国内初の材料で、銀歯ではなく白い歯に。数々の“メイドイン高知”を生み出してきた歯科材料メーカー「YAMAKIN」がまたもや画期的な新製品を開発した。
それが、保険適用で白い歯を実現する樹脂製ブリッジ「シンボー」。
奥歯治療の新しい選択肢に
これまで、奥歯のブリッジ治療(失った歯の両隣を支えにして人工の歯を固定する治療)では、3本の歯を連結する部分に強い強度が求められた。
そのため、保険診療では銀歯を選ぶしかなく、白い歯を望めば高額な自費診療に頼るしかなかった。
しかし、今回YAMAKINが開発した樹脂製ブリッジ「シンボー」は、この問題を解決した。
患者に合わせた歯の形をコンピューターで設計し、ブロックから3本つながった歯を削り出すことで、自然で白い歯を作りあげることができるようになったのだ。
樹脂×ガラス繊維で画期的な強度に
この「シンボー」の最大の秘密はブロックの中心部に仕込まれた「ガラス繊維の芯」にある。
YAMAKINの原点は貴金属の製造・加工にある。金属を知り尽くした企業だからこそ、ニーズの高いメタルレス(非金属)製品の開発に挑むことができたのだ。
しかし、その道のりは決して平坦ではなかった。開発において最も苦労したのは、中心のガラス繊維の位置調整だったという。位置が中心部からわずか1ミリでもずれると、必要な強度が保てなくなる。
YAMAKINの山本社長は「真ん中にグラスファイバー(ガラス繊維)が入っているが、この位置をきっちり真ん中におさめ、かつ芯材がたわみのないようにまっすぐ入れることがなかなか大変だった」と語る。
これを乗り越えるため、材質の安全性などについて高知大学医学部の知見を反映させ、高知工科大学には樹脂とガラス繊維を組み合わせるための技術面での協力を仰いだ。「産学連携」で開発されたのである。
辛抱強さが生んだ「シンボー」の未来
「シンボー」というユニークな製品名は、ブロックの中心部に“芯の棒”が入っていることと「辛抱」して研究開発に励んだことに由来しているという。
この新製品がもたらすメリットは、患者の見た目や経済的な負担軽減だけにとどまらない。
コンピューターでのデジタル化によって、歯を作る歯科技工士の労働環境改善にもつながる。患者にとっても、医療従事者にとってもうれしい革新である。
また、保険適用されることで従来の治療費に比べて3割ほど安くなるそう。
山本社長は「世界のYAMAKINになりたい。現在は45カ国ほどに輸出しているが、100カ国ぐらいに増やしたい」と力強く語った。
高知が生んだ技術がこれからの治療のスタンダードになる日も近いかもしれない。
