まず、血液の巡りが悪くなり、内臓へ供給される酸素と栄養が不足し、老廃物がたまります。その結果、慢性的な疲労感が抜けなくなり、筋肉の張りやこりも起きやすくなります。さらに、内臓の熱産生が落ちるため、「冷え」が常態化します。
人間の体液には、血液以外にもリンパ液があります。横隔膜のすぐ下には大きなリンパ管がいくつか通っています。
腹式呼吸により横隔膜が下降し、腹腔の内圧が上がって胸腔の内圧が下がることにより、リンパ液の流れが起きます。そのため、横隔膜の動きが小さくなると、リンパ液の排出が滞ります。すると、むくみや慢性的なだるさが起きやすくなり、免疫機能も低下してしまいます。
運動している人は便秘が少ない
内臓ポンプの働きが弱くなると、内臓の「ぜん動運動」が鈍ります。
すると自律神経が乱れて消化機能が低下し、消化不良や便秘、腹部の膨満感、そして消化器のダメージからくる慢性疲労などを招きます。さらに、ホルモンバランスにも影響し、睡眠の質も低下します。
例えば、アスリートや運動習慣のある人には便秘が少ない。それは、運動によって横隔膜が常に大きく動いているため、内臓が力強くマッサージされているのも要因の1つです。
よい呼吸は、体の調子をよくしてくれる特効薬です。「呼吸を整えると健康になる」という話の多くは、メンタル面にフォーカスされがちですが、呼吸筋や内臓ポンプのメカニズムから考えても、大きな効果が期待できることがわかります。
中野ジェームズ修一
フィジカルトレーナー
米国スポーツ医学会認定運動生理学士
スポーツモチベーション 最高技術責任者
競技力向上やけが予防から、ロコモ・生活習慣病対策まで、身体機能を高めることでさまざまな課題を解決に導く「フィジカルトレーナー」の第一人者。『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』『すごい股関節』(いずれも日経BP)などベストセラー多数。

