鹿児島県指宿市の水迫畜産が、ホルスタイン種を「黒毛和牛」、県外産を「鹿児島県産」と偽ってふるさと納税の返礼品などに使っていた問題。3月25日、水迫政治社長が枕崎市役所を訪れ、前田祝成市長に直接謝罪した。現時点で明らかになっている寄付金額の総額はすでに7億円を超えており、県内8つの市と町に広がる被害の全容はいまだ明らかになっていない。
「いい物を提供したかった」——社長が語った動機
3月25日午後1時半ごろ、枕崎市役所に姿を見せた水迫政治社長と水迫政輝取締役。前日の24日に鹿屋市を訪れた際はマスクや帽子で顔を隠していたが、この日はカメラの前に素顔で立ち、報道陣の質問に答えた。
水迫政治社長は不正表示を行った動機についてこう語った。
「素晴らしい牛肉を県民に安く提供しようという気持ちからで、非常に評判がいいと思う、いい物を提供するという思いからだった」
不正を働いた理由として「良い牛肉を届けたかった」と説明する社長の言葉は、事態の深刻さとのギャップを感じさせるものだった。
枕崎市への謝罪——件数・金額ともに最大規模
水迫社長らは枕崎市の前田祝成市長と約30分にわたって面会し、直接の謝罪と経緯の説明を行った。
枕崎市は今回の問題で現時点において最も大きな被害を受けた自治体だ。不正表示の牛肉が使われた可能性がある寄付件数は約1万3000件、寄付金額は約3億4300万円にのぼり、件数・金額ともに関係する自治体の中で最大となっている。

取材に応じた水迫政輝取締役は次のように述べた。
「寄付者、行政の皆様、大変申し訳ありませんでした。寄付者の特定を急いでいる。同時に原因の究明と再発防止、経緯や原因、再発防止の改善報告をどこかで示すことになる」

被害は県内8市町に拡大——総額7億円超
今回の問題で不正表示の牛肉が返礼品として使われていたのは、鹿児島県内8つの市と町にわたる。このうち枕崎市と南九州市で判明している寄付件数と金額は以下のとおりだ。
- 枕崎市:約1万3000件/約3億4300万円
- 南九州市:約2万3900件/約2億6800万円
数字は今後変動する可能性があるが、現時点での寄付金額の総額はすでに7億円を超えている。ふるさと納税という制度への信頼を大きく揺るがす事態となっている。

4月10日以降に説明の場を設ける方針
水迫畜産は農林水産省に対し、4月10日までに改善報告書を提出することになっている。社長らはその期限を過ぎた後に、不正表示に至った原因や経緯を説明する場を設ける考えを明らかにした。
また、不正な表示のある商品を返礼品として受け取った寄付者に対しては、代替品の発送対応を検討しているという。
返礼品を受け取った寄付者、そして制度を信頼して運用してきた地元自治体——それぞれに対してどのような誠意ある対応がなされるのか、4月10日以降の説明の行方が注目される。
(動画で見る▶「寄付者の皆様申し訳ございません」 不正表示の牛肉でふるさと納税7億円超、社長が説明の場を約束)
