2026年度予算が7日の参院本会議で、与党の自民党、日本維新の会に加え、野党の日本保守党などの賛成多数で可決され、成立した。衆院での予算審議では、圧倒的な勢力を持つ高市政権に対し、野党第1党として対峙(たいじ)した中道改革連合は必ずしも十分な存在感を発揮できたとは言えない。
立憲民主党で代表も務めた中道改革連合のキーパーソンがFNNの単独取材に応じ、衆院選大敗、その後の支持率の伸び悩み、そして今後の党勢浮揚への一手などについて語った。
国会質問は「もっと提案型で。本質、成果、礼節が必要」
「高市総理の春一番が、国会内に吹き荒れた」
2026年度予算の成立を受けて、FNNの単独取材にこう語ったのは中道改革連合の泉健太衆院議員だ。

年度内成立を目指した政府与党は3月13日、野党側が異例の審議時間の短さなどを理由に反対する中、衆院予算委員会と本会議での採決に踏み切った。
自民党は、委員長の職権による委員会開催を重ね、強気な国会運営が目立った。
一方で、中道改革連合は、注目された国会論戦などで必ずしも強い存在感を示したとは言えないとの声も出ている。
国会論戦のあり方について、泉氏に尋ねると、「もっと提案型でよいと思う」とした上で、中道改革連合の小川淳也代表の胸中について次のような見方を示した。
「これまで所属していた立憲民主党、現在所属する中道改革連合の何を変え、何を維持するのか、そのあたりを苦労している。野党としての責任、特に監視、批判ということについて、新しい党の姿を模索しているのではないか」
小川氏は3月9日の衆院予算委員会での質疑の最後に、閣僚に対し、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)観戦の有無について質問し、SNSを中心に批判を浴びた。
その後、記者会見で小川氏は、「時間不足もあって中途半端な形になって、大きな批判をいただいたことは受け止めたい」と釈明した。
これに関し、泉氏は「小川代表の迷いだと思う」と指摘し、「外堀を埋めるような質疑、マスコミの扱いを狙った質疑を評価しない国民が増えている。単刀直入にその質問の意図が分かる質疑を行うべきだ」との考えを示した。
そして、国会で質問する際には、「本質・成果・礼節、この3つは必要だと言い続けてきている」とした上で、中道改革連合に所属する議員に対し、次のように求めた。
「その質問がどんな意図で行われる質問なのか、本質は何か、そして成果は何か、質問は国益にかなうのか、国民生活にプラスなのか、そして礼節、リスペクトを旨とする。特に本質と成果を常に意識して質問することが必要だ」
泉氏がかつて所属していた立憲民主党は、SNSなどで国会での質問に批判が集まるケースが多く見られた。それが党の支持率の低迷につながったとの指摘もあるが、泉氏は反省も込めて次のように振り返った。
「対自民党でいかに打撃を与えるかではなく、国民に向けて自らがどんな貢献ができるのかというスタンスで質問をする。そういう姿勢がもっと見えていれば支持率は上がったかもしれない」
中道結成に「大胆な針路。私の選択肢にはなかった」
2003年の衆院選で、旧民主党の候補者として初当選を果たした泉氏は、補欠選挙も含めれば10回の当選を重ねている。2024年の立憲民主党の代表選では、再選を目指して立候補したが、元総理の野田佳彦氏に敗れ、代表から退いた。
その後、立憲・公明両党の衆院議員が合流して結成された中道改革連合に参加。
2月の代表選では、党代表の経験者であることに加え、SNSでの発信力などから泉氏を推す声も出ていたが、立候補は見送った。
衆院選大敗から2カ月が経過した今、敗因についてどのように分析しているのか。

「執行部は局面を打開しようと起死回生の一手を打とうとしたが裏目に出た。さらに、そこに至るまでに野党第1党としての存在感の低下、新機軸を打ち出すことができなかったことなどが挙げられるのではないか」
泉氏は敗因の1つとして「存在感の低下」を指摘し、次のように言葉を続けた。
「前々回の衆院選で150近い議席を獲得して以降、年末の補正予算では能登の復興予算を1千億円積み、高額療養費制度の負担上限額引き上げを止めたという実績はあった。しかし、それ以降、具体的な成果、実績、次なる政策の選択肢を提示できなかった。むしろ他党に土俵を譲ってしまい、立憲民主党としての存在感が薄くなってしまった」
それでは、旧執行部が「起死回生の一手」とした新党結成について、泉氏は事前に聞いていたのだろうか。
泉氏は「私は常勤顧問だったので、幹事長から両院議員総会の直前に、その方針で行くという話はあった」と明かし、当時の心境について次のように語った。
「相手とも合意をしたということだったので、そこまで話が深まっていたのかと驚きもした。大胆な針路だと思った」
さらに、仮に自身が代表だった場合に新党結成という決断をしたか尋ねると、泉氏は自分ならそういう決断に「至っていない」と即答し、その理由について次のように説明した。

