客による過剰な要求や不当な言いがかり——いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対策が、10月からすべての事業者に義務化される。それを前に、対策のポイントや実例を学ぶセミナーが鹿児島市で開催された。参加者からは「2カ月間、毎日同じ時間に謝罪を要求する連絡がきた」という生々しい体験談も飛び出し、現場が直面する深刻な実態が浮き彫りになった。
カスハラとは何か――正当なクレームとの線引きが鍵
セミナーは、法改正に伴いカスハラ対策がすべての事業者に義務化される10月を前に、県が主催したもの。県内の医療・介護、宿泊、飲食など幅広い業種の関係者ら約90人が参加した。
登壇したのは、自治体や企業を対象にカスハラ対策方針の支援を行う企業・リスコムの次田昌弘代表だ。次田代表はまず、カスハラの定義について「世の中的にみて『やはりおかしい』『その言い方は悪くないの?』というのがカスハラに該当する可能性が高い」と説明した。
正当なクレームとカスハラを区別するためには、まず丁寧に話を聞き、メモを残すことが重要だと次田代表は強調する。その上で、応じられない要求を明確にし、組織全体で対応するための仕組みを整えることが不可欠だと、実例を交えながら解説した。
「飛行機で来い」――現場が経験した過剰要求の実態
セミナーでは、参加者から実際の体験談も語られた。小売業の関係者は、カスハラの経験についてこう振り返った。
「2カ月間くらい同じ時間に謝罪の連絡がきた。『ここに持ってこい』とか『飛行機で行かないといけない場所まで謝罪に来い』と言われた」

こうした経験を踏まえ、その関係者は「現場判断ではなく、上長に確認することが大切なのかなと思った」と語った。個人で抱え込まず、組織として対応することの重要性を、身をもって感じたという声だ。
従業員を守る仕組みを、組織ぐるみで
次田代表は、対策の核心をこう語る。「組織対応、色々な方針の事前準備を進めてほしい。お客様対応の質と従業員を守る仕組みの両面をまわしてもらうのがポイントになる」。

顧客への対応品質を保ちながら、同時に働く人を守る体制を整えること——この両立が、カスハラ対策の要だと指摘する。
参加した福祉業の関係者も「色々な対応方法を知っておくことは、従業員を守るため、利用者を守るためにも必要」と語り、学びの意義を実感した様子だった。

10月の義務化まで、時間はそう多くない。鹿児島県内の事業者にとっても、組織としての方針策定や研修の実施など、具体的な準備を進める段階に来ている。
【動画で見る▶10月から義務化“カスハラ”対策セミナー メモを残す・組織で対応する】

