高市政権が衆院で圧倒的な議席を占める中、野党第1党として対峙する中道改革連合は今、難しい舵取りを迫られている。
中道改革連合は、1月、立憲民主党と公明党の衆院議員が合流して発足した。一方、参院では、立憲・公明両党がそれぞれ活動を続けている。3党の合流をめぐり、早期実現を目指す中道改革連合に対し、立憲民主党は慎重な姿勢を崩していない。3党の合流が進まない現状、そして今後の課題などについて関係者への取材などで迫った。
衆院選総括の素案に「立憲・公明合流の早期実現」
「最終的にどういう総括案として出てくるかは、まだ分からない。そういう文言が残るのか残らないのかも含めて、まだ不明だ。中道という新しい党への合流が色々な意見を受けている。立憲民主党はどうするのか問われていることも事実だ」
20日の記者会見で、中道改革連合が取りまとめた衆院選の総括の素案について、こう語ったのは立憲民主党の水岡俊一代表だ。
中道改革連合は2月の衆院選で、選挙前の172議席が49議席と、3割以下に減らす大敗を喫した。小川淳也代表ら新執行部は衆院選総括の素案を取りまとめ、14日、所属する国会議員や落選者に説明した。
素案では、「最大の誤算」として、「立憲と公明の支持基盤を合算すれば、一定の議席を確保できるとの前提に立ったことである」と強調。立憲・公明両党の支持層、特にこれまで立憲民主党を支持していた無党派層などの一部離反を招いたと指摘している。また、「中道改革連合に対する拒否層が約2000万人に及び、自民党の拒否層(約900万人)の倍以上に達した」として、「極めて深刻に受け止めなければならない」としている。
今後、必要な取り組みの1つとして、「拒否感を和らげる党改革の着実な実行」を掲げ、「ネガティブイメージ解消、イメージ刷新、ブランド再構築を図る」と明記した。そして、具体的には、「衆参でバラバラである限り『選挙互助会』のイメージ払拭は困難」として、「立憲民主党との丁寧な協議を前提とした参院の立憲・公明合流の早期実現」などを盛り込んだ。
先述の会見で、この素案を踏まえ、中道改革連合への合流について見解を問われると、水岡氏は次のような考えを改めて示した。
「様々な意見をしっかりと受け止めて、党内でもっともっと考え、議論していきたい。私としては急ぐつもりはない。しっかりとした時間を確保したいということに変わりはない」
また、水岡氏は17日夜のインターネット番組では、中道改革連合に合流しない可能性を問われ、「選択肢としてはある」とも発言。同じ番組では、公明党の竹谷とし子代表が「合流すべきだ」と語り、両党の温度差も目立った。
立憲・水岡代表「急ぐつもりはない」合流時期に温度差
中道・立憲・公明3党の合流がなかなか進まない現状に対し、中道改革連合の小川代表は10日の会見で、次のような危機感を示している。
「選挙の大敗後、この問題についてはじっくり時間をかけて、丁寧に構えを取る必要があるという認識だった。しかし、最近の世論調査等を見ていると、私ども中道もそうだが、立憲、公明合わせて3党が非常に厳しい状況に置かれている」
FNNが18・19両日に実施した世論調査では、自民党の支持率が33.0%だったのに対し、中道改革連合は3.2%。2月は7.6%、3月は5.7%で、この2カ月で4ポイント以上、支持率が下落。今回は共に4.1%だった国民民主・参政両党に政党支持率での「野党第1党」の座を譲った。さらに、立憲民主党は1.8%、公明党は1.2%で、いずれも前回3月と比べてほぼ横ばいの状況で、伸び悩みを見せている。
こうした状況について、小川氏は次のように言葉を続けた。
「3党がいずれも片輪走行、政党としての円満な体裁に至っていない。この状態が長く続けば続くほど、3党全体として体力を消耗し、国民の期待や信頼を集めるスタート地点、土俵の枠内になかなかとどまりきれないのではないか」
そして、「当初、時間をかけてという気持ちの方が強かったが、最近はやや急いで方向性を見いだしていかなければならないという危機感に変わりつつある」と強調した。
こうした小川氏の危機感に対し、立憲民主党は早期合流に慎重な姿勢を崩していない。
3日後の会見で、水岡代表は次のように述べ、スタンスの違いを見せた。
「急ぐつもりはない。具体的なスケジュール感を持っているのかもしれないが、私たちとしてはしっかり丁寧な議論をしていくということだ。そこの立場の違いは明らかだ」
その上で、将来的に党として衆院選で候補者を擁立する可能性にも言及した。
この水岡氏の発言直後、中道改革連合の関係者は「報道各社の世論調査の中には、立憲民主党の方が政党支持率が高い結果のものもある。強気になっているのではないか」と懸念を示した。
