災害時の口腔ケアは100点を目指さなくていい

もし、水も歯ブラシも手元にないような厳しい状況でも、口腔ケアは続けていきましょう。方法の1つとして挙げられるのは、清潔なタオルやハンカチ、ティッシュを指に巻き付けて歯の表面を拭くというやり方です。

歯と歯の間の汚れまでは十分に取れませんが、歯の表面のぬめりや大きな汚れを取り除くだけでも細菌数を減らすことができます。

決して100点満点の方法ではありませんが、何もしないよりははるかに良いです。

災害時の口腔ケアは100点を目指す必要はありません。できる範囲で続けることが大切であることを覚えておきましょう。

「備える」だけでなく「使う」、フェーズフリーという考え方

災害時を想定して、液体歯磨きや洗口液などを備えておくことはとても重要ですが、「災害専用品」にするのではなく、ぜひ普段から使ってみてください。

日常的に使っているものを災害時にも使う、「フェーズフリー」の考え方が、いざという時に大きな助けになります。

もし、これから備えを考えている人がいるのであれば、液体歯磨きや洗口液と一緒に、シュガーレスのキシリトールガムも備えておきましょう。

災害時にはシュガーレスガムも便利(イメージ)
災害時にはシュガーレスガムも便利(イメージ)

キシリトールガムだけでむし歯や歯周病を防げるわけではありませんが、唾液分泌などの口腔ケアを補助する役割を担ってくれます。

いざというとき、口腔ケアの優先順位は下がりがちだからこそ、日頃からの備えと実践を心がけてみてください。

足立了平(あだち・りょうへい)
ときわ病院歯科口腔外科部長。前神戸市健康局歯科専門役。災害時の口腔(こうくう)ケアの重要性や、災害関連死予防の研究・啓発活動に長年携わる。

取材・文=内山直弥

足立了平
足立了平

ときわ病院歯科口腔外科部長。前神戸市健康局歯科専門役。阪神・淡路大震災以降、東日本大震災、能登半島地震など数多くの被災地で歯科支援活動に従事。災害時の口腔(こうくう)ケアの重要性や、災害関連死予防の研究・啓発活動に長年携わる。