非常に強い台風14号は、12日昼すぎから夕方にかけて、沖縄県の先島諸島に最接近する見通しで、暴風などに厳重な警戒が必要となる。

そんな台風シーズンの今は大雨や強風に注意が必要だが、自宅周辺の対策として見落とされがちな場所がある。それがエアコンの「室外機」だ。

家電メーカーのパナソニック(大阪市)が、2020年夏の台風接近時に人々がどのような対策をしたのか、全国的なインターネット調査を行った。(調査日:2021年7月20日、調査対象:20代以上の男女1651人)

ここで室外機の対策をしたか聞いたところ、「はい(10.5%)」「いいえ(87.1%)」「覚えていない(2.4%)」となり、約9割が何もしていなかったのだ。対策不足のために「倒れて吹き飛ばされた」「エアコンが壊れた」などの被害の声も聞かれたという。

9割が室外機対策をしていない(画像提供:パナソニック)
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調査では、屋外・屋内で行った台風対策も複数の選択肢で聞いていて、屋外では「窓や雨戸はしっかりと閉める」(66%)が最も多く、次点で「鉢植えやゴミ箱などは風で飛ばされないように固定したり、家の中へ格納する(47.6%)」が行われていた。

屋外対策の調査結果(画像提供:パナソニック)

屋内では「停電時に備え、携帯ラジオ、懐中電灯、ローソクなどを用意する(38.7%)」が最も行われていて、次点で「外からの物が飛んできた場合に備え、カーテンやブラインドを閉める(33.4%)」などの備えがされていた。

屋内対策の調査結果(画像提供:パナソニック)

その一方で、屋外では23.1%、屋内については40.1%が特に対策をしていなかった。備えている人といない人が分かれ、特に屋外では室外機は忘れがちなようだ。

ではなぜ、台風シーズンに室外機の対策が必要なのか。備えといってもどうすればいいのだろう。パナソニックの担当者に聞いてみた。

エアコンは室内機と室外機がセットで動作するもの

――今回の調査結果をどう受け止めている?

台風接近・通過時の対策はされていますが、室外機までは注意が回らないのではという印象です。エアコンは室内機と室外機がセットで動作するものなので、室外機も気にかけていただく必要があります。

室外機には心臓部であるコンプレッサー・電子基板や放熱用ファンなど、重要なパーツが搭載されています。台風接近時・通過時の環境下で運転すると、室外機正面から強い風などを受けた際などに放熱用ファンの回転が妨げられて運転が停止したり、強風による飛来物の衝突などで破損・変形などのリスクもあるため注意が必要です。

室外機が動作してこそエアコンは運転できる(画像提供:パナソニック)

――台風で室外機にはどんなトラブルが発生するおそれがある?

大きく(1)大雨による「浸水・水没」被害、(2)強風による運転時の異常、室外機の定位置からの移動・転倒によるガス漏れ、飛来物による損傷が考えられます。

(1)は室外機本体の底面を超えるような浸水が起こった場合です。ファンやモーターの損傷で運転が停止する可能性があるほか、不純物が含まれた泥水が室外機内部の電装部品(基盤やコンプレッサーなど)に入り込み、漏電や発煙・発火に至る可能性があります。

浸水がおさまり、水は乾いても残された不純物が漏電などを引き起こす可能性があります。漏電は発生するとブレーカーが落ちることもありますので、そのような場合はすぐに運転を停止し、室内機の電源プラグを抜いて購入先の販売店などにご相談ください。

浸水した場合の対処法(画像提供:パナソニック)

――(2)の強風のトラブルはどのような影響がある?

室外機の位置がずれたり転倒している場合、接続配管や接合部の変形などによる「冷媒(ガス)漏れ」が発生することがあります。冷媒ガスは直接人体に触れると凍傷の危険性もありますので、自分で元の位置に戻したり、倒れた室外機を起こしたりはしないでください。

転倒や位置がずれた場合の対処法(画像提供:パナソニック)

飛来物による大きな打痕や変形などがあった場合、内部損傷のリスクも考えられます。運転中にタイマーランプが点滅し、エラー表示が出た場合などは使用をやめ、購入先の販売店などに相談してください。ホームセンターなどで販売されている「室外機カバー」は運転時に使用すると放熱妨害などで機器への悪影響がありますが、運転停止時であれば小さな飛来物を避ける、ファンの破損を避けることができるので、一時的な使用は有効だと思います。

室外機カバー(画像はイメージ)

台風の時にエアコンは運転できる?

