鹿児島ユナイテッドFCのユニフォームの胸に刻まれてきた「さつま島美人」の文字が、今シーズンをもって交代を迎える。クラブ創設当初からオフィシャルトップスポンサーを務めてきた酒造会社・長島研醸が、自らその座を譲ることを決断した。「クラブが大きくなるためには大きな支援が必要」——そう語る長山正盛代表の言葉の裏には、13年分の思い出と、クラブへの深い愛情が詰まっていた。

「夢を託した方がいいのでは」——自ら身を引いた決断

鹿児島県長島町平尾に本社を置く長島研醸は、1967年創業の歴史ある酒造会社だ。看板商品は芋焼酎「さつま島美人」。鹿児島ユナイテッドFCがクラブを創設した当初からオフィシャルトップスポンサーとして名を連ね、選手たちが纏うユニフォームの胸には長年その名が輝き続けてきた。

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その長島研醸が5月17日、南日本新聞に見開き広告を掲載した。見出しにはこう書かれていた。

「いま、その想いを新たな力へ託します」

胸スポンサーの交代を告げるこの広告に、多くのサポーターが驚きとともに深い感謝の念を抱いた。なぜ今なのか。長山代表はその理由をこう話す。

「百年構想リーグが始まる前に相談した。クラブが大きくなるためには大きな支援が必要。『夢を託した方がいいのでは』という気持ち」

自らの意志で、スポンサーの座を次へと引き渡す——それは決して「撤退」ではなく、クラブの未来を思っての、前向きな選択だった。

J3参入から13年、語りきれないほどの思い出

鹿児島ユナイテッドがJ3に参入してからの13年間は、長山代表にとって忘れられない歳月だ。

「J3に参入したときに『どうなるんだろう』、企業としても『えらいことになったな』と。試合もですけど、色々な選手の思い出も数多くある」

地域の一つの酒造会社が、プロサッカークラブと歩みをともにする——そこには単なるビジネス上の関係を超えた、地域コミュニティとしての連帯感があった。鹿児島という土地で生まれたクラブと、同じく鹿児島・長島の地で酒を造り続ける企業が、ともに成長を目指してきた13年間である。

逆転ゴール後の「胸を指さす」パフォーマンスに涙

そして迎えた5月17日、今シーズンのホーム最終戦。試合中、逆転ゴールを決めた広瀬選手がある行動を見せた。ユニフォームの胸にある「さつま島美人」のロゴを指さすゴールパフォーマンスだ。

「(ゴールを)入れてくれて、胸を指さしてくれて涙が出ました。引き合わせてくれた」

長山代表はそう振り返る。スポンサーとして最後のホーム最終戦となったその日、選手が自らロゴを指さして示してくれた——この瞬間は、13年間の支援が選手たちにも確かに届いていたことを物語っていた。

試合後のホーム最終戦セレモニーでは、クラブから長山代表へ感謝状と記念品も贈られた。スタジアムを包んだ拍手は、長年の支援への敬意そのものだった。

「今まで通り協力したい」——支援は続く

胸スポンサーの座は次へと託されるが、長山代表の鹿児島ユナイテッドへの思いが終わるわけではない。

「やることは継続していきたい。今まで通り協力したい。勝利の乾杯で喜びをチーム、サポーター、企業の皆さんと分かち合ってもらえたら」

形は変わっても、クラブを応援する心は変わらない。「さつま島美人」が胸から消えた後も、長島研醸はクラブとともに歩み続ける。鹿児島の地で生まれた絆は、ユニフォームのロゴだけに宿るものではないのだ。

【動画で見る▶「長島研醸」鹿児島ユナイテッド”胸スポンサー”交代へ クラブ創設時から支援 代表の思い 】

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