立憲民主党と公明党の衆院議員が合流して結成された中道改革連合は、2月の衆院選で歴史的大敗を喫した。参院議員や地方議員が残る立憲民主党の都連は、来春の統一地方選に向けて立て直しを模索している。

その中で、都連会長選挙では当初、会長就任が確実視されていた蓮舫参院議員が地方議員に敗れるという大番狂わせも起きた。なぜこうした結果になったのか、そして中道改革連合や公明党との合流問題にどのような影響を与えるのか、関係者への取材を通じて迫った。
「地方議員の下克上」蓮舫氏の敗北に波紋広がる
「選挙はやってよかったと思う。やはり今まで1回もなかったということに色々な思いを持っている人たちの声もよく分かった。その意味では、川名さんはずっと一緒にやってきた仲間だから、よい形で終わったと思う」

15日夜、立憲民主党の東京都連会長選を終えて、こう語ったのは蓮舫参院議員だ。
これまで立憲民主党の都連会長は長妻昭衆院議員が務めていた。しかし、長妻氏が2月の衆院選前に中道改革連合に合流するため離党し、約4カ月間空席となっていた。
都連会長選は、会長代行の蓮舫氏と武蔵野市議の川名雄児氏の一騎打ちとなった。
当初、知名度があり、参院議員を務める蓮舫氏が無投票で就任することが既定路線と見られていたが、川名氏の立候補で選挙戦となった。
地方議員や総支部代表ら計205人が投票した選挙では、蓮舫氏が81票に対し、川名氏が124票を獲得して当選を果たした。
この大番狂わせに、ある関係者は「地方議員の下克上だ」と評し、永田町でも波紋が広がった。

中道改革連合の幹部の1人は「まさか蓮舫氏が負けるとは思わなかった。ビックリした」と漏らし、あるベテラン議員は「それだけ都連執行部への不満が大きかったということだろう」との見方を示した。また、蓮舫氏を支持する関係者からは「ガッカリした」と落胆する声も上がった。
国民民主党のある幹部は「負け惜しみや嫌味すら言えないまでの大惨敗」と指摘。蓮舫氏が2024年の東京都知事選で3位で落選したことを踏まえ、「東京都民のみならず、党員からも見放された結果だ」と冷ややかに見る。また、別の幹部からは「時代の変化を感じる」と前向きに受け止める声も出ている。
一方、立憲民主党を支援する労働組合の中央組織「連合」の関係者は「自分がなぜ人気がないのか振り返る機会になればよいが、無理だろう」と蓮舫氏を突き放した。
都連執行部への不満、統一地方選への危機感
川名氏に敗れた後、蓮舫氏は記者団の取材に対し、どのような都連にしてほしいか問われると、「お互い言っていることは同じだったと思う」とした上で、次のように言葉を続けた。

「各級議員の皆さんがちゃんとモノが言える、そして東京都連として来年の春(統一地方選)、勝っていける体制を一緒に作れればと思っている」
この後、敗因について記者に質問されると、蓮舫氏は無言でその場を後にした。
一方、蓮舫氏を破った川名氏は、その勝因について次のように語った。
「都連と立憲民主党の現状に対して、不満を持っている自治体議員の仲間がたくさんたくさんいたということは実感している。立憲民主党を立て直したい、再生しなくてはいけない、最初の頃の熱気に戻りたいという人がこれだけたくさんいたということに私自身もビックリしている」
立憲民主党の衆院議員が中道改革連合に合流したため、都連に所属する国会議員は蓮舫氏や塩村文夏氏ら参院議員4人のみで、都連では地方議員が大きな勢力を占めている。
多くの地方議員には、これまでの都連執行部の組織運営に対する不満のほか、2月の衆院選で党に所属していた衆院議員が中道改革連合に合流して大敗を喫したことへの不信感などがあると指摘される。
さらに、来春に控える統一地方選への危機感もある。関係者の1人は次のような見方を示す。
「党勢が低迷する中、統一地方選でこれまでと同様に新人候補を擁立していけば、現職の地方議員が落選する可能性がある。このため、地方議員の中には、川名氏を会長につけて新人候補の擁立を阻もうと考えている人もいるのではないか」
都連会長選の推薦人では、蓮舫氏が都議ら17人にとどまったのに対し、川名氏は区市町議を中心に59人集め、3倍以上の差をつけた。
蓮舫氏の推薦人に名を連ねた関係者の1人は「不満を持っていた地方議員は一時的に溜飲を下げるかもしれない。しかし、統一地方選で誰が陣頭指揮を取るのか。川名氏にその経験はあるのか。後で痛い目を見ることにならないか、心配している」と漏らす。
中道・立憲・公明3党の合流への影響に様々な見方
「極めて親しいとはいえ、他党のことになる。ちょっと踏み込んだことは申し控えたい」
蓮舫氏の落選という大番狂わせの翌日、中道改革連合の小川代表は東京都内で記者団に対し、こう述べた上で、「新たな体制で活力が高まることを期待している。さらに連携を強めるという方向で党として努力したい」と語った。
その2日後の18日には、立憲民主党の水岡代表が記者会見で、都連について、「新しい体制ができたことを踏まえながら連携を深めていきたい」と述べる一方で、次のような認識を示した。
「党運営にどう影響していくかは別の話だ。とりわけ大きな影響を及ぼし、変化をもたらすことではない」
さらに、水岡氏は、中道・公明両党との合流問題について、次のように強調した。
「私達はボトムアップの党運営をもう一回、原点に戻ってやりたいと申し上げている。意見は意見として伺っていきたい」
立憲民主党の地方議員には中道・公明両党との合流に慎重な意見が根強い。今回、都連会長に地方議員が就任したことで、全国的に合流に影響を与えるのではないかとの指摘も出ている。
これに対し、立憲民主党の幹部の1人は、今回の結果について、「あくまでも都連執行部に対する不満の意思表示だ。中道・公明両党との合流問題には影響しないのではないか」との見方を示す。
また、中道改革連合の幹部も「蓮舫氏が合流推進派であれば負けたことで影響したかもしれない。しかし、蓮舫氏は慎重派だ。合流の話に影響はない」と同調する。
一方、かつて立憲民主党都連に所属していた中道改革連合の関係者は次のような見方を示す。
「これまで中道改革連合はあえて都連を作ろうとしなかった。しかし、今回の結果を受けて、都連結成を求める動きが出てくるかもしれない。中道改革連合に都連という受け皿ができれば、その動きが全国各地にも広がり、合流にもつながっていく可能性がある」
合流への影響について様々な見方が出る中、都連会長に選出された川名氏は、今後の中道改革連合との関係について問われると、「元々は同じ仲間だった。話し合いをしていくべきだと思っている」と述べた上で、次のように続けた。
「まず立憲民主党自体が今回、立ち戻って立ち直らないといけない。そこから先の話だと思っている。中道は中道の考え方もあるだろうが、まず立憲民主党が初心に戻って、国民と一緒に戦える政党にしてから、その先を考えたい」
立憲民主党が初心に戻って党再建を実現できるか、そしてその先に中道改革連合や公明党との合流があるのか、まだその先行きが不透明であることは間違いない。
(フジテレビ政治部 野党担当キャップ 木村大久)
