“不都合な内容”の取材を受ける機会が増えたためか?福岡県議会が、議会棟内での議員への取材活動について、長年、“暗黙の了解”で行われてきた撮影や録音などの取材を、突如、『事前承認を受ける』など、『明文化したルール』を設けるべく検討していることが分かった。なぜ、突然?取材規制とも受け止められる検討が始まったのだろうか。

“取材規制”素案 4つのルール

『福岡県議会取材制限検討』との見出しで、蔵内勇夫議長が、報道機関の取材ルールを見直すよう議会事務局に指示したとの一部報道に対し、内容を否定する文書が報道機関宛てに送られてきた。

福岡県議会 蔵内勇夫議長
福岡県議会 蔵内勇夫議長
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その文書には、議会事務局が検討しているマスコミ各社への“要請文(素案)”が添付されていた。『議会棟における取材、動画撮影等に関する順守時刻について(通知)』によると、以下、4項目の内容が記されている。

1.会派室に入室するときは、事前に目的を明示して会派責任者の承諾を得ること。

2.議会棟内で、取材、撮影、録音等を行うときは、原則として前日までに対象者の承認を得る とともに、当日、撮影等を開始するに当たっては、他の議員の活動の妨げにならないよう配慮するとともに、再度、対象者の承認を求めること。

3.議会棟内で撮影、録音等を行うときは、あらかじめ目的を明らかにして議会事務局総務課長の承認を得ること。また、撮影に当たっては、撮影の許可を受けていない議員、県職員又は一般県民等が映り込まないよう注意し、映り込んだ場合は、その場面の映像を報道に使用しないこと。

4.議員の活動若しくは職員の業務を妨げ、又は一般県民等の通行を妨げる行為はしないこと。

突然の取材ルール『明文化』なぜ?

なぜ、突然、“取材制限”の検討が始まったのか?福岡県議会事務局によると、複数会派の中で、『強引すぎる取材方法や議会棟の本来の目的を阻害しかねない取材方法をとる方がいて、それは正当な取材とは言えないではないか』といった議論が活発となり、議長に対し、取材のルールを明確にしてほしいとの要望が寄せられたためと説明している。

「一定の制限はかかると思うが、あくまで議会活動を正常に行うための範囲で適用していく」と福岡県議会事務局の松尾健次長は語る。

「時代に逆行している」との意見も

そもそも複数の議員が『強引すぎる取材』と感じる原因は何だったのか?実は、福岡県議会を巡っては、『部課長会による政治資金パーティー券の購入』や『“高すぎる”議員の海外視察』などが問題となり、各社が一斉に取材するなど、議員側にとって“不都合な取材”が増えていたことが背景にあるのか。

これまで、福岡県議をはじめ、全国各地の議会での取材経験豊富なジャーナリストの鈴木哲夫氏は、「他でも問題があったり、トラブったり、マスコミが取材に押しかけて、ということはあったけれども、『ルールは守ってくださいよ』という程度の話であって、ここまで規制したケースはないと思う。

1番大事なのは、県民の知る権利、マスコミは知る権利の先頭にいる。何が起きるのかを知らせるためにマスコミは、カメラを構えて取材する訳だし、逆に公人である議員達は、それに答える義務がある」と今回の取材規制が、踏み込んだ異例の対応であるとの見方を示した。

県議の中からも今回の事務局の方針には、異論が上がっている。「大義もないし、やるべきではない。主要会派だけではなく、少数会派の意見も聞くべきだ」「時代に逆行している。全国に福岡の恥をさらすことになる」。

『議長による指示は事実でない』

福岡県議会事務局は、一部報道による『蔵内議長による事務局への指示』は事実ではなく、議長は、副議長と相談の上、議会運営委員会の小委員会に取材等のルールづくりについて諮問しただけと事務局長名の文書で以下のように訂正している。(一部抜粋)

『現在、議会運営委員会の小委員会において、そもそもそのようなルールを定めることの是非と、定める場合は、どのようなルールが適切かという論点について検討するため、 素案を示し、各会派のご意見を伺っている段階です。

したがって、添付の通知文は最初の素案であり、まだ、内部的なたたき台にすぎません。これから、県議会の各会派の意見や必要に応じて報道機関の方の意見を伺い、ルールをつくるか否か、そしてつくる場合はどのようなルールとするかの検討が進められることになります。まだ、何も、決まっていないのです』。

この問題について、福岡県議会の蔵内議長と中尾副議長は、「報道規制などは、とんでもない話で、私は報道の自由を守り報道機関との信頼関係を維持することが大事だと考えています。

福岡県議会 蔵内勇夫議長
福岡県議会 蔵内勇夫議長

しかし、その一方で『議会の秩序を守り取材への正確な質疑応答ができるようにしてほしい』との議員からの要望も当然であり重要だと考えています。素案がまとまったら、いろいろな方のご意見も伺うようお願いしようと思いますし、必要に応じて私も記者の方と意見交換したいと思っています」とコメントを出した。

今後、取材を巡る福岡県議会の“ルールづくり”は、どういう形になるのか。全国の自治体や議会の注目が集まっている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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