県本土と離島を結ぶ航空路線で、2人の新人パイロットが初フライトを果たした。鹿児島大学と日本エアコミューターが共同で立ち上げたパイロット養成プログラムの1期生だ。奄美の地では90歳の祖父母が横断幕を掲げて孫の到着を待ち、「胸がいっぱいです」と声を詰まらせた。
鹿児島空港を飛び立った2機のプロペラ機
5月20日の朝、鹿児島空港。奄美大島行きのプロペラ機に乗り込んだのは、奄美市出身・入社2年目の立山陸さん(26)だ。副操縦士席で運航前の準備を入念に済ませ、定刻通り奄美へと機首を向けた。

同じ時間帯に出発した別のプロペラ機には、鹿児島市出身の奥紘輔さん(28)が搭乗。こちらは屋久島へと向かった。

2人はともに、鹿児島大学と日本エアコミューターが5年前から共同で実施するパイロット養成プログラムの1期生である。大学卒業後は熊本の崇城大学でパイロット免許を取得し、入社後も約1年間の訓練を重ねてこの日を迎えた。
「じいちゃんばあちゃん、元気でいてよ」——奄美で待ち受けた家族
立山さんが搭乗した便は、奄美空港に予定より10分ほど早く到着した。デッキでは祖父の栗栖二郎さん(90歳)と祖母の栗栖康子さん(90歳)が横断幕を手に孫を出迎えた。

「胸がいっぱいです。小さい頃から飛行機ばかり見ていた」と二郎さんは目を細める。康子さんも「本当にうれしいです。6年前から『パイロットになるから、じいちゃんばあちゃん元気でいてよ』と言っていた」と振り返った。

立山さんはデッキに向かって手を振り、その言葉に応えた。
「パイロットになったんだな、という実感がわいてきた」
初フライトを終えた2人は、それぞれ鹿児島空港へと帰還した。その表情には安堵がにじんでいた。
奥さんは「すごくうれしかったし、パイロットになったんだなという実感がわいてきた」と率直な喜びを口にした。立山さんは「安全に一往復運航できたことにホッとしている」と静かに語り、周囲からは「ナイスフライト!」の声が飛んだ。

地域の空を支える人材を育てる
鹿児島大学と日本エアコミューターによるこのパイロット養成プログラムは、県本土と離島を結ぶ航空路線を将来にわたって維持していくための取り組みだ。離島住民にとって航空路線は生活インフラそのものであり、地元にゆかりのあるパイロットが操縦桿を握ることの意義は小さくない。

現在、後続の5人がプログラムの訓練を続けている。1期生2人の初フライトは、地域の空を支える人材育成の歩みが着実に前進していることを示す一歩となった。
【動画で見る▶新人パイロット初フライト 鹿児島大×JAC養成プログラム1期生がデビュー 鹿児島空港から奄美大島・屋久島へ】
