暑い時期は「血圧が下がるから安心」と油断しがちだが、実際には自覚がないまま血圧が激しく揺れ動く人が多いという。年々、暑さが厳しくなる中で、体調管理の落とし穴とは何か、専門医に聞いた。
冷房による寒暖差も血圧を揺さぶる原因に
「夏は脱水や温度差で血圧が大きく変動しやすい季節」と語るのは、たかざわ内科クリニックの高澤洋介院長。夏になると汗をかくことで体内の水分が失われ、血管が広がるため血圧が下がりやすくなるのは事実。しかし、そこに「落とし穴がある」と指摘する。
特に高血圧の薬を服用している人は「下がりすぎていないかを見ることも大切」だという。薬の効果に加え、夏特有の体の変化が重なることで、血圧が必要以上に低下するリスクがあるのだ。

高澤院長が特に注意を促すのが「冷房による寒暖差」だ。暑い屋外と強く冷えた室内を行き来すると血管が急に縮んだり広がったりすることで血圧が大きく変動する。
これにより「特に高齢者や高血圧の人は、めまい、ふらつき、頭痛、さらには心臓や血管への負担につながることもある」と高澤院長は警鐘を鳴らす。
だからといって冷房を我慢する必要はない。「冷房は我慢するのではなく、冷やしすぎないことが大切。室温は適切に保ち、羽織るものなどで体温調整をしていただきたい」とアドバイスする。
土台となるのは……適度な運動と質の良い睡眠
暑さが引き起こす睡眠不足や食欲低下もまた、血圧を不安定にする要因となる。高澤院長は「ふらつきや頭痛、だるさは血圧変動のサインかもしれない」と指摘。

とりわけ注意が必要なのは高齢者だ。高齢者は脱水に気づきにくい傾向があるため、自覚がないまま体の水分が失われ、血圧が大きく乱れるリスクがある。自分では「元気だ」と思っていても、体内では異変が起きている可能性がある。

夏の高血圧を防ぐ方法として高澤院長は「薬だけではなく、日々の生活習慣が非常に大切」と強調する。適度な運動と質の良い睡眠が血圧を安定させる土台になるという。
激しい運動を急に始める必要はなく「ウォーキングなどの軽い有酸素運動を無理なく継続することが大切」だという。
熱中症予防の観点から、暑い時間帯を避け、室内での運動も上手に取り入れ、無理のない範囲で習慣を続けることが血圧の安定につながるのだ。
「激しいいびき・日中の眠気」は見逃さないで
睡眠環境の整備も重要なポイントだ。睡眠不足や睡眠の質の低下は自律神経の乱れにつながり、血圧変動の原因になりまる。「寝苦しい夜はエアコンを適切に使用し、快適な睡眠環境を整えましょう」と高澤院長は助言する。

さらに、見落とされがちなリスク要因として睡眠時無呼吸症候群が高血圧の原因になることもあるという。
思い当たる症状がある場合は、夏バテや疲れのせいにせず、早めに医療機関に相談することが大切だ。

