Bリーグ1部の島根スサノオマジックは5月3日に行われた最終戦で、2025-26シーズンの日程を終了した。2年連続のCS(チャンピオンシップ)進出は叶わず、島根は28勝32敗と5シーズンぶりの負け越しとなった。また順位は西地区で8位、リーグ全体では14位に終わった。シーズン序盤から選手の負傷が相次ぎ、充分な戦力で戦えず、まさに「いばらの道」の連続だった。

その一方で、出場機会を得た若手選手が大きく成長を果たした面がファンにとって明るい材料となった。

元スサノオマジックの選手で、配信中継で解説を担当したバスケットボーコメンテーターの朴航生さんがシーズンの戦いを振り返るとともに、2026年秋に開幕するBプレミアへの展望を語った。(聞き手:岡本風賀アナウンサー)

バスケットボールコメンテーター・朴航生さん
バスケットボールコメンテーター・朴航生さん
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「ジェットコースターのようなシーズン」高まったCSの可能性と後半の失速

バスケットボールコメンテーター・朴航生さん:

ファンの皆さんも感じているように、ジェットコースターのようなシーズンだったかなと思っていて、本当に中盤まではCSの可能性も見えていました。

メンバーが足りなかったりする状況を、困難も乗り越えながら、そういったところは見せていましたから、そういう期待感も膨らんだ中で、やはり後半に少し失速してしまった。

少し気持ちも落ちながら、エースの岡田選手やマカドゥ選手も次々に離脱して、苦しい状況だったんですけど、最後はまたコートで戦えるメンバーが一丸となって、出られないメンバーも一丸となって、目の前の試合で勝利に向かう姿勢をすごく見せてくれた。

結果としてはCSには届かなかったんですけど、順位もこの5年間で言うと少し沈んでしまったのですけれども、すごくいいシーズンだったんじゃないかなとも思っています。

チーム状況に変動が大きかった今シーズン
チーム状況に変動が大きかった今シーズン

主軸選手の負傷から始まった負の連鎖

Qこの数シーズンと比較して成績が落ちた理由について。

バスケットボールコメンテーター・朴航生さん:

まず1つはコティ・クラーク選手が最初に離脱、1ヶ月ほどですね。オルジョビ選手が加入したりして、どうにか緊急補強で間に合わせながら、その期間に、今シーズン加入した新エースの岡田選手が、持っている爆発力をしっかり見せていた。しかし逆にその彼に少し頼ってしまっていたため、相手も守備の狙いを絞りやすくなっていった。

後半に少しずつチーム状況が明るい兆しを見せ始めた反面、影を差していったところはあって、そういった状況の中で、岡田選手もけがをしてしまったが痛かった。
このシーズンはメンバーがガラッと若くなる中でも、当初は優勝だったり、CS出場を目指していく状況でしたから、中盤までは目の前の試合でしっかり勝たなければならないという戦い方が、結果的には失速に繋がってしまったところもあったと感じました。

論理的かつ熱い解説を披露する朴航生さん
論理的かつ熱い解説を披露する朴航生さん

苦しかったシーズンの中で光った若手選手の成長

Q ペータル・ボジッチHCは、「挑戦」や「若手の成長」をテーマ掲げていたが、若手の成長についての印象は?

バスケットボールコメンテーター・朴航生さん:

これは本当に目を見張るものがあったと思います。もちろん新加入の飯尾文哉選手は、以前のチームではディフェンダーとしての役割が多くて、もともとスコアリング(得点)の能力はあったと思うのですが、それをもう一度このBリーグで、岡田選手と肩を並べるプレーをめざす中で、あれだけのスタッツを今季シーズン通して残した。
(飯尾文哉選手スタッツ:平均得点7.3 3P成功率33.2% 平均アシスト2.0)

このほか、介川選手、序盤に離脱してしまった横地選手もシーズン開幕から素晴らしい姿見せてました。トータルして若手選手の成長は非常に見えたと思います。

Q 今季のチーム体制の違いは

バスケットボールコメンテーター・朴航生さん:

昨シーズンも少し変わってはきていたんですが、より顕著になったのは、外国籍選手、プラス途中で加入した、帰化選手枠のダマ・ムッサ選手も含めて、選手のタイムシェアのやり方とか、メインの選手、ハンドラーの選手に対してのタイムシェアの考え方は、変わっていたと思います。万全のロスターで試合に臨むことが、基本的には60試合の中でなかなか無かったんですが、そういった中でも、常に試合ごとに、出場可能なメンバーでこういう戦い方をするというのが明確にあり、すごく柔軟に、その時々でできることに挑戦して、いろんな選手がステップアップするチャンスがあって、その中で成長していったというのがよく見えたんじゃないかなと思うので、それはかなり大きな違いだったのかなと感じます。

Q シーズン途中で特別指定選手とした加入した荒井翔太選手への評価と期待は。

バスケットボールコメンテーター・朴航生さん:

島根のファンにとっても、クラブにとっても、僕が見ていても、もう1度島根でプレイしてほしいと非常に思いますし、彼個人のことで考えると、ドラフト指名の会場に行って指名されなかった、そういった非常に悔しい思いをバネにして、それをコートで表現し続けているシーズンだったと思います。短期間ではありましたが、来シーズンにどのチームに入ったとしても恐らくは同じようにプレーできると思いますし、よりマークやスカウティングも厳しくなる中で、それをさらに乗り越えていくということが、彼のより素晴らしいプレーに繋がると思います。そういう意味では、やっぱり日本代表の富樫選手や、河村選手などとどうしても比較されると思うんですけど、そういった対象になるような存在だと思うので、今後も荒井選手の力をどんどん証明していってほしいと思います。

Bリーグ新時代「Bプレミア」へ 期待と課題

Q 10シーズン戦ったBリーグからこの秋から「Bプレミア」に戦いの場を移す島根の展望は?

