キッチンカーを経営するのは、18歳の高校生。
きっかけは、被災地で聞いた“ありがとう”の一言でした。

この春、卒業を迎え新しい道へと旅立ちます。

埼玉・所沢市、プロバスケットボールの試合会場でにぎわうキッチンカー「LIL KITCHEN」。

キッチンカーの店長は八木杏妃さん(18)。
高校生でありながら、キッチンカーを経営する小さな社長です。

看板メニューはたっぷりの具材を包み込んだ「トルティーロール」。
買い出し・仕込み・調理・販売まで、1人でこなしています。

手描きのイラストが添えられたおしