鹿児島県指宿市の水迫畜産が牛肉の産地や種類を不正に表示していた問題で、不正表示の牛肉が使われたふるさと納税返礼品の寄付総額が6億円を超える可能性が明らかになった。水迫畜産の水迫政治社長は3月24日、謝罪のため鹿屋市役所を訪れたものの、報道陣の質問に対して沈黙を貫く場面もあり、歯切れの悪い対応に終始した。

帽子を目深に、カメラに背を向けたまま

24日午後、鹿屋市役所に姿を見せた水迫社長。帽子を目深にかぶり、マスクで顔を覆った状態で庁舎内を移動した。エレベーター内でもカメラに背を向けたままで、その姿は問題の深刻さを物語るようだった。

今回の問題の核心は、ホルスタイン種などを「黒毛和牛」と表示したり、県外産の牛肉を「鹿児島県産」と偽って販売していた点にある。ふるさと納税の返礼品としてだけでなく、一般消費者向けにも不正表示の牛肉を販売していたとされ、その影響は広範囲に及んでいる。

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県内8自治体の返礼品に不正表示の牛肉

3月24日時点で、水迫畜産の商品がふるさと納税の返礼品に使用されていたことが判明した自治体は、鹿児島県内43自治体のうち8つ。鹿児島市、姶良市、南九州市、伊仙町などがその対象となっている。

自治体別の被害状況を見ると、その規模の大きさが際立つ。

  • 枕崎市:不正表示の牛肉が使われた返礼品は約1万3000件、総額は約3億4000万円
  • 南九州市:調査が未了ながら、寄付件数は2万件、金額は2億円を超える可能性

南九州市の調査結果が確定した場合、不正表示されたふるさと納税返礼品の寄付額は合計で6億円を超えることになる。地域の特産品として信頼を寄せてきた寄付者にとって、裏切りは計り知れない。

「担当が言っています」「いつとは言えないけど」

謝罪を終えた水迫社長に、報道陣が次々と質問を投げかけた。

消費者への説明や補償について問われると、「担当が言っていますから」と述べるにとどまった。会見の開催予定を尋ねられると、「いつかはします。いつとは言えないけど。今皆さんに『迷惑かけた』『ごめんなさい』と謝罪をしているところですから」と答えた。

そして、寄付者へ一言をと求められると——沈黙。消費者への気持ちを問う言葉にも、また沈黙だった。

ふるさと納税は、地域への共感や応援の気持ちから寄付が行われる仕組みだ。その善意の上に成り立つ制度において産地偽装が横行していたことは、個々の自治体や消費者への損害にとどまらず、制度そのものへの信頼を揺るがす問題でもある。

今後は他の自治体にも謝罪、会見も「いつかは」

水迫社長は今後、鹿屋市以外の自治体にも順次謝罪に回り、会見を開く意向を示している。ただし「いつ」という具体的な時期は明らかにしていない。

枕崎市や南九州市をはじめとする被害自治体の住民や返礼品を受け取った寄付者に対して、水迫畜産がいつ、どのような形で説明責任を果たすのか。6億円規模に膨らむ可能性のある今回の産地偽装問題は、まだ全容解明の途上にある。

(動画で見る▶ふるさと納税に『偽の黒毛和牛』か 寄付額6億円超の可能性、社長は歯切れ悪く謝罪)

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