秋田・仙北市角館町に伝わる伝統芸能「飾山囃子(おやまばやし)」。このおはやしの魅力を次の世代へと伝えようと活動を続けているのが、角館高校飾山囃子部だ。一人で何役もこなしながら力を合わせて音を紡ぐ部員たち。その姿には、地域文化を守ろうとする強い思いがにじんでいる。
伝統を背負う高校生たち
太鼓の力強い音が床を震わせ、三味線の音色が空気を切り裂く。そこに軽やかな踊りが加わると、稽古場は一気に祭りの空気に包まれる。
角館高校飾山囃子部の練習風景だ。

「飾山囃子」は、2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された「角館祭りのやま行事」で披露される民俗芸能で、約400年の歴史を誇る。
世代を超えて受け継がれてきたこのおはやしは、今も角館の人々の暮らしの中に息づいている。
角館高校飾山囃子部は、地域のイベントや大会などで演奏を披露するため、日々練習を重ねている。
7月には秋田県内で開かれる第50回全国高校総合文化祭(あきた総文2026)への出場も決まっているが、卒業によって10人の先輩が引退し、現在の部員は6人となった。
部長を務める山本凌久さんは、少人数の厳しさと向き合いながらも前を向く。
「飾山囃子はもともと五人ばやし。おはやしが5人、踊りが1人。今は本当に最小限の人数でやっている」と話す山本さん。
1人でも欠ければ演奏は成り立たない。だからこそ、部員全員が主役だ。
一人何役も それでも妥協しない
部員の1人、高橋花衣宝さんは、踊りに加えて笛やすりがねも担当している。少人数ゆえ、1人が担う役割は多い。
高橋さんは「人数が少ないから、一人一人の仕事もどんどん増えていく。みんなでやらないと本当に大変」と語る。
すりがねの練習では、仲間の手拍子や声掛けを頼りに、何度も音を確かめる。
失敗すれば立ち止まり、全員で原因を探る。その繰り返しが、演奏の完成度を高めていく。
ぶつかり合い 支え合う
練習は常に順調とは限らない。意見がぶつかることもある。それでも高橋さんは、仲間への感謝を忘れない。
「けんかもするし、ぶつかったりもする。でも、それでも支え合っていける。とても良い仲間を持ったなと、毎日『ありがたいなぁ』と思っている」と語る高橋さん。
笑顔の裏側には、真剣な議論と積み重ねがある。少人数だからこそ、一音のズレ、一つの動きの甘さが全体に影響する。
山本部長は「迫力をどう維持するか」が今の課題だと話す。
祭りの一員として 未来へ
全国高校総合文化祭での目標は上位入賞。そして目下の目標は、部員を増やし、再び音に厚みを取り戻すことだ。
おはやしに触れることで、祭りの意味や地域とのつながりを深く実感するようになったという部員たち。
「自分も祭りの一員なんだと再確認した。文化を受け継ぐ大事な1人になれたら」と語る山本部長の言葉には、担い手としての自覚が込められている。
地域の文化を守り、未来へとつないでいく飾山囃子部の部員たち。
きょうも角館高校の校舎には、400年の歴史を背負ったおはやしの音色が響いている。
(秋田テレビ)