バスケットボールコメンテーター・朴航生さん:

ちょっと蓋を開けて見ないとわからないのは、オンザコートのルールがなくなる点で、どのように各チームが選手を起用していくのか、そこはシーズンを進めていかないとわからない部分ではあります。そして日程が変わるので、ハードな試合スケジュールからの負担は若干軽減はされると思います。

一方で移動が増えたり、1日おきに対戦相手が変わるというスケジュールになり、スカウティング能力や、収集した情報をいかにチーム内で処理して、選手に伝え、選手もそれをしっかりと吸収して、コートで表現できるかという、スカウティング能力と遂行能力と問われることになると思うので、クラブの持ってる組織としての対応力、適応力が求められます。

選手のリカバリーに関しても、今までのやり方を変えていかなければいけないので、そういったところも含めて、結果がどうなっていくかとかは本当に分からないんですけど、選手を常に万全な状態でコートに送り出して、コート上で対戦する相手の情報をしっかりインプットさせた状態で戦えるということができるチームが勝利を重ねていくんじゃないかと思います。

どうしてもスカウティングの時間がかなり限られると思うので、クラブのその能力の高さが割と結果に直結してくると思います。

また選手の能力についても、相手に対して今何をされてるか、今自分たちが何をするべきかというのを、その瞬間、瞬間で判断する能力。島根で言うと、ニック・ケイ選手のようなタイプがチームにいるというのは、非常に大きなことで、こういった選手がより活躍すると思います。

そういう選手を保有してるチームが、上位の成績に繋がっていくと思います。

アリーナを青く染めたスサノオファン さらなる開拓を

Q 今シーズン熱い声援を送ったファンの印象は?

毎シーズン変わらず、松江と同様にあの青く染まる体育館を見ると僕も解説席に座りながら嬉しかった。それがまたBプレミア仕様に改装された松江市総合体育館にホーム会場が戻る中で、より人が集まるような環境で、選手の後押しをしてほしいと思います。今シーズンは出雲の地で試合を開催してきたことは、選手やクラブは大変だったと思うんですが、新しいファンと言うか、会場が松江でなかなか行けなかった人たちが来れたと思いますし、それは特に平日だったらその周辺でお仕事されてる方、土日だったらファミリーなどの層に対して、逆にアプローチできた1年だったと思うので、来シーズン以降のBプレミアで、より大きな集客につながると思う。Bプレミアで戦い続けるためには、観客動員数や売り上げといった目標を常に達成していくためには、この1シーズンがあったからこそだと言えるようになるのと思っています。

2025-26シーズン島根スサノオマジックのMVPは…攻守ともに急成長

Q 朴さんが挙げる今シーズンのMVPは?

バスケットボールコメンテーター・朴航生さん:

介川アンソニー翔選手です。

朴さんが選んだMVPは「介川アンソニ―翔」選手
朴さんが選んだMVPは「介川アンソニ―翔」選手

島根に欠かせない選手になりました。これはコート上で見せるプレー、ディフェンスが相手のビッグマンにも、エース級のボール扱える選手にタイトにつくことができる。若くしてそういったプレーを見せてくれた。シーズン後半になるにつれて、オフェンスでも積極性が非常に上がっていて、サイズがある分だけミスマッチ、優位を作ることができていた。

しっかりとアタックしに行く姿勢も非常に良かったと思いますし、彼の成長なくしては今シーズンのチームの奮起は全くなかったかなと思うので、間違いなく僕の中では今シーズンのMVPだと思っています。

何より、時折見せるコート上の笑顔が良くて、本当にバスケット楽しんでいるところを引き続き見せて欲しい。

介川選手も島根に合流した段階で手などのけががあって、なかなか思うようにスタートダッシュ切れなかった中でも、準備を怠らず、コート上でできることを考え、それを今シーズンずっと見せてくれた点が、いちファンとして見ていてうれしかったので、よりステップアップして、日本代表になることを期待しています。

キャプテンのニック・ケイ選手は「殿堂入り」級…常にMVP

2026-27シーズンの契約が決まったニック・ケイ選手(提供・島根スサノオマジック)
2026-27シーズンの契約が決まったニック・ケイ選手(提供・島根スサノオマジック)

Q ニック・ケイ選手をMVPに選出するかと予想していましたが、その評価は?

バスケットボールコメンテーター・朴航生さん:

ケイ選手は、いつしか銅像が立つとか、殿堂入りするとか、それくらい常にMVPですし、常にシーズンベスト5くらいの活躍を見せてくれている。島根スサノオマジックに携わっている者としては本当に嬉しいですし、そういうプレーを見られるのはなかなかないことなので、ニック・ケイ選手がずっと作り上げてきてるカルチャーが今シーズンどんどん浸透していったというのも見えたような気がするので、Bプレミアでまたもう一段階、二段階、進化したところを見られるんじゃないかと思っています。
※ニック・ケイ選手は、5月8日に2026-27シーズンも島根でプレーすることが発表された。

「2026-27シーズンも島根スサノオマジック、ブースターの皆さま、そして地域の皆さまを代表して戦える機会を得ることができ、光栄に思います。コート内外でベストを尽くし、B.LEAGUE PREMIER初制覇を目指して戦いますので、引き続きご声援のほどよろしくお願いいたします」とコメントしている。

「Bプレミア」は、9月下旬に開幕、島根スサノオマジックは9月23日にアウェイで長崎ヴェルカとの対戦でシーズンをスタートさせる。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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