海から島根半島から北に約80キロ、隠岐諸島・島後に伝わる代表的な民謡が「隠岐しげさ節」です。
隠岐の島の美しい風土や別れゆく男女の心情を情緒豊かに唄いあげる「しげさ節」。
越後・新潟で歌い継がれた「しゅげさ」唄が江戸時代中期から後期に海を渡って隠岐に伝わり、島の風土に培われるうち、今の形になったと言われます。
JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
隠岐しげさ踊りに参加させていただきます!わくわくしています!
藤田さんが参加したのは5月9日、隠岐の島町で行われたしげさ踊りパレード。
伝統の「しげさ節」を受け継ぎ、観光の目玉にと開催され今回が54回目。
2026年は21団体、約670人が参加しました。
藤田さんは2026年、隠岐空港利用促進協議会の一員として初めて参加。
3月に任命された町の観光大使の名にふさわしい踊りを披露しようと、練習を重ねてきました。
藤田さんのような初心者もいる一方で、参加者にはこんな強者もいました。
吉岡陽子さん、81歳。
第1回からこのパレードに参加。
「しげさ踊り歴」を始めて約60年という大ベテランです。
吉岡陽子さん:
すごく若い時から地域のためにやりたい思いが強いので、あえてやっています。
”おいでかす”みたいですけど、のぼせという意味です。
年齢を感じさせない立ち振る舞いに、どこか気品も感じさせる所作…。
長年パレードに参加してきた吉岡さんですが、最近、少し気になることもあるのだそうです。
吉岡陽子さん:
だんだん少なくなってきてます。参加者が。子どもたちも少ないし。
参加者の減少です。
人口減少や少子化に伴って年々減少傾向ですが、コロナ禍による中止を経て、かつてのほぼ半分にまで激ってしまったそうです。
こうしたなか、希望の光も…。
2026年初めて参加した西郷相撲クラブ。
子どもたちが伝統の隠岐古典相撲を受け継いでいます。
西郷相撲クラブ・松井雄介代表:
(相撲をする人も)やっぱり減ってきてますので、国スポもあるのでアピールできればと思って。
伝統のしげさ節を無事、次の世代に引き継げるか…。
気がかりは残りますが、この日は抜けるような青空のもと、常連から初参加までの人まで思い思いにしげさ節の世界に浸りました。
JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
一体感があって、楽しかったです。隠岐のことが、もっと好きになりました。
もっと隠岐の良さを皆さんに伝えたいと思います。
吉岡さんも踊り終えました。
吉岡陽子さん:
相撲の子どもがいて感動した。人数は少ないけど良かった。
私は全然大丈夫。ちょっと頑張ろうかな。後輩たちが辞めたら困るというの。もうちょっと頑張ろうかな。
しげさ踊りパレードでは、その年、最も楽しく踊った団体に「しげさ大賞」が贈られます。
2026年、その栄えある賞に選ばれたのは地元の隠岐水産高校でした。
メンバー22人のうち、生徒は12人。
そのうち8人が島への「留学生」です。
隠岐水産高校島留学生:
地域の人がみんな一緒になって頑張ってるの見て、すごくいいなと思いました。
島の外からの参加者が伝統に触れることで次の時代につながればと期待します。
隠岐の島町観光協会・平野禎彦事務局長:
古くからの伝統が人が少なくなって立ち行かなくなっている部分もあります。島外からも応援していただけたらと思います。実際見ていただく、生で見ると迫力があります。楽しいですからぜひお越しください。
5月10日は「隠岐しげさ節全国大会」。
東京や千葉、遠くは鹿児島から参加した愛好者が日ごろ鍛えたのどを披露しました。
日本海の離島に息づく「しげさ節」。
伝統のバトンを次の世代に渡すため、島民は「新しい風」に期待しています。