2026年の熊本地震は、長崎県内にも無視できない影響を与えた。溶岩ドームの一部の崩落、眉山での表層剥離、そして厳しい暑さのなかでの避難生活。防災工学が専門の長崎大学・高橋和雄名誉教授が地震発生当日から被害状況を確認し、県に助言を続けている。今、私たちは何を備えるべきか。

断層の位置が被害を拡大させた

7月28日、高橋名誉教授は島原市内で雲仙・普賢岳の溶岩ドームと眉山の状況を確認した。

7月28日の熊本地震で眉山の表層剥離が確認された
7月28日の熊本地震で眉山の表層剥離が確認された
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溶岩ドームについては本体にクラックが入ったのではなく、縁の部分が崩落したことを確認。

7月28日に撮影された溶岩ドーム
7月28日に撮影された溶岩ドーム

眉山の表層剥離は前回の2016年の熊本地震でも起きていたが、規模や面積は今回の方がかなり広いことが明らかになった。

提供:長崎県防災企画課(防災ヘリ撮影)
提供:長崎県防災企画課(防災ヘリ撮影)

今回の地震が前回より長崎県内での被害を大きくした背景には、断層の位置の違いがある。

動いた断層の位置は、2016年と2026年の熊本地震で異なる
動いた断層の位置は、2016年と2026年の熊本地震で異なる

熊本県には大きな断層帯が2つあり、前回2016年は日奈久断層帯の北側と布田川断層帯の西側が大きくずれ動いたとされている。今回は2016年に割れ残った日奈久断層の南側が動いたため、その直上にある宇城市や氷川町で震度7の地震が発生した。

長崎県により近い断層が動いたことで、前回と同じ震度5強でも揺れが大きくなったのである。

津波のおそれも、余震に警戒を

高橋名誉教授は、当面は余震に注意してほしいと呼びかけている。

防災工学が専門 長崎大学の高橋名誉教授
防災工学が専門 長崎大学の高橋名誉教授

今回動かなかったとみられる八代海区間の断層が海底に存在することから、万が一この断層が動けば津波が起きるおそれもあると指摘する。

熊本県の被災地では多くの建物が損壊
熊本県の被災地では多くの建物が損壊

家屋の耐震補強や家具の固定で地震の被害はかなり減らすことができるとし、地震が起きて避難する際にブレーカーをオフにするだけでも通電火災のリスクが減ると強調した。

酷暑の避難所、空調は1.8%のみ

8月3日、熊本県熊本市で40.3℃を観測し、「酷暑日」を記録。

熊本県で観測史上初めて40℃以上の酷暑日となった
熊本県で観測史上初めて40℃以上の酷暑日となった

多くの人が厳しい暑さのなかで避難生活を余儀なくされており、7月30日には車中泊をしていた70代の女性が熱中症の疑いで死亡した。

死亡した女性は自宅に停めた車の中にいたが、車のガソリンは空の状態だった
死亡した女性は自宅に停めた車の中にいたが、車のガソリンは空の状態だった

長崎県内の備えには不安が残る。

避難所に指定されている体育館などの空調設備の設置はなかなか進んでいない
避難所に指定されている体育館などの空調設備の設置はなかなか進んでいない

災害時の避難所に指定されている小中学校の体育館や武道場などに空調設備が設置されているのは、わずか1.8%にとどまる。

島原市では地震後に市内7カ所に避難所を開設していて、冷房設備がない体育館ではなく空調がある部屋の開放や、スポットクーラー・大型扇風機の活用など臨機応変な対応をとるとしている。

避難生活で役立つものを日頃から準備しておくことが大切
避難生活で役立つものを日頃から準備しておくことが大切

暑さへの備えとして、1人あたり1日3リットルの水分補給、通気性・速乾性に優れた衣類の準備、ネッククーラーや携帯扇風機などの活用が求められる。

日頃の備えに勝るものはない——高橋名誉教授のこの言葉が、改めて重くのしかかる。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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