アルミ地金、1キログラム700円。これはアルミ製品の原料となるアルミ地金の価格です。
過去20年平均270円の2.5倍以上。8日に史上最高値700円台に突入しました。
価格の高騰の要因の一つが、日本から遠く離れた中東情勢の悪化です。
富山県内の基幹産業を直撃し、建材から日用品まで幅広いアルミ製品の価格が跳ね上がる懸念が広がっています。
この危機をアルミ産業の集積地、富山はどう乗り越えようとしているのでしょうか。
40年にわたってアルミ業界に身を置く高岡市の専門商社ホクセイ金属、社長の冨田昇太郎さんです。
*ホクセイ金属 冨田昇太郎社長
「戦争が終了したら元に戻るという話ではない。これがきっかけとなって、アルミはこんなに高いと、考えてみたら馬鹿馬鹿しい話、同じもので200円だったのが700円になるわけで、消費者に対してすごく大きなインパクトを与えていくことにつながっていく」
アルミの原料価格の推移です。2020年ごろまで1キロあたり200円から300円で推移していましたが、その後、急激に上昇。
8日に700円と過去20年の平均270円の2.5倍以上となる過去最高値を更新しました。
先月28日、アラブ首長国連邦、UAE最大のアルミ精錬所がイランの軍事攻撃を受け、価格高騰に拍車をかけました。
*ホクセイ金属 冨田昇太郎社長
「長期間アルミ精錬設備が停止してしまう。アルミの世界的な供給量に大きな影響を与える、国際相場も大きく上昇する危険性が予測される」
冨田さんによると、日本のアルミ原料の需要は年間およそ360万トン。
これに対し、攻撃を受けた企業の生産量は280万トンもあり、この精錬所が稼働できない影響の大きさが伺えます。
アルミ建材大手、高岡市の三協立山です。
中東から仕入れるアルミ原料は全体の1割に留まるとは言え、世界市場と連動する調達と価格の両面で自社への影響がどこまで広がるか余談を許さない状況です。
*三協立山 黒畑靖之常務
「急きょ、対策本部を立ち上げた。代替ルートも調べながら何とか供給を続けていけるよう対策を取っている。ただこれもすべて(原料や重油など)価格が上がってきているので製造原価が非常に上がる。どうしても客に価格転嫁をお願いせざるを得ないレベル」
最終的に消費者の負担につながる製造原価の高騰。アルミは、建材のみならず自動車部品から缶飲料や調理器具などの日用品まで、幅広い製品に使われます。
今後も需要が見込まれる一方、日本は原料の地金を100%、海外からの輸入に頼る産業構造上の弱点があります。
*ホクセイ金属 冨田昇太郎社長
「国内で発生したスクラップを有効活用した『再生』地金を原料にしたアルミ製品、こういった転換がすごく大事。自分たちの身を守る意味でも地元でリサイクルする。幸いなことに富山県にはアルミを溶解して再生できるところが結構ある。無いエリアもたくさんある。これが一つの富山県におけるチャンスではないかとも考えている」
金属の廃棄物を再生し、リサイクル原料で作られた国内のアルミ製品の割合は48パーセント。この割合を高めることで輸入に依存するアルミ地金の影響を抑える…。
アルミ産業の集積地富山の強みを生かした産業構造の転換です。
*三協立山 黒畑靖之常務
「新しいアルミの地金だけに頼らず、スクラップ、リサイクルも進めている。リサイクル比率を上げていく努力でできるだけ影響を抑えようとしている」
長引くことも予想される今回の危機を日本のアルミ産業の転換点にできるか、富山の基幹産業は試練と同時にチャンスの時を迎えています。
富山大学では金属の廃棄物から地金を効率的に再生する国の拠点的な研究が産学官民の連携で進められています。
資源小国を揺さぶる海外情勢に負けない次の一手、富山からの発信に期待です。