ではなぜ、台風シーズンに室外機の対策が必要なのか。備えといってもどうすればいいのだろう。パナソニックの担当者に聞いてみた。

エアコンは室内機と室外機がセットで動作するもの

――今回の調査結果をどう受け止めている?

台風接近・通過時の対策はされていますが、室外機までは注意が回らないのではという印象です。エアコンは室内機と室外機がセットで動作するものなので、室外機も気にかけていただく必要があります。

室外機には心臓部であるコンプレッサー・電子基板や放熱用ファンなど、重要なパーツが搭載されています。台風接近時・通過時の環境下で運転すると、室外機正面から強い風などを受けた際などに放熱用ファンの回転が妨げられて運転が停止したり、強風による飛来物の衝突などで破損・変形などのリスクもあるため注意が必要です。

室外機が動作してこそエアコンは運転できる(画像提供:パナソニック)
室外機が動作してこそエアコンは運転できる(画像提供:パナソニック)

――台風で室外機にはどんなトラブルが発生するおそれがある?

大きく(1)大雨による「浸水・水没」被害、(2)強風による運転時の異常、室外機の定位置からの移動・転倒によるガス漏れ、飛来物による損傷が考えられます。

(1)は室外機本体の底面を超えるような浸水が起こった場合です。ファンやモーターの損傷で運転が停止する可能性があるほか、不純物が含まれた泥水が室外機内部の電装部品(基盤やコンプレッサーなど)に入り込み、漏電や発煙・発火に至る可能性があります。

浸水がおさまり、水は乾いても残された不純物が漏電などを引き起こす可能性があります。漏電は発生するとブレーカーが落ちることもありますので、そのような場合はすぐに運転を停止し、室内機の電源プラグを抜いて購入先の販売店などにご相談ください。

浸水した場合の対処法(画像提供:パナソニック)
浸水した場合の対処法(画像提供:パナソニック)

――(2)の強風のトラブルはどのような影響がある?

室外機の位置がずれたり転倒している場合、接続配管や接合部の変形などによる「冷媒(ガス)漏れ」が発生することがあります。冷媒ガスは直接人体に触れると凍傷の危険性もありますので、自分で元の位置に戻したり、倒れた室外機を起こしたりはしないでください。

転倒や位置がずれた場合の対処法(画像提供:パナソニック)
転倒や位置がずれた場合の対処法(画像提供:パナソニック)

飛来物による大きな打痕や変形などがあった場合、内部損傷のリスクも考えられます。運転中にタイマーランプが点滅し、エラー表示が出た場合などは使用をやめ、購入先の販売店などに相談してください。

室外機カバー(画像はイメージ)
室外機カバー(画像はイメージ)

ホームセンターなどで販売されている「室外機カバー」は運転時に使用すると放熱妨害などで機器への悪影響がありますが、運転停止時であれば小さな飛来物を避ける、ファンの破損を避けることができるので、一時的な使用は有効だと思います。