「私は基本的に自らが所属する政党を伸ばすために党の代表をしてきた。所属する党を発展的に解消することは私の選択肢にはなかった」
そして、衆院選直前での中道改革連合の結成について、「国民に理解をしてもらうにはあまりに時間が足りなかった」と指摘し、当時は「自公連立政権が解消され、次の選挙に向けての希望がかなり生まれてきていた。公明党とは連携ということでやっていけなかったのか」と疑問も呈した。
その上で、「自分でもやったかと言われれば、やらなかったと思う」と強調した。
野党の合流戦略に「青い鳥を求めてはいけない」
党再建に向けた道筋を模索する中道改革連合だが、その支持率は伸び悩んでいる。
FNNが3月14・15両日に実施した世論調査では、自民党の支持率が31.8%だったのに対し、中道改革連合は5.7%。政党支持率での「野党第1党」の座は譲らなかったが、前回2月の7.6%に比べると、2ポイント近く下落している。
泉氏は立憲・公明両党の合流が進んでいないことが今の支持率にも影響しているのではないかと分析する。
「1000万以上の得票をいただいた中道改革連合に注目が集まっているからこそ、投票した方々も戸惑っているのではないか。立憲民主党、公明党とのあり方がまだはっきり示せていないということが現在の支持率につながっているのではないか」
そして、中道・立憲・公明3党の執行部に対し、次のように求めた。

「とにかく力を合わせ、力を最大化する。そのために精力的に話し合いを重ねるべきだ。そうすればおのずと結論は見えてくる」
かねてから泉氏は「自らが所属する政党を大事にすべきだ」と主張している。2017年の衆院選前に結成された希望の党を例に挙げ、野党の合流戦略に苦言を呈したこともある。改めて発言に込めた思いについて尋ねると、泉氏はある童話劇に言及し、次のように強調した。
「自分の所属する政党を愛し、その場その場で咲かせるべき花を咲かせるべきだ。“青い鳥”を求めても仕方がない。今いるところで花を咲かせることをせずに、“青い鳥”を求めてもよい答えは出てこない」
泉氏が言及した「青い鳥」とは、ベルギーの詩人・劇作家のモーリス・メーテルリンクが発表した作品で、幸福を象徴する青い鳥を探す兄妹の冒険を描き、「幸福は身近にある」というメッセージを伝えているとされる。
泉氏は「今いる場所で努力すべきだ。隣の芝は青いという言い方もあるかもしれないが、新しいものを次々と求めていっても、努力しなければ何も変わらない」と語った。
「情熱あるストイックなエース」小川代表に期待感
旧民主党時代には、泉氏は小川氏と共に、仙谷由人元官房長官や現在は日本維新の会に所属する前原誠司氏らを中心メンバーとするグループ「凌雲会」に籍を置いていた。
昔からの“同志”とも言える小川氏について、泉氏は今どのように見ているのか。
取材の最後に尋ねると、小川氏について「情熱あるストイックなエース」と評した上で、その理由を次のように説明した。
「情熱あるエースというと、江川卓氏のような剛速球を投げるというイメージになるかもしれないが、小川氏はどこか倒れるのではないかというところまで自らを追い込み、絞りに絞った体や精神が宿っている。後ろを振り向くことなく、ボールを投げ続けている。そんな人だ」
そして、「党代表としては新人なので佐々木朗希だ。そこから大谷翔平になってもらいたい」と述べた上で、「まだ試行錯誤も続いているが、小川代表のボールが政界をうならせる日が来るのではないか」と期待感も示した。
その小川氏は3月4日、自身のSNSに次のように投稿している。
「世界初の1億人サイズの競争力ある福祉国家へ。その全体像を、党内論議を経て近々必ず示す」
小川氏はその後の日本記者クラブでの記者会見でも、党独自の国家ビジョン策定に着手し、今国会中にも提示したいとの意向を表明した。
取材の中で泉氏は、2014年、小川氏がそれまで温めてきた私案「日本改革原案」のたたき台であるペーパーを、小川氏から直接手渡されたことを明かした。
ペーパーを読んだ当時の感想について尋ねると、泉氏は「大胆だ」と漏らしたうえで、小川氏に対して次のように求めた。

「いかに『日本改革原案』を国民に分かりやすく具体策として提示するか。翻訳や解説が必要となるだろうし、そこに多くの仲間を巻き込んで世に発信してほしい」
かつて泉氏が「大胆」と感じた国家ビジョンが中道改革連合の「党論」となるか、そして党勢浮揚に向けた一手となるか、その行方に注目したい。
(フジテレビ政治部 野党担当キャップ 木村大久)