――台風の時にエアコンは運転していいの?

室外機の底面まで水位が達していない場合は運転可能なこともありますが、浸水・水没のリスクが高い場合は運転を停止し、室内機の電源プラグを抜くことをおすすめします。

室外機が浸水・水没した場合は運転しないでください。水分が乾燥したと思われる場合も同様です。不具合が発生している可能性が高いため、購入先の販売店などにご相談ください。当社では室外機本体の下面(室外機本体の脚部から)より約5cm以上浸水したときは、修理不可と判断しています。

浸水・水没のリスクがあれば運転は避ける(画像はイメージ)

――台風での泥水が室外機から室内に運ばれることはある?

室内機と室外機は多くの場合、壁にあけた穴(貫通穴)でつながっていて、接続配管・電線・ドレンホースなどが通っています。配管内に外気や水分が入り込むことはありませんので、汚泥を含んだ風が室内に運ばれるようなことはありません。ただし、貫通穴のカバーなどが破損・脱却すると、屋外の雨風が侵入することも考えられます。

室内機と室外機は貫通穴でつながっている(画像はイメージ)

また、ドレンホースは壁と垂直に設置されていますが、マンションなどでは地面を這わせて排水溝まで引っ張っていることもあります。その場合はホース先端が水没やごみでふさがると、室内機の結露の排出が妨げられ、室内機から水漏れが発生することがあります。

室外機の“備え”は置台や転倒防止金具

――室外機の台風対策にはどんなものがある?

基本は風雨並びに直射日光を避けられる場所への設置をおすすめしています。室外機の底面まで水位が達していない場合であれば運転可能なことが多いので、浸水・水没の予防策としては、設置場所を高くできる「高脚置台」の使用をおすすめします。

強風の予防に関しては、室外機の置台をコンクリート製などの自重があるものにすること。加えて、室外機が動かないよう「転倒防止金具」などで補強することをおすすめします。

(画像提供:パナソニック)

ドレンホースが地面を這っているような場合は「エアカットバルブ」を取り付けると、ホースからの外気の浸入を抑制し、ドレン水(冷房・除湿運転時に室内機で発生する結露水)の導通が確保でき、異常音(ポコポコ音)の発生も抑えることができます。但しバルブ先端などがごみなどでふさがれると目詰まりしますので、室内機水漏れの原因とならないよう取り除いてください。

(画像提供:パナソニック)

――室外機の異変が分かるサインなどはある?

室内機と室外機はお互いの運転情報をやり取りして制御をしています。室外機に浸水・水没や強風で異常が発生した場合は、室内機でもタイマーランプが点滅したり、不具合内容を「エラーコード」(アルファベットと数字。室内機やリモコンに表示される)でお伝えします。

エラーコードと不具合内容は購入時の取扱説明書にも記載されていますので、販売店などへの相談の際は、表示されたコードを伝えることでより適切な処置を行えます。

(画像提供:パナソニック)

重大なエラーは運転を停止しますので、個人でも「エアコンをつけていたのに暑い」などと感じた場合、エラーコードが出ていないか確認してみてください。強風で室外機がずれた場合、運転時に「ガタガタ」という大きな音が聞こえることもあります。


――最後に、台風シーズンはどのように気を付けてほしい?

台風はエアコンにも異常を引き起こすことがありますが、室外機の浸水の程度を個人が計測するのは難しくもあります。トラブルは再運転したときに発生することも多いので、浸水の可能性があるときは個人で判断をせず、室内機の電源プラグを抜いた上で販売店や専門業者にご相談いただければと思います。

運転の急停止や異音を感じた場合は注意(画像はイメージ)

室外機は屋外にあるため、普段は存在を忘れがち。それでも、エアコンの動作には欠かせないものだという。台風がよく通る地域では、室外機の置台などを工夫したり、運転前に浸水や水没した可能性はないかの確認をすると備えになるかもしれない。

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