骨がもろくなる「骨粗しょう症」の患者は国内で1590万人にのぼるとされる。ただ、検診の受診率は全国平均でわずか5.9%と低い。医師によると「大腿骨の骨折での生存率は5年以内が50%という報告がある」という。自覚症状がないまま骨折し、寝たきりとなって命を縮めるリスクがあるこの病気。予防するには幼少期からの対策が重要となっている。

加齢と女性ホルモンの減少が大きく影響

骨粗しょう症とは骨量が低下し、骨の質も落ちることで骨の強度が低下する病気。福井大学病院整形外科の渡邉裕美子医師は「つまずいて転んだり荷物を持ち上げたりと軽微なきっかけで骨折する」と説明する。

ふとした事がきっかけで骨折する
ふとした事がきっかけで骨折する
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高齢化の進展とともに患者数は増加の一途をたどり、国内の推計患者数は1590万人にのぼる。骨がもろくなるといっても、自覚症状はほとんどない。このため「骨折して初めて運ばれ、病院で調べて分かる場合が多い」と渡邉医師。

高齢女性の患者が多い
高齢女性の患者が多い

主な原因は、加齢と女性ホルモンの減少にある。特に閉経後の女性は女性ホルモンの低下により骨を作る働きが弱まり、骨量が減少してもろくなる。

年齢と共に骨量は減少する
年齢と共に骨量は減少する

さらに、カルシウムや栄養の不足、過度な飲酒、喫煙といった生活習慣も発症リスクを高める要因となる。

「年間100件超」最も高リスクな大腿骨骨折

骨粗しょう症で特に骨折しやすい部位は、脚の付け根にあたる大腿骨近位部、背骨(脊椎)、そして手首または腕の付け根の3カ所だ。

骨粗しょう症で骨折しやすい部位
骨粗しょう症で骨折しやすい部位

中でも大腿骨の骨折は深刻で、渡邉医師によれば「大腿骨の骨折での生存率は5年以内が50%という報告がある」。骨折を機に寝たきりとなり、体力が急速に衰えるケースが多いためだ。

最も深刻なのが大腿骨の骨折
最も深刻なのが大腿骨の骨折

福井大学病院では、大腿骨の骨折手術だけで年間100件を超えるという。一度の骨折が、その後の生活の質はもちろん、生命維持にもかかわってくる。

福井大学病院整形外科の渡邉裕美子医師
福井大学病院整形外科の渡邉裕美子医師

背骨の圧迫骨折は痛みを伴わないケースも多く、身長が縮んできたり、背骨が曲がってきたりすることで初めて気づく人もいると渡邉医師は指摘する。自覚症状がない分、気づいたときには進行していることも少なくない。

骨量のピークは20歳前後…幼少期から対策を

骨粗しょう症は、高齢になってから予防すればよいというわけではない。渡邉医師は「骨量は成長期に一気に上がり最大のピークに達するのが男女ともに20歳前後で、後はキープされて加齢とともに下がっていく」と説明する。

幼少期から骨を丈夫にしておく必要がある
幼少期から骨を丈夫にしておく必要がある

特に女性は閉経後に骨量が急激に低下しやすいため、若い頃にいかに骨量を最大まで高めておくことが、将来を左右する。「成長期からバランスよく食べて運動することが大事」(渡邉医師)であり、20代前後での過度なダイエットは骨の成長をも妨げる点に注意が必要だ。

骨の成長に必要な栄養素
骨の成長に必要な栄養素

骨の成長に必要な栄養素は、主に次の3つ。牛乳や豆腐などに含まれるカルシウム、鮭やしいたけなどに含まれるビタミンD、納豆や小松菜などに含まれるビタミンKだ。

これらを組み合わせて摂取することで、カルシウムの吸収が促されるという。どれか一つを集中して摂るのではなく、バランスよく食べることが重要だ。

「晴れ間はチャンスと思って」梅雨の時期に不足しがちなビタミンD

もう一つの重要なポイントが、紫外線だ。ビタミンDは食事からだけでなく、紫外線を浴びることで皮膚でも生成される。そのため、日照時間が少ない梅雨の時期は、ビタミンDが不足しやすく、骨粗しょう症が悪化しやすい傾向がある。

紫外線を浴びないとビタミンDが生成されない
紫外線を浴びないとビタミンDが生成されない

渡邉医師は「晴れ間にチャンスと思って日光浴をしてもらえたら」と語る。理想としては、日焼け止めを塗らずに手の甲や顔に15分ほど日光を当てることだというが、紫外線の当たりすぎや日焼けが気になる人には「手のひらを15分ほど日に当てること」を勧める。日陰であっても効果はるという。

1日15分は手のひらで日光浴を
1日15分は手のひらで日光浴を

骨粗しょう症は自覚症状がほとんどないにもかかわらず、検診の受診率は極めて低い。全国平均で5.9%にとどまり、福井県では4%未満とさらに下回っている。多くの人が、骨折して初めて自分の骨の状態を知るという。

低い骨粗しょう症の検診率
低い骨粗しょう症の検診率

渡邉医師は「遺伝も関わるので、女性で母親や祖母が圧迫骨折をしていたり、太ももの骨折で手術をしたりしている人は一度調べてみたほうがいい」と強調する。家族歴がある場合は、症状がなくても検診に足を運ぶことが望ましい。

日常の転倒予防も重要

骨粗しょう症の予防と並んで重要なのが、日常生活での転倒予防だ。渡邉医師によれば「脚の付け根(大腿骨)の骨折は家の中で起きることが多い」という。

高齢者にとっては、転ばない環境づくりと体力づくりの両面からアプローチすることが求められる。室内の段差をなくす、滑りやすい床に対策を施す、ラグや電源コードなどの引っかかりやすいものを整理するといった環境整備をするとともに、筋力や体幹のバランスを維持するための運動習慣をつけよう。

骨粗しょう症は高齢者だけの問題ではない。それぞれのライフステージできる対策をすることが、将来の生活の質を守る第一歩となる。

福井テレビ
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