3月24日からスウェーデン・ストックホルムで開催される世界フィギュアスケート選手権2021。
2020年の世界選手権は、新型コロナウイルスの影響で中止となったが、今年は無観客で行われる。
2020年の全日本選手を機に、宇野昌磨選手は再び奮起した。今度こそ笑顔で終わりたい、そんな宇野選手の世界選手権への戦いはすでに始まっていた。
初めても2019年も涙を流した
この記事の画像(7枚)拠点のスイスで最終調整を送っていた宇野選手。コロナ禍により、世界規模の大会は今シーズン、最初で最後となる。例年以上に難しい状況の中でも、冷静に調整を行っていた。
そんな宇野選手にとって、世界選手権は5度目の挑戦だ。2016年は7位、2017年と2018年は銀メダル、2019年は4位だった。どんな思いを抱き、世界選手権に挑もうとしているのか。
「僕は比較的、世界選手権で涙を流していることが多いんです。初めての世界選手権も泣いて終わって、2019年も涙を流して終わった試合だったと思います。
試合での良し悪しは、もちろん運もありますし、試合までの練習の過程で、やはり悔いの残る練習をしてしまうと、それこそ自分にとってマイナスなものばかり残ってしまうんじゃないかと思うので、試合よりも僕は練習を、世界選手権に向けてベストを尽くしたい」
「試合よりも練習にベストを尽くす」そんな思いを抱くきっかけは、今シーズンの初戦となった全日本選手権のフリーだった。
今できるすべてを出し切った宇野選手だったが、直後の羽生結弦選手の演技を目の当たりにした瞬間、心を強く揺さぶられたという。
「もう実力はあきらかに離れていたな、と。今日までの練習に、どこか今の自分に、満足していたんだなって。“もっと上を目指さなければ敵わない”、“もっとスケートがうまくなりたい”って心の底から思いました」
4回転ループが成長の第一歩
その言葉通り、宇野選手は年明けには4回転ループの練習を再開していた。
宇野選手は、平昌五輪シーズンを最後に、4回転ループを試合では跳んでいない。
この4回転ループは、4回転ジャンプの中で一番難しいとされ、成功者も少ない。だからこそ、宇野選手は4回転ループを選んだのだ。
「ループをちゃんとやってこなかったので、再び4回転ループの練習を始めて。これだけやってなかったので、全然跳べなくなってましたけど、毎日積み重ねることで、少しずつ少しずつ良くなっている。
(現在取り入れている)『4回転サルコウ』『4回転フリップ』『4回転トゥループ』で、自分のスケート人生が終わるまで3つだけでいいかなと正直思っていたんですけど、自分が少しでも成長できるような練習を心掛けることで、成長の第一歩が踏み出せるんじゃないかなと思います」
貪欲な気持ちを取り戻した宇野選手は、さらなる成長を遂げた姿で、特別なシーズンの最終決戦へと臨む。
「もっともっと僕は成長できると思っているので、『もっと僕は成長していくんだぞ』というのを、みなさんにお見せできたらと思います」
5度目の挑戦となる世界選手権は次こそ、満開の笑顔で終わりたい。「もっとうまくなりたい」と高みを目指す宇野選手がどんな成長を遂げるのか期待が集まる。