オリパラは成功し菅は退陣した

東京パラリンピックが閉幕した。閉会式で「私たちは特別ではない」というメッセージを見てホントにそうだなと思った。日本人にとってパラリンピックが身近なものになった大会だったのではないか。オリンピック以上に開催できて良かった、と思った人は多いだろう。

その2日前、菅首相が退陣を表明した。翌日の朝日と読売を読んでへーっと思った。両紙の政治部長の解説の見出しがほぼ同じだったのだ。朝日「説明を尽くさぬ姿勢 限界に」読売「説明尽くす姿勢見えず」。普通、朝日と読売は正反対の見出しだったりするのだが、電話してすり合わせでもしたのだろうか。

どうやら新聞記者は菅さんの退陣は国民への説明が足りなかったのが理由だと思っているらしい。確かに菅さんは口下手だった。もともと無口な人である。よくしゃべる人からするとぶっきらぼうに見えることもある。

口下手だった菅首相
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時代遅れの首相が辞めた

ただ菅さんは東京オリパラを力づくで開催した。それからコロナワクチンを1日に百万人接種というのも力技だった。よくやるなあと思った。いずれも安倍前首相ではできなかったのではないか。安倍さんはもちろん体調を崩したのが辞任の理由だが五輪開催とコロナ対策をやる気力が残っていなかったということもあったと思う。菅さんはこの二つの大仕事と引き換えに退陣したのかもしれない。

菅さんはこの二つを黙々とこなした。ただ昔は「不言実行」が美徳だったが、今は「説明責任」の時代だ。そういう意味で菅さんは時代遅れだった。菅さんが辞めて残念に思っている僕もそうだ。ただペラペラと調子よく「説明を尽くす」が、実行が伴わない政治家は好きになれないのだ。

さて自民党総裁選である。まず先週の調査では二階批判と菅氏への対抗馬ということで支持率が上がった岸田前政調会長だが、首相退陣表明後の今週の読売調査でも①河野30%②石破21%③岸田12%(自民支持層)と悪くない位置につけている。

本命岸田、対抗河野、大穴高市

河野規制改革相は派閥の領袖の麻生財務相が「オメー、本当に出るのかよ」的な態度だし、高市前総務相は安倍氏の支援が細田派全体に広がってはいない。石破前幹事長は出ないみたいだし、岸田氏の芽は十分にある。むしろ本命かもしれない。

河野氏は確かに麻生派内ではまとまっていないが、党員や若手議員が「選挙の顔」と考えれば小泉純一郎元首相のようにブレイクする可能性がある。一応対抗馬だが実際は本命か。

高市氏は女性であることと、唯一の保守派という強い武器がある。岸田、河野両氏に決め手がないので、とにかく1回目の投票で2位以内に入って2回目に進めばチャンスは残っている。

高市氏は唯一の保守派という強い武器がある

最大の見どころは安倍、麻生両氏の態度である。彼らは現時点ではあいまいな態度だが、本音では「今回は岸田氏でいいんじゃないか」と思っているに違いない。麻生氏が「河野はまだ早い」と考えているからだ。そして安倍、麻生は最後は連携する。

最大の見どころは安倍、麻生両氏の態度

ただ、もし一回目の投票で岸田、河野が接戦となり二回目に進んだ場合、安倍、麻生は河野を捨てて岸田に入れるのか、難しいところだ。安倍、麻生と岸田が組み、河野、菅、石破、進次郎が組む、という対決構図は、力が妙に拮抗しており、自民党の分裂を予感させる、非常に危険な匂いがするのだ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】