1年間で約22万点。これは2025年、長崎県内で受理された落とし物の数だ。警察署の倉庫はすでに満杯に近い状態で、中には「なぜこれが」というものも存在する。増加傾向にある落とし物の実態を取材した。
倉庫は1万4000点で満杯寸前
長崎市尾上町にある長崎警察署の倉庫には、管内から届けられた落とし物が所せましと保管されている。
大量の傘やワイヤレスイヤホン、大型のキャリーバッグ。
その数は、なんと1万4000点にのぼる。1日平均約160件が寄せられていて、なかなか減らないのが現状だ。(取材当時)
買ったばかりの商品もある。
ダンベル、キックボードなど様々なものが届けられる。
最近では「生き物」の落とし物もあった。長崎署会計課の出口伸吾会計官兼会計課長は次のように話す。
「つい先日、クサガメが落とし物として届いた。ペットの場合は落とし主が現れないこともあり、署員の中に飼うという人がいたので、飼ってもらっている」と言う。
保管期間は3カ月だ。期間が過ぎたものは拾った人が受け取るか、売却、もしくは廃棄となる。現金の場合は県の歳入になる。
長崎駅だけで年間約6000件
JR長崎駅では、列車や駅構内の落とし物・忘れ物を週に2回、長崎署に届けている。
スマートフォンやかばん、乗車券を買う際に取り忘れた現金などが多く、2025年度に長崎駅が対応した落とし物の件数は約6000件にのぼる。
落とし物に番号をつけて管理し、問い合わせがあった際にすぐ返却できるよう工夫しているが、作業量は膨大だ。JR九州長崎駅の橋口功さんは、「できれば届け出を減らしたい」と話す。「乗車した列車の中で携行品を確認してもらえたら少しは減ると思うので、意識してもらえたら助かる」と言う。
新幹線の開通・スタジアムシティの開業も影響
県内の落とし物の数は増加傾向にある。県警によると、2025年の1年間で受理したのは約22万点で、この5年間で4万点以上増えた。
出口会計官は、新幹線の開通、長崎駅周辺の開発、スタジアムシティの開業などで観光客も増えているため、それが影響しているのではないかと分析する。
現金の落とし物は2025年、県内で2億円を超えた。現金の返還率は6割と高く、多くの人が取りに来るが、「物」だと4割に留まっており、諦める人が少なくない。
戻ってきてよかった、の一言に尽きる
長崎警察署になくしたものを受け取りに来た人たちは、みなほっとした表情を見せる。
買った傘をその日のうちに落としてしまい受け取りに来た人は、娘が選んだものなので大事に使いたいと話した。
携帯電話を落として受け取りに来た人は、梅雨の時期に傘を差して歩いているときにリュックの横ポケットから落としたとみられ、連絡が取れないため先に新しい携帯を契約したが、手元に戻ってきてよかったと笑顔を見せた。
長崎県警は、落とし物や忘れ物をした場合は最寄りの警察署や交番に声をかけるか、専用のコールセンター(095-825-4444)やホームページに届け出てほしいと呼びかけている。
また、長崎署は保管場所にも限度があるため、民間の大型施設などが自社で落とし物を保管できる「特例施設占有者」制度の活用を検討してほしいとしている。
この制度を活用すれば、警察への届け出の負担が減り、落とした人も落とした施設で受け取りが可能になるため、利便性の向上にもつながるとしている。
(テレビ長崎)

