杉本前知事によるセクハラ問題をめぐり、福井県の石田嵩人知事は5月22日の定例会見で、退職金の一部である1500万円が返納されたことをもって、これ以上の対応は行わない方針を明らかにした。退職前に杉本氏自身が議会で口にした「公の場での説明責任」は果たされないまま、県は事実上の幕引きを図った形だ。

「県として最大限の対応を尽くした」

杉本氏に支給された6000万円余りの退職金をめぐっては、石田嵩人知事が、5月7日に杉本氏本人から「1500万円を納付した」との連絡があり18日に県が入金を確認した事を明らかにした。

定例会見に臨む石田嵩人知事
定例会見に臨む石田嵩人知事
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返納にあたっては、県が杉本氏と「これ以上の自主返納を求めない」という合意書を交わすことが条件とされた。定例会見で今後の対応を問われた石田知事は「県としては前知事側の回答をこのまま受け入れる。県として最大限の対応を尽くしたと認識している」と述べた。

総務部の服部和恵部長も「前知事はもう私人であり、県とは関係がない立場なので、県から何かを求めていくことは非常に難しい」と説明し、県としてこれ以上の対応を一切行わないことを明言した。

被害者「絶対許さない」18年間、少なくとも4人が被害

杉本前知事のセクハラ問題を巡っては、県が委託した外部弁護士による特別調査委員会が、全庁職員約6000人を対象に調査を実施。その結果、少なくとも4人の女性職員が杉本前知事によるセクハラ被害を受けたと認定した。

特別調査委員会の会見(2026年1月)
特別調査委員会の会見(2026年1月)

杉本氏が女性職員に送っていたセクハラを裏付けるLINEやメールは約1000通にのぼり、県の総務部長を務めた2007年から知事を辞任するまでの18年間に及んだ。被害者らはいずれも業務上のコミュニケーションを行っていたところ、突如として性的なテキストメッセージを受信したなどと証言。メッセージは深夜や休日、業務時間内を問わず送信されていた。

調査結果を元に再現したイメージ
調査結果を元に再現したイメージ

さらに調査では、太ももや尻を触られるなど身体的接触を伴う被害も3件発覚した。

特別調査委員は「被害者の供述は日時や場所などが詳細かつ具体的で信用性が高い」とし「杉本氏の言動がいずれもセクハラに当たることは明らか」と断定。「杉本氏の責任は重大と言わざるを得ない」と結論付けた。

さらに、被害者が拒絶したにもかかわらず執拗にメッセージを送る行為や、身体的接触を伴うハラスメント行為があることから、ストーカー規制法への抵触や不同意わいせつ罪に当たる可能性も指摘していた。

調査報告書員書かれていた被害者の声
調査報告書員書かれていた被害者の声

調査報告書には被害者らの声として「杉本氏からの謝罪は一切受けたくない」「受けた精神的苦痛は一生忘れることはできない」「絶対許さない」との言葉が記されていた。

宙に浮いた「公の場での説明責任」

杉本氏の、退職金の一部返納について、県議会は理解を示した。しかし、杉本前知事が退職前に議会で約束した「公の場での説明責任」は依然として果たされていない。

辞意表明をした際の杉本氏(2025年12月)
辞意表明をした際の杉本氏(2025年12月)

県は22日の定例会見で改めて「私人である前知事に対して、これ以上求めることは難しい」との説明。だが、知事という立場で県職員に対して行ったセクハラ行為について、私人であることを理由にした幕引きには疑問が残る。

福井テレビ
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