「非常に危険」ネットや小売店に出回る新型コロナ『抗原検査』キット 国が承認したものは市販されない 
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「非常に危険」ネットや小売店に出回る新型コロナ『抗原検査』キット 国が承認したものは市販されない 

テレビ西日本
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店頭の目立つ場所に並ぶ新型コロナの検査キット。陽性か陰性か、ごく短時間で結果が出るとされている。
しかし抗原検査キットの安易な使用は感染拡大を招くリスクを孕んでいた…

国承認の抗原検査キット 販売先は自治体や医療機関限定

自治体で進む検査キットを活用した取り組み。
福岡・古賀市を取材した。通されたのは…

古賀市役所・長﨑英明さん:
こちらです。1000個分入っている。薬事承認を受けた抗原検査キットです

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2021年3月に届いた新型コロナの『抗原検査』のキット。
古賀市は国が薬事承認したこのキットを医療機器メーカーから調達した。

古賀市役所・長﨑英明さん:
PCR検査の場合は、検体を取った後に郵送して特殊な機械でそれを測るが、これは約15分でその場で判定が出る。あと割と安価。(値段は?)1回、3000円程度」

抗原検査はウイルス特有のタンパク質を調べる検査法で、PCR検査と同じく『今、感染しているか』を確認できる。

古賀市は、キットを今後、感染者が出た高齢者施設や学校などに無料で配布。濃厚接触者に該当しない職員でも検査できる体制を整えたい考えだ。

古賀市役所・長﨑英明さん:
感染者が出た施設で検査を受けられなかったが、働かなければならない。その際の不安感を解消するため購入した

国は現在新型コロナの診断用として抗原検査キット19種類を承認しているが、販売先は古賀市などの自治体や医療機関に限定されている。
つまり市販された商品は存在しない。それには理由がある。

抗原検査キットは「あくまで補助診断」

記者:
こちらの会社では抗原検査キットの製造を行っています。工場は今年1月に完成したばかりだということです

アドテック・幡手真二工場長:
この機械が、今、3台稼働しているが、テストカードを作っている
(個数は?)
月180万。ここの部分が、うちのノウハウ

キットは長崎大学と共同開発の上、2021年1月に国の薬事承認を得た。

アドテック・幡手真二工場長:
(下に落ちている物は?)
こちらはエラー。例えば使用期限を印字しているが、その印字内容に不具合があれば排出される。1年間(の使用期限がある)

完成した抗原検査キットを記者が体験した。

アドテック・幡手真二工場長:
まずこのスポンジスワブ(綿棒)。手前の方でよろしいかと、ぐるぐると回すようなイメージで

記者:
深さ的にはこのくらいで?

アドテック・幡手真二工場長:
そうですね。2センチ程入れた所で大丈夫

記者:
全然痛くない

採取した検体を専用の液体へ。その後、例のカードに…

アドテック・幡手真二工場長:
3滴、落とします

記者:
はい、落としました

アドテック・幡手真二工場長:
後は15分後に判定になります

記者:
本当に簡単ですね

そして15分後…

記者:
結果が出てると…

アドテック・幡手真二工場長:
そのTの部分にラインが出ていない。ということで『陰性』

『陽性』か『陰性』か結果は一目瞭然だ。
ところが…

アドテック・幡手真二工場長:
これで安心という訳ではない。テストカードとしては陰性だが感染していないことにはならない

国が承認し性能が担保されているとはいえ、PCR検査より精度や感度は劣る。決してキットの結果だけで診断はできない。利用者の容体などを専門家が適切に捉えておくことが前提となっているのだ。

アドテック・幡手真二工場長:
病院や各自治体での適正な管理の下、総合的に判断され、最終的に陰性かどうかが診断される。あくまで補助診断といった形での検査キット

国の承認したキットが医療機関や自治体での使用に限定され、市販されていないのはこうした理由からだった。

未承認キット利用は「非常に危険」

しかしインターネットには…

記者:
かなり出回っていますね。変異株対応…、安い物は1000円台…

インターネットのみならず、ドラッグストアなど店舗でも。

宮崎では自動販売機まで登場。

巷では、実にさまざまな抗原検査キットが売られているが、全て『未承認』のキットだ。

記者:
いくつかキットを購入してみました。目立つのは研究用の文字です。製造国を見ると中国が最も多く、一部、韓国製もあります。そしてあるショッピングサイトで購入した際の送り状には、品名の欄には、なぜか『靴・バッグ・財布など』と書かれています

こうした未承認の抗原検査キットについて国は…

内閣府 井上信治特命担当大臣:
検査精度も保証されていない。自己判断で感染の有無を調べる目的で使用しないよう注意が必要

性能が担保されていない市販の抗原検査キット。
医師も「信用性がない」と警告する。

久留米大学 溝口充志教授:
医療以外の名目で入ってきてるんだろう。『雑貨』という意味合いで。医療的に考えると使うことは非常に危険

未承認キットを利用したという男性に話を聞いた。

男性利用者:
DVDショップで購入した。周りも感染者が出たりしてたので、とりあえず自己チェック(しようかなと)。結果は問題なく、陰性。『ない』というのが分かれば安心感はあったので、今までより買い物などは行きやすくはなった

この安心感こそ、かえって感染を拡大させる恐れがあるのだ。

久留米大学 溝口充志教授:
陰性だから安心することが一番怖い。本当は感染しているのに間違ったキットで陰性と出るから私は感染していないんだと思って出歩いてしまう。それによって感染がより拡大するという悪い方に進んでいる可能性も否定できない段階に入ってきている

記者の目に留まったのは、ある商品。

記者:
商品をPRする広告に赤文字で『厚生労働省承認済み』と強調している

だが、この商品。国が承認した19商品のリストには入っていない。つまり虚偽の記載である。

販売している福岡県内の美容室に直撃した。

(美容室に電話)
記者:
厚労省の承認済みと書いてあるが…

美容室:
この話が出る前に取引業者さんから文言を消してと指摘されたので、今は削除されている

記者:
まだ出ているが…

美容室:
出てますかね?

記者:
出てます。厚労省承認済みだと思って販売してたと?

美容室:
そうですね。安全安心だと言われてたので。逆にご指摘して頂いてありがとうございました

記者:
結構、売れている?

美容室:
売れてますね

記者:
いくらで?

美容室:
今、うちが3800円。同じ商品で(福岡市の)中洲とか、だいたい5000~7000円。うちはあまり利を取る訳じゃないので…

この電話取材から間もなく問題の広告は、消えた。

(テレビ西日本)

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