どうかなるべく見逃さず、かといってうっかり誰かと比べたりせず、その瞬間に心を寄せてみてください。それを毎日少しずつ繰り返すことが、子どもの中に「自分の気持ちや考えを言葉にしていい」という感覚を育てていきます。
私は、一冊の絵本を1000人の子どもたちと、1000回以上じっくり対話をしながら読んできました。
1000回を超えた今でも、子どもたちは毎回まったく違う見え方や解釈を教えてくれることにあらためて驚かされます。
そして、その豊かな世界が“すぐに言葉になるかどうか”は、本当に一人ひとり違うのです。
最初は「わかんない」で終わってしまったり、正解を探して黙り込んでしまったりすることもしょっちゅうです。
それでも、安心できるやり取りの中で、少しずつその子のペースで自分だけの言葉が育まれ、あふれ出してくる瞬間があります。
そして、その子にしかない視点や考え方が、ぽつりぽつりと顔を出し始めるのです。
私はこう思います。
子どもの心の中には、すでに素敵な世界がある。まだ言葉の形になっていないだけ。
だからこそ、家庭ではうまく話せなくても大丈夫といった「安心して対話を試せる場」があることが大切です。子どもが話さないのを能力やパーソナリティの問題にするのはもったいないことです。
安田莉子
2023年8月に株式会社YOMYを創業。子どもたちが自分の「好き」を自由に語り、自分らしく考え、未来を選択できる力を育むことを目指し、絵本と対話を組み合わせたオンラインスクール「YOMY!」を立ち上げる。現在はAI研究にも取り組みながら、次世代型幼児教育の可能性を探求している。

