支持率下げ止まりか

先週のFNNプライムオンラインに「高市政権、支持する65.3% 政権発足以来最低に。“中傷動画”への説明、納得できない 半数超える」という記事が出たので、「支持率は本格的な下降局面に入ったのか」と思った。

6月のFNN世論調査
6月のFNN世論調査
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すると1週間後の今週月曜に出た読売新聞の世論調査では内閣支持率は5ポイント上昇し69%、また朝日新聞と毎日新聞は横ばいで、いずれもこれまでの下降傾向が底を打ったと書いてあった。

下げ止まったのだとしたら、その理由は「米国とイランの戦闘終結」「食料品の消費税が来年4月から1%か」の2つだろう。

「勝ったのはイラン」という不思議な言説

イラン和平について巷ではなぜか「米国(トランプ)が負けた」「勝ったのはイラン」という不思議な言説が飛び交っている。

「トランプは負けた」との見出しも
「トランプは負けた」との見出しも

米紙ニューヨークタイムズは15日、「トランプはこの戦争に負けた」という見出しの社説を掲げた。理由は、トランプ氏が言っていた「無条件降伏」「体制転換」「ウラン濃縮の完全停止」がどれも実現していないからだという。

ただ「ウラン濃縮の完全停止」ができていないと言っても、イランの核開発能力は大きく後退し、当面、核の脅威はなくなった。

またミサイルを含む軍事施設だけでなく電力や交通などの基幹インフラも激しく破壊され経済的損失は計り知れない。

殺害されたイランの最高指導者アリ・ハメネイ師
殺害されたイランの最高指導者アリ・ハメネイ師

さらに最高指導者のアリ・ハメネイ師をはじめ多くの幹部が死亡した。後継指名されたモジタバ師は意識不明の重体で国政に関与できない状態との報道がある一方、本人からとするメッセージも発表されている。イランが得た最大のものは「体制の存続」なのだが、その「体制」の支配者の容体がはっきり分からない。

イランの最高指導者 モジタバ師
イランの最高指導者 モジタバ師

トランプ批判の「本音」はイランへの先制攻撃が国際法違反であるということと、その結果イランがホルムズ海峡を閉鎖したため石油が足りなくなったということだろう。

イランの脅威は縮小

だが専制国家による違法な核開発やミサイル攻撃、さらにはテロ組織への支援を一体どうやってやめさせることができるのか。「国際法違反などと言っていられるのか」というのがトランプ氏の言い分であり、それは一理あると思う。

今回イランの独裁体制は存続したが、核開発を含む軍事的脅威はかなり縮小された。そもそもイラン政府は長年にわたって民主化の「芽」を「丁寧に」摘んできたので現体制の転覆=民主化は困難というのは常識だった。米政府もそれはわかっていたのでここまでイランを弱体化させれば所期の目的は達成したということではないか。

白黒のポテトチップスも登場した
白黒のポテトチップスも登場した

石油不足については「ナフサが6月には詰む」などと、某テレビ局が放送するなど一部メディアと野党がいつものようにスクラムを組んであおったが、高市政権の対応及び説明は一貫して冷静であったと思う。

まともな人たちは250日分の石油備蓄があり、かつエネルギーの多様化を進めてきた日本が「第3次石油ショック」になることなどあり得ないことはわかっていただろう。

食料品の消費税1%

さてもう一つの食料品の消費税率1%だが、今のところ野党で賛成するところはなく、参院での可決のメドは立っていない。

だが国民が減税を望んでいるのだとしたら、与党が出した減税案に対して野党は反対に回ることができるのか?

消費税率1%の行方は…
消費税率1%の行方は…

与党としては野党の反対で否決された方が「野党のせいで減税できない」と攻撃できるのでむしろ好都合かもしれない。

そしてもう一つ、筆者が支持率下げ止まりの理由と考えているのが例の週刊文春の“中傷動画”報道である。

高市総理「ほとんど睡眠をとっていない」

文春の記事は高市早苗総理大臣の地元秘書が自民党総裁選などで他候補を中傷する動画のSNS投稿に関わったというもので、中道改革連合などの野党は秘書の参考人招致を求めている。

だが矛盾点が複数明らかになり、文春が証拠として示した「中傷動画」の一部について、時系列上の疑義が生じたとして動画の公開が停止された。

文春が報じた“中傷動画問題”で追及されたが
文春が報じた“中傷動画問題”で追及されたが

週刊文春元編集長の花田紀凱氏は「産経ニュース」のコラムで、「こんな文春の記事に乗って、国会で高市首相を追及した野党議員たち、社説や天声人語で高市首相を批判した朝日新聞などはどう落とし前をつけるのか」と怒っていた。

22日に行われた衆院予算委の集中審議で高市総理は「週刊誌の記事などを切り抜いたものをバラバラいただいても確認して答弁するのはなかなか困難だ」と述べて「秘書が陳述書を作るのでそれで何とか答弁に代えて欲しい」と呼びかけた。

高市氏はこの疑惑への対応で「総理としての業務時間が確保できなくなっている」とした上で、金曜の夜から月曜の朝まで「ほとんど睡眠をとっていない。一所懸命に仕事をしている」とかなり怒った様子で答えた。

これに対して中道改革連合の議員は「質問に答えていない」「秘書の参考人招致を要求する」と繰り返し、午後には参院予算委で立憲民主党の議員が「追及」したのだが、「中傷動画」について新しい話は出なかった。

中傷動画は尻すぼみになるか

どんな「中傷動画」が作られて、それに高市事務所がどう関与したのか。いまだにそういった肝心の話が全く出て来ないので国民も判断しようがない。だから支持率は下げ止まったのだと思う。

花田氏は「文春は<小誌は今後も本件を巡る取材を続けていく>と言うが、『今回で打ち止め』の婉曲表現だろう」とも書いている。もしそうならこの「中傷動画」騒動自体も尻すぼみになるかもしれない。

【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。