東京オリンピックもあと1週間ほどとなり、日本のお家芸・レスリング競技が始まった。
レスリングの会場となる幕張メッセはもちろん無観客。
しかし、レスリング競技で初めて決勝が行われた日、無観客であるはずの観客席からは大歓声が響いたことに驚いた。

グレコローマンスタイル60キロ級決勝、2019年世界選手権覇者の文田健一郎選手はキューバ選手との対決。キューバが有利な試合運びとなると、観客席に座っていた一部の人々が立ち上がり拍手、口笛を交え声援を送り始めたのだ。さらにメディア専用スペースからは20名ほどの声援が会場内に響き渡る。彼らが取材している様子は一切ない。間違いなくプレーブックに反する応援だ

そして、キューバが勝利を掴むと国旗を掲げ大喜び。続く130キロ級で38歳のミハインロペスヌニュエス選手が男子史上初のオリンピック4連覇を掴むとお祭りムードはさらに加熱。
選手のインタビューゾーンにも記念撮影に訪れるなど、メディアの仕事をしているようには見えなかった。
対応にあたったボランティアも「5回以上注意しているのに全く聞いてくれない」と困惑と疲労の表情を浮かべていた。
本来なら地の利があるはずだった東京五輪だが、無観客となったことでそれを生かすことができない状況だった。

それでも文田選手は試合直後のインタビューで感謝の気持ちを述べた。「まずは大会の開催と運営に協力してくれた人、テレビの前で応援してくれた人、全員に感謝したい。本当にありがとうございます。今回の五輪たくさんの人に応援されているのに期待に応えきれなかったことが悔しい。東京のマットで戦いたいと思ってやってきました。不甲斐ない結果に終わってしまって申し訳ないです」

何よりも先に感謝の言葉を口にした文田選手、コロナ禍、無観客という異例の状況を乗り越えメダルを獲得していくであろう選手たちの健闘を祈りたい。

(フジテレビ五輪取材班•斉藤葵)