小川氏「真意変わらない。誤解広がらないように努力」
水岡氏の発言から2日後、会見に臨んだ小川氏は、改めて早期合流が望ましいとの認識を示した上で、次のように述べた。
「立憲民主党内の党内事情があり、複雑な状況下で様々判断して、発信しているという諸事情については十分理解しているつもりだ。むしろ水岡代表が抱えている様々な諸事情を尊重したい」
そして、水岡氏とは連絡を取って意思疎通を図っていると明かし、「真意は私が申し上げていることと変わらないという認識だ。党内にも誤解が広がらないように私の方で努力している」と説明した。
水岡氏の発言を受け、中道・立憲・公明3党内では少なからず動揺が広がっている。
中道改革連合が14日に開催した落選者とのオンライン会議の場でも不安の声が上がった。FNNの取材では、報道陣に非公開の部分で出席者から次のような声が出たことが分かっている。
「候補者支援、公認作業を進めるにあたって、立憲・公明両党とはどれぐらいコミュニケーションが取れているのか、少し不満を感じている。私は今の中道改革連合は立憲民主党の延長線上にあって、今ここに立っているという認識でいる。一方で、立憲民主党が衆院選の候補者擁立みたいなネットニュースもチラッと見えてくる中で、その辺はどれぐらいコミュニケーションを取っているのか」
これに対し、小川氏は「大変残念なことに離党者も複数名出ている。立憲民主党として入党までは拒まないということはハッキリしている。一方、総支部長として任命し、衆院選に擁立するということは基本的に考えていないということだ」と強調した。そして、水岡氏とはコミュニケーションを取ったとして、水岡氏の発言の真意について次のように説明した。
「互いに片輪走行しているような状況では十分な国会活動、政党活動にならないという趣旨のことが言いたかったことだ。衆院にも議員がいる状態を作らないと、政党として円満な状態にならないというのが本意だったということを確認している。大変心配をかけていることをお詫びしたい」
さらに、関係者によると、その日の夜、小川氏は東京都内で公明党の竹谷代表とも会談し、水岡氏とのやりとりを伝えたという。会談には中道改革連合の階猛幹事長、公明党の西田実仁幹事長も同席した。
総括素案「1000万票超える負託の重み忘れてはならない」
それでは、中道改革連合に合流せず、立憲民主党として選挙を戦った場合にはどうなるのか。
中道改革連合の総括素案では、2月の衆院選について、党独自の調査データなどをもとに試算した結果として、次のような見方を示している。
「自民党の政党支持率が大幅に上昇した背景にある無党派層の大幅な縮小という構図の中にあっては、政党の好感度が立憲民主党並みに戻ったとしても、無党派層等の自民以外の支持層から獲得できる票の規模は限定的で、公明党が近年獲得してきた500万~600万規模の票を上回ることは、相当困難である。したがって、新党を結成せずに、立憲民主党が単独で選挙戦を戦った場合、ほとんどの小選挙区で、議席獲得が極めて困難であった可能性が高いと考えられる」
高市政権発足後、衆院選を前に、立憲民主党は党独自で情勢調査を実施した。FNNの取材に対し、ある関係者は議席が半減する可能性を示す結果だったと明かす。旧執行部が中道改革連合の結成という判断に傾いた要因の1つとして推察できる。
中道改革連合の関係者は「次の参院選を立憲民主党で戦っても選挙区では壊滅する。合流の決断を延ばせば延ばすほど追い込まれていく」と危機感を示す。
一方、立憲民主党の幹部は「党内には様々な意見がある。参院選の立候補予定者でも選挙区と比例代表でそれぞれ意見が違う。強引に合流という方向に舵を切ればそれこそ分裂してしまう。合流しないということではなく、その時期は慎重に考えるべきだということだ」と苦しい胸の内を漏らす。
中道改革連合のベテラン議員も「立憲民主党は多くの地方議員を抱えている。その意向を無視して勝手に決めることはできないのではないか。一定の時間がかかるのも仕方がないし、地方議員から合流してほしいという声が出ない限り、なかなか難しいのではないか」との見方を示す。
先述の総括素案では、「小選挙区、比例区いずれにおいても、1000万票を超える有権者から、我が党に対する負託を頂戴したことの重みを決して忘れてはならない」とした上で、次のように続けている。
「この1000万票を超える負託の重みを踏まえつつ、中道改革連合を本来あるべき姿に築き上げるとともに、必要な党改革に着手すべきである」
党再建への道筋を歩み始めた中道改革連合が立憲・公明両党との合流を実現できるのか、そして「本来あるべき姿」を構築することができるのか、その行方は依然見えてこない。
(フジテレビ政治部 野党担当キャップ 木村大久)
