鹿児島市と屋久島を結ぶ「フェリー屋久島2」の機器トラブルによる運休が相次ぎ、島の経済活動に深刻な影響を及ぼしている。屋久島の経済関係者らで構成する「屋久島未来の航路共創会議」は2026年9月8日、フェリーを運航する折田汽船に対し、航路の維持と新たな船の導入を正式に求めた。手渡された署名は約1万4000人分にのぼる。
相次ぐトラブル、事業者の9割が「影響あり」
1993年に就航したフェリー屋久島2は、近年トラブルが続いている。2024年10月にはエンジンまわりの故障により約半年にわたって運休。さらに2026年4月には垂水沖で発電機にトラブルが発生し、自力航行できなくなって一時漂流するという事態にまで発展した。
こうした状況を受け、共創会議がアンケートを実施したところ、屋久島の事業者から寄せられた167件の意見のうち、約9割が「運休で事業に影響が生じている」と回答した。宿泊業や飲食業、物流など、島の産業全体にフェリーの不安定な運航が影を落としていることが数字からも浮き彫りになっている。
「フェリーは島の生命線」──1万4000人の声
9月8日、共創会議の荒木政孝代表をはじめとするメンバーが折田汽船を訪問し、折田汽船の市丸隆二郎社長に要望書と署名を手渡した。署名には「フェリーが島にとって大事な生命線」というメッセージが添えられ、島民や経済関係者の切実な思いが詰まっている。
荒木代表は「要望書でございます。どうぞよろしくお願いします」と述べ、利用者の声を真摯に届けた。会議の内容は非公開だったが、共創会議としては利用者の思いを伝えるとともに、運航事業者側の状況も改めて受け止めたという。
新造船に約50億円──一企業の限界
問題の根底には、事業の採算性という厳しい現実がある。折田汽船によると、新たなフェリーを建造するには約50億円が必要であり、事業者単独では負担できない金額だという。
市丸社長は「とても採算の合う事業ではない。国の援助がないとこの事業は続けていけない。島民のみなさんと一緒になって国に陳情などしていきたい」と率直に語った。

この言葉に対し、荒木代表も「『一企業が買ってペイするのが難しい』というのは、まさにその通りなので行政、国の力を借りなければ解決できない問題」と同調し、解決には官民一体の取り組みが不可欠だという認識を共有した。
知事も「前向き」──国への要望も視野に
共創会議はこの折田汽船への要望に先立ち、9月7日には塩田知事に対しても同様の要望を行っている。非公開で行われた協議のなかで塩田知事は「中古船購入も視野に船会社や国と話を進めたい」と前向きな姿勢を示したという。

屋久島と鹿児島を結ぶ航路は、島民の日常生活や物流、そして観光を支える根幹インフラである。共創会議は今後、国への要望活動も視野に入れながら、航路の安定維持に向けた取り組みを続けていく方針だ。島の未来を守るための官民の連携が、今まさに問われている。
【動画で見る▶運休相次ぐフェリー屋久島2 後継船求め、折田汽船に要望【鹿児島】 】

