タマネギの出荷量3割減 廃棄は3000トン前後

全国2位の出荷量を誇る佐賀県産のタマネギ。
しかし2020年は新型コロナの影響を受け、出荷できずに大量に廃棄された。

そこで高校生が、フードロスを解決する新商品を開発。
みじん切りの手間も涙も不要な「冷凍タマネギ」に注目が集まっている。

「冷凍しろたま」1パック500グラムで税込み398円
「冷凍しろたま」1パック500グラムで税込み398円
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購入者:
チラシで見たときに面白そうだなと思って。きょうはこれ目的でした

購入者:
みじん切りなので、料理がしやすいなと思って。かなり時短になるのでうれしい

6月から販売が始まった冷凍タマネギ「冷凍しろたま」。

佐賀農業高校3年 オニオンズリーダー・島ノ江葉月さん:
白石のおいしいタマネギをみじん切りにして、冷凍した商品です

佐賀農業高校のオニオンズリーダー
佐賀農業高校のオニオンズリーダー

全国2位の出荷量を誇る県産のタマネギ。
そのほとんどが白石町で生産されている。

しかし2020年は…

タマネギ農家 片渕康弘さん:
せっかくここまで良いタマネギができているのに…

2020年、飲食店の休業や学校給食の停止など、新型コロナの影響でタマネギの需要が落ち込み、昨シーズンのJAさが白石地区の出荷量は、前の年に比べて3割減った。
それに伴う廃棄量は、3000トン前後といわれている。

タマネギの廃棄量は3000トン前後
タマネギの廃棄量は3000トン前後

企画甲子園で“冷凍タマネギ”が準グランプリ

そこで立ち上がったのが、佐賀農業高校・農業科学科の生徒。その名も「オニオンズ」。

佐賀農業高校・農業科学科の生徒たち
佐賀農業高校・農業科学科の生徒たち

佐賀農業高校3年 オニオンズリーダー・島ノ江葉月さん:
(去年)タマネギが捨てられていたのを見て、畑でタマネギを打ち込んでいたりとか見たので、それがなくなればいいなという気持ちが一番大きかったです

佐賀農業高校3年 オニオンズ・冨山紗代さん:
冷凍だと火が通りやすいので、すぐに料理を作ることができます

オニオンズが考えた冷凍タマネギは、2020年 高校生が佐賀の魅力を生かすアイデアを競うコンテストで準グランプリを受賞した。

佐賀農業高校3年 オニオンズ・冨山紗代さん:
(普通は)切るときに目にしみるんですけど、冷凍しろたまだったら目に痛い思いをさせずに料理することができます

「完成度は高い」高校生のアイデアにプロも太鼓判

この日、オニオンズがやってきたのは県内の冷凍料理メーカー。
試作品を見てもらうためだ。

白石産のタマネギをみじん切りし、冷凍食品として販売する高校生のアイデア。
プロの目にはどう映ったのか。

佐賀冷凍食品 古賀正弘社長:
(パッケージは)もう少しインパクトがあるような。白石産ということ、佐賀農業高校が開発しましたと。その2つをしっかり書くことが、お客さんとしては(わかりやすい)

佐賀冷凍食品の社長に試作品を見てもらう
佐賀冷凍食品の社長に試作品を見てもらう

価格は、将来 生産者が販売しても利益が出るように設定すること。
また、地元白石町だけでなく、佐賀市や福岡県でも販売してはどうかといったアドバイスをもらった。

佐賀冷凍食品 古賀正弘社長:
商品的には非常に完成度は高いと思います。これは大ヒットになるんじゃないでしょうか

大ヒット間違いなし!
大ヒット間違いなし!

「冷凍しろたま」は、地元・白石町の工場で作られている。
機械で7.5mmにみじん切りされたタマネギは、急速冷凍される。

機械でみじん切り→急速冷凍 マルハ園芸
機械でみじん切り→急速冷凍 マルハ園芸

従業員:
時間をしっかり守らないと、冷えたり、固まる時間がずれてくるので

白石産のタマネギの早生品種は保存が効かない。
しかし急速冷凍することで、13カ月保存が可能となる。

マルハ園芸 原広宣社長:
消費者心理を上手くつかんでいるんじゃないかな

社長も太鼓判
社長も太鼓判

プロからも太鼓判を押してもらった。

高校生の思い込めた「冷凍しろたま」いよいよ店頭販売へ!

そんな「冷凍しろたま」は、6月26日 県内外のスーパーモリナガ全11店舗で一斉に販売が始まった。

佐賀農業高校3年 オニオンズリーダー・島ノ江葉月さん:
きのう、めちゃくちゃ急いで作りました

店頭販売に向けて、気合は十分
店頭販売に向けて、気合は十分

そう言って島ノ江さんが見せてくれたのは、手作りの看板。
店内では、冷凍庫にびっしりと「冷凍しろたま」が並べられていた。

佐賀農業高校3年 オニオンズリーダー・島ノ江葉月さん:
感動しています。こんなにたくさん並べてもらえるとは思わなかったので。1人でも多くのお客さんに白石のタマネギを届けられるように頑張ります

3玉分ほどのタマネギを使った「冷凍しろたま」は、1パック500グラムで税込み398円。
緊張してなかなか声がかけられない島ノ江さんに、助け舟も…

スーパーモリナガ南佐賀店 古川敦士店長:
佐賀農業高校生チーム「オニオンズ」が開発しました「冷凍しろたま」を販売しております!

みじん切りが大変、目にしみるのが嫌、腐らせてしまっていたなど、消費者が抱えていた悩みを解決してくれる優れものに客の反応も上々。

購入者:
これだけ切って手間がかかっているわりには(価格も)いいかなって。きょう使ってよかったらまた買おうかな

購入者:
高校生が自ら商品開発したと聞いたので、応援のためにも買ってみました

取材した南佐賀店では、販売初日で冷凍食品としては異例の47パックが売れた。

佐賀農業高校3年 オニオンズリーダー・島ノ江葉月さん:
もっと多くの人に手に取ってもらって、多くの人に白石のタマネギのおいしさを知ってもらえたらうれしいです

「冷凍しろたま」を多くの人の手に
「冷凍しろたま」を多くの人の手に

生産者支援、食品ロスの削減、調理時間の短縮にもつながる「冷凍しろたま」。
白石町から、高校生たちのタマネギ革命が始まった。

(サガテレビ)

サガテレビ
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