ことり」があるって思っていただいてる方もいらっしゃると思いますから、その思いに応えたい
懐かしの味を守り続ける、老舗の新たな挑戦は続く。
(テレビ愛媛)