皇族数確保のため、国会の全13党派が「女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持する」と「旧11宮家の男系男子を養子として皇室に迎える」の主要2案を了とする「立法府の総意」を取りまとめたが、週末に行われたFNNの世論調査で、この「総意」を歓迎する結果が出た。

「男系男子の皇室復帰」は拮抗?

「旧宮家の男系男子の皇室復帰」案については「賛成」が57.7%で「反対」の34.7%を上回った。

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これについて朝日新聞が11日に「養子案、世論は賛否拮抗。今後の審議に影響か」というちょっとわかりにくい記事を出していた。

FNNの調査では賛成は反対より23ポイント多い。朝日は47%対36%で11ポイント差。朝日は他社の結果も載せていて、読売が49%対37%の12ポイント差。日経が45%対37%の8ポイント、NHKが45%対36%の9ポイントで、共同通信は43.7%対42.6%の1ポイント差。

これ、拮抗と言うのだろうか。共同は確かに拮抗だが他社はほぼ10ポイントの差がついており、これを拮抗と呼ぶのは少し無理があると思う。

女性皇族の夫と子の身分

またFNNの6月の世論調査では、「女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持する」案については「賛成」76.6%で「反対」16.9%を大きく上回った。

これまでの与野党の協議では「女性皇族が皇族身分を保持」する場合、「夫と子への身分付与」は行わないという意見が大勢を占めていた。前例のない女系天皇の誕生を促す可能性があるからだ。

皇族数確保めぐり「立法府の総意」がとりまとめられた
皇族数確保めぐり「立法府の総意」がとりまとめられた

だが衆参の正副議長による取りまとめの段階で「夫と子への身分」には言及しないことが明らかになり、日本維新の会の藤田文武共同代表が「少数野党の意見は尊重したらいいが、私たちも反論している。少数意見に偏った取りまとめならば了承できない」と強く反発した。

最終的に「皇室の歴史に整合的である」ことを皇室典範の改正と制度設計に求めた。

これにより「皇室の歴史に先例のない、男系男子でない夫とその子への皇族身分付与は採らない」(9日付産経新聞の主張)という理解でいいと思う。

これについて調査で聞いたところ、「夫や子は皇族にすべきでない」が51.1%で最多となり、「夫や子も皇族にすべき」の39.4%を上回った。「わからない、言えない」は9.5%だった。

夫や子が皇族にならなければ「女系天皇」には繋がらないので、過半数は女系天皇を望んでいないとも言えそうだ。

一方、これまでの各メディアの調査では「女系天皇」「女性天皇」への賛否を問うと、7割から8割の高い数字で「賛成」が多かった。

女性天皇と女系天皇

だが、「女系」と「女性」の違いについては自民党支持者に限っても半数が「あまり」または「まったく」理解しておらず、「よく理解している」は1割程度だった(2019年のFNN世論調査)。

ちなみに、「女性天皇」は歴史上8人いるがいずれも「男系」であり、「女系天皇」は1人も存在しない。

高市総理は「男系男子」継承を重視
高市総理は「男系男子」継承を重視

高市総理は「男系男子」の継承を重視しているが、「女性天皇」については「歴史上8人存在されたので否定するのは不敬」との立場を取っている。つまり女性が天皇になることを否定しているわけではない。世論は実は、この高市氏の感覚に近いのではないかと思う。

というのは「女性天皇」や「女系天皇」の賛否を聞くと「男女平等」の意識が働き「女性の天皇」を多数が支持するのだが、FNNのように純粋に皇室制度の在り方について聞けば、少なくとも「女系天皇」に関しては否定的な考えの方が多くなる。

男女平等の意識

これは夫婦別姓における調査でも同様で、賛否の2択で聞くと「男女平等」の意識が働いて「賛成」が多いのだが、「同姓のままで旧姓の使用の法制化」という制度の在り方に関する3番目の選択肢を加えると、結果的に別姓賛成は少数派になる。

こういう調査は「あいまいな理想」ではなく「現実的な選択肢」を聞くべきだろう。

FNNの調査結果について長島昭久元総理補佐官はX(旧ツイッター)に「さすが日本国民。きちんと説明すればご理解いただけますね」と投稿した。

女系天皇の可能性は

一つ気になるのは、「女性皇族が皇族身分を保持」する場合の「夫と子への身分」について「総意」には明記されなかったことだ。

八木秀次・麗沢大教授は9日付の産経新聞のインタビューで「夫と子へ身分付与しない」とした2021年の政府有識者会議の報告書より「若干後退した」と述べ、「女系継承への芽を残した」と警鐘を鳴らしている。

これについては、政府が女系天皇につながるものは認められないという方向性を打ち出すのであれば、皇室典範の改正案に書き込むかどうかは別にしても、改正案が国会に出てきたところで「しかるべき人」が「配偶者と子への身分付与は行わない」と明言すべきだろう。

【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。