ハンセン病の患者を強制隔離した、国の誤った政策を支えた法律、「らい予防法」は、30年前の4月1日に廃止されました。未だ根強く残るハンセン病への偏見・差別。解消のために私たちにできることを考えます。

◆「差別は苦しいこと、人権は大切にしないといけない」ハンセン病元患者との出会いで小学生がある行動に

(長島愛生園入所者自治会 中尾伸治会長)
「資料送ってくれた時、うれしくて涙が出そうになった」

ハンセン病の偏見・差別の解消に向け年に2回開かれている岡山県の会議です。瀬戸内市の国立ハンセン病療養所、長島愛生園で暮らす中尾伸治さん(91)は、この日、小学生が作ったパンフレットを紹介しました。

中尾さんは、2025年度、岡山県和気町の本荘小学校の6年生36人と交流を続けてきました。子供たちは、教科書に出てきた「差別」や「人権」という言葉をきっかけに長島愛生園を訪問。その後、何度も学校に中尾さんを招いて話を聞きました。学習した成果を手作りのイベントで発表したり、多くの人に伝えたいと印刷費用を校長に直談判してパンフレットを作ったのです。

(児童は…)
「人を見た目ではなく中身を見ることが大事」
「中尾さんと出会ってから、差別は苦しいこと、人権は大切にしないといけないと思った」
「中尾さんのことを思いながら人権を頭に入れて行動したい」

◆国は「らい予防法」のもと患者を強制隔離 「無らい県運動」推進で「患者狩り」で差別助長

ハンセン病は感染力の弱い病気にも関わらず、国は「らい予防法」のもと、患者を強制隔離しました。各県から患者を一掃する「無らい県運動」が推し進められたことで、密告やいわゆる「患者狩り」が行われ、差別が助長されたのです。

◆国は偏見・差別の解消に取り組むと約束も…”偏見差別は現存し、依然として深刻な状況”

らい予防法は1996年にようやく廃止され30年が経ちました。国は、偏見差別の解消に取り組むことを約束しています。

国が2023年と2024年、初めて実施した全国意識調査では、「ハンセン病問題に関する知識は十分には浸透しておらず、ハンセン病に係る偏見差別は現存し、依然として深刻な状況にある」という結果となりました。国や県が行ってきた啓発活動は、ほとんど国民に届いていないことが浮き彫りになりました。

県の会議でも、啓発活動の改善や工夫が課題となっています。

◆12歳の子供たちの活動に「初めて伝わったなと思った」と元患者 大人はもっと偏見・差別の歴史を学ぶべき

(長島愛生園入所者自治会 中尾伸治会長)
「私たちのことを知ってもらい、伝えてもらうことをしていたつもりだったが、今回初めて伝えてくれることをしてくれた。本当にうれしかった。初めて伝わったなと思った」

(長島愛生園 山本典良園長)
「12歳の子供がこんな学習をしてくれる。長島で、われわれ大人も、もっとしっかり歴史に学んで偏見・差別をなくす共生社会を作りたい」

◆ハンセン病問題解決のために・・・岡山県、施設、入所者それぞれの思い

(岡山県疾病感染症対策課 原誠課長)
「自分ごととして捉えてもらえるような、取り組みを県としても一歩一歩進めたい」

(邑久光明園 青木美憲園長)
「入所者の思いに触れること、諦めてはいけない。世の中を変えて、入所者・退所者・家族が、良かったと思えるように作っていくのが社会一人一人の責任」

(邑久光明園入所者自治会 屋猛司会長(84))
「ハンセン病問題は継続的に何回も繰り返さないといけない」

◆もしあなたが、偏見・差別の目で人を見ていたことに気づいたら…

(長島愛生園 山本典良園長)
「偏見・差別の目で人を見ていなかったですか?もし気づいたら少しでも直しませんか。社会の流れに流されないように自分でしっかりとした意見、気持ちを持つ」

(長島愛生園入所者自治会 中尾伸治会長)
「本当にうれしかった、伝えてくれる人が1人でも増えてほしい、広げる人がほしい」

岡山放送
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