高知市の牧野植物園で今、ある小学生ガイドが人気を集めている。高知県ゆかりの偉人をこよなく愛する、小さなガイドの熱い夏にせまった。

自ら志願し、牧野富太郎博士の専門ガイドに

夏休みを前に通知表をもらう女の子。小学5年生の川本琉楓(るか)ちゃん。

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川本琉楓ちゃん:
4年のときより成績が良くなっちょった

学校では友達と楽しそうに遊んでいるが、休みの日になると…

川本琉楓ちゃん:
みなさんこんにちは。今日はよろしくお願いします

月に1回、日曜日にガイドに変身!

語るのは、「日本植物分類学の父」とされる牧野富太郎博士の生涯。

高知県佐川町出身で、約1500種類以上の植物を命名した高知の偉人だ。博士の業績を記念して開設された高知市の牧野植物園が、ガイドの舞台となっている。

川本琉楓ちゃん:
牧野富太郎先生は高知県佐川町、造り酒屋の1人息子です。明治維新の6年前に生まれました

小さなガイドのスピーチにお客さんも聞き入る。

川本琉楓ちゃん:
牧野富太郎先生は体があまりにも弱かったので、裏の山で1人で階段を上ったり下りたりして、植物を友達にして遊びました。貧乏のどん底になっても諦めず努力したっていう生き方が好きです

客:
牧野先生への愛と植物への愛が伝わってきて、すごく感動しました

客:
牧野富太郎先生がすごく好きなんだなって、本当に一途に頑張っていて感心しました

琉楓ちゃんと牧野博士の出会いは小学1年生の時。高知の魅力を伝える「こうち子ども観光大使」に任命されたことがきっかけで、牧野博士の勉強を始めた。

本や展示を見たり、植物の観察日記をつけているうちにどんどん牧野博士の虜に。自ら牧野植物園にお願いし、“牧野博士専門のガイド”になったのだ。

観光ガイドをしている祖母の廣美さんを見て話し方を学ぶ

2019年、ガイドを始めてまだ1年の琉楓ちゃん(当時小3)。

川本琉楓ちゃん:
その山の名前は金峰山です。ちなみに私も登ってみました。きれいな所で、きれいな空気で、まるで妖精が飛んでくる感じがしました

この頃は1日1回のガイドだったが、「琉楓ちゃんの話をもっと聞きたい」というお客さんの声が増えたことから、今では午前と午後の2回任されるようになった。

そんな琉楓ちゃんの成長を見守ってきたのが、祖母の廣美さん。

祖母・廣美さん:
ひとりふたりの時と大勢の時と(話し方は)全く変わらない、丁寧で。端からずーっと見てるでしょ。お客さんを見てるんです。お客さんの反応に合わせて(話し方を)変えてます

そう話す廣美さんも、実は佐川町で観光ガイドをしている。そんな祖母の姿を見て、琉楓ちゃんは話し方を学んだ。

川本琉楓ちゃん:
牧野富太郎先生は、仙台で見つけた笹に感謝の気持ちを込めて、お嫁さん(寿衛さん)の名前を取ってスエコザサと名づけました。その時に牧野富太郎先生が寿衛さんに作った歌があります。「家守りし 妻の恵みや我が学び 世の中のあらん限りや スエコザサ」

ガイドに対して妥協はなし 毎回欠かさず“反省ノート”に記録

午前のガイドが終わってランチタイム。ひと仕事を終え、ほっと一息。緊張がほぐれたのか…

祖母・廣美さん:
ばーば笑かすの簡単よ、言うてね。必ず笑かしてくれるの。はい、どうぞ

祖母にダンスを披露するなど、いつもは茶目っ気あふれる琉楓ちゃんだが、ガイドに対する妥協はない。

琉楓ちゃんが見せてくれたのは「反省ノート」。そこにはこう書かれていた。

「自分であまりよくなかったので残念。心が入ってませんでした」
「ペースが早かった。がんばろう」

川本琉楓ちゃん:
反省の部分は次回に生かすために記録して、もっと分かりやすくお客さんに伝えるために書いてます

毎回、欠かさず書き続けてきたこのノートは、琉楓ちゃんにとってガイドへの真剣な思いが詰まった“宝物”だ。

小学校卒業のタイミングでガイドは辞め、妹に引き継ぐことに

夏の山道を元気よく駆け抜けて行くのは、琉楓ちゃんの妹・絆心(きずな)ちゃん。

夏休みのこの日、琉楓ちゃんが絆心ちゃんを連れてやってきたのは、牧野富太郎博士のお墓。大好きな牧野博士にある報告をしにきた。

川本琉楓ちゃん:
(牧野博士に)中学校になったら、私はお話(ガイド)は辞めるけど、妹がこれからやってくれるので大丈夫ですって言いました

琉楓ちゃんは中学校で勉強や部活に専念するため、小学校を卒業するタイミングで絆心ちゃんにガイドを引き継ぐことを決めている。

絆心ちゃんはまだ5歳、牧野博士の勉強はこれからだ。そんな妹に琉楓ちゃんは優しく教える。

川本琉楓ちゃん:
植物分類学の父、言ってみて

絆心ちゃん:
しょくぶつぶんるいがくのちちとよばれています

川本琉楓ちゃん:
言えたじゃん!

絆心ちゃん:
言うところ(おしゃべり)がすごい。ねえねみたいになりたい

川本琉楓ちゃん:
まだちっちゃいし、保育園児だから、牧野富太郎先生の魅力や良さがわかってないと思うけど。(練習を)していって、牧野富太郎先生の魅力をわかっていってもらいたい。愛もちゃんと伝える!

牧野博士への大きな愛を胸に。絆心ちゃんにバトンを託すその日まで、琉楓ちゃんは語り続ける。

(高知さんさんテレビ)