高市早苗総理が食料品に対する消費税を2年間1%にすることを表明したことに対し、自民党内の協議では異論も出た。
「大物」議員の反対理由は以下の通りだ。
石破茂前総理
「公約だからと言うが、党内の意見をきちんと聞いたのか」
稲田朋美元政調会長
「総理が言っているからやるというのは自民党らしくない」
古川禎久元法務大臣
「消費税率引き下げは総務会で決定していないので公約になっていない」
小渕優子元経産大臣
「財源なき減税は無責任。2年後に大きな影響が出る」
この中で古川氏の「総務会で決定してない」については「それはないだろう」と正直思う。衆院選前の党首討論会で高市総理があれだけ言及し、チラシやポスターにも書かれていたのだから普通の国民は「公約」だと思っているだろう。
また石破氏「公約だからと言うが」とか稲田氏「総理が言っているからやるというのは」といった発言も「後出しジャンケン」感が強く、これらも普通の国民が聞くと違和感を覚えるのではないか。

“後出しジャンケン”は信頼を傷つける
こういった発言は消費税の問題とは別に自民党に対する「信頼感」を傷つけると思う。
小渕氏の言う「財源」と「2年後」の心配については他の人からもでている。まず恒久減税ではないので財源にあまり神経質になることもないと思うし、給付するにしても財源は必要だ。また「2年後問題」については、高市総理は性格的に「あらよっ」と戻しそうな気がするし、戻せなかったら退陣するのではないか。それは高市総理の責任の話だろう。
消費税ではなく所得税や住民税の減税をしろとか、給付にしろとかの意見もあるが、以前岸田文雄元総理が所得税減税をした時は批判の大合唱だったし、給付も常に「遅い」「貯金するだけ」などの批判が上がる。多分何をやっても文句を言う人はいる。

年間5兆円程度の無駄遣いだったら他にもたくさんしているので、2年だけばらまくくらいは許されると思うし、その方法ははっきり言って何でも良いと思う。効果はあるかもしれないし、ないかもしれない。それはその時の状況でどう転ぶのかわからないのだ。
秋の臨時国会 消費減税法案の行方
さて、自民党の税制調査会などの合同会議は前回の会合では反対意見も多かったが、3日は賛成議員が大勢詰めかけ、75人が発言し、賛成65人、反対9人、中立1人で小野寺五典税調会長に一任された。

5日にも総務会で了承され閣議決定後、秋の臨時国会には法案が提出されることになるだろう。
衆院は与党の数が多いので簡単に通るだろうが参院はギリギリである。ただ議席数2の日本保守党は「消極的賛成」との立場をとっており賛成する可能性があるし、筆者が聞いた話では参政党も飲食店への補助を行うなら賛成に回る可能性があるという。

特別国会の副首都法案の参院本会議での採決は議席数2のチームみらいと無所属3人が賛成に回り、自民に2人病欠がいたが可決されたので、参院でも通る可能性はある。
問題は自民に造反が出た場合で、それで参院で否決され、さらに衆院の3分の2の再議決の際に造反が多ければ否決される可能性がある。
これについて日本保守党の島田洋一元衆院議員がX(旧ツイッター)に「高市氏が本気ならかつての小泉首相の郵政選挙同様、造反議員の選挙区に刺客を立てる形で解散総選挙に打って出ることになるだろう」と恐ろしい予測をしている。
これは「小泉郵政解散」の向こうを張った「高市消費税解散」だ。
高市総理の手法は小泉氏に似ている
高市総理は安倍晋三元総理の後継者と自他共に認めているのだが、政治手法は実は安倍氏とは真逆で小泉氏の方に似ている。
変人と呼ばれ、非常識で(肯定的な意味)、人付き合いも悪く、トップダウンで物事を決める。やり方は違うが独特の「発信力」を持っている。だから大衆の支持が高い。
だがさすがに前の衆院選からわずか半年後、316議席もあるのに4年の任期の3年半を残しての解散というのは、永田町では「正気の沙汰でない」と言われるだろう。世間がどう見るかはまた別の話だが。
ただ今回の自民党内での消費税をめぐる議論を聞いていると、「どうしても採決するなら造反だ!」というよりは「証拠残すために一応反対しとくか」感の方が強かったように筆者には見えた。従って採決でも数人の棄権が出る程度で最終的に可決成立するのではないかと思う。
臨時国会はこの消費税減税法案の他、夫婦別姓論議に終止符を打つための「旧姓使用の法制化」や「衆院の議員定数削減」など引き続き与野党でもめそうな法案が多い。

自民が割れなければ「高市ペース」続く
待鳥聡史・京大教授は2日付の毎日新聞で特別国会について「野党の抵抗が審議拒否などの古典的だが今日では有権者からの評価が低い手法だったこともあり、高市首相のいささか乱暴な政治手法にも関心や批判は集中しなかった」と評価した。
その上で「国政の全体的な動きを描き出すならば、『高市一強』や『官邸主導』という言葉の方が適切であった」と総括している。
この「高市ペース」を野党が臨時国会で崩せるとしたら、自民党が割れることだ。だが今回の消費税の議論を聞いていて、確かに高市総理への不満を持っている人はいるが、党が割れるところにまでは至っていない印象だ。「高市ペース」はまだ続くのではないか。
【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

