留学中の1972年にボランティアでアメリカ先住民の視力矯正をしたことをきっかけに、視力支援活動を始めた株式会社富士メガネの代表取締役会長、金井昭雄さん。
1983年から社員と共に、タイやアルメニアなどの難民キャンプを訪問。これまでに約17万本のメガネを寄贈してきた。
「我々のメガネは難民キャンプに4000組くらい持っていきますが、毎回行く先々で難民の人が朝4時半、5時半くらいから並んでずっと待っているんです。非常に喜んでくれるものだから、『これでおしまい』と言えなくなってしまったんです」
難民の人たちは、逃げる途中でメガネを壊してしまったり、「メガネをかけていると金持ちに見られて殺される」と捨ててしまったり、事情は様々だ。キャンプでは多くの人が仕事にもつけず、手持ちの現金が足りずにメガネを新調できずにいる。
“見える喜び”を届ける
富士メガネが難民キャンプに持っていくメガネは、社員が業務の合間に作っている。乱視が強い人などは難民キャンプからカルテを持ち帰り、特注品を届けているという。
アルメニアでは「全盲だ」と思われていた男の子がメガネをもらったことで見えるようになったり、アゼルバイジャンでは極度の近視の姉妹が特性のレンズで本を読めるようになったりした。
活動に参加した社員は、「難民の人がメガネをかけると泣き崩れるようにして。非常に誇りのある仕事だと感じています」とメガネをかけることで世界が一変した瞬間に立ち会えた喜びを話す。
難民の人たちに“見える喜び”を届ける金井会長。
「こんな世界があるんだ、と学ぶことが多いです。もっともっと日本の民間企業が、そういう場で活躍してくれると、私としては非常にうれしい」と語った。
富士メガネ
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