2013年に国が行った生活保護支給額の引き下げをめぐり、鹿児島県内の受給者30人が国を相手取って起こした裁判の控訴審で、福岡高裁宮崎支部は2025年4月17日、一審の「引き下げ取り消し」命令を支持する判決を言い渡した。弁護団は「11年間闘ってきて、勝訴した」と声を上げ、原告からは「今晩から安心して眠れる」との言葉が漏れた。
11年越しの争い——そもそも何が問題だったのか
この裁判のきっかけは、国が2013年に物価の下落などを理由として生活保護の支給額を引き下げたことにある。鹿児島県内の受給者30人は「生存権を侵害しており、憲法に反する」として引き下げの取り消しを求め、提訴した。
一審の鹿児島地裁は2024年1月、「裁量権の逸脱・濫用があり違法」として国に支給額引き下げの取り消しを命じる判決を下した。国はこれを不服として控訴していた。
控訴審の判断——「生活保護の目的・趣旨に反する」
福岡高裁宮崎支部の小田島靖人裁判長は、「生活保護の支給額の引き下げは、生活保護の目的、趣旨に反する」として、一審判決を支持し、国の控訴を棄却した。
一方、原告らが1人1万円の損害賠償を求めていた国家賠償訴訟については、一審の鹿児島地裁と同様に棄却された。
「私たちは勝ったんです」——弁護団と原告の声
判決後、弁護団は記者会見を開き、喜びをあらわにした。
増田博弁護士は「私たちは11年間闘ってきて、勝訴した。私たちは勝ったんです。それを喜ばないといけません。国に対して勝つなんて、とてもじゃないが難しい」と語った。

原告からも感慨深い言葉が続いた。「弁護士さんのおかげで勝つことができた。私も安心して今晩から眠れる」「今まで生活保護を頂いてありがたかった。一生懸命、下げられても頑張ってきた。頑張ってもらって、本当にありがとうございます」——長い年月を経てたどり着いた言葉には、日々の生活の重さが滲んでいた。
最高裁判決と追加給付の方針
この裁判は鹿児島だけの問題ではない。生活保護の引き下げをめぐる裁判では、2025年6月に最高裁が引き下げを違法とする判決を言い渡しており、これを受けて厚生労働省は対象者に保護費を追加給付する方針を示している。
生活保護制度が「最後のセーフティネット」として機能し続けるかどうか——この裁判はその根幹を問うものでもあった。受給者や支援者にとって、11年越しの闘いがひとつの節目を迎えた形だ。
(動画で見る▶生活保護支給額引き下げ「取り消し」命令 福岡高裁宮崎支部が一審支持、国の控訴を棄却)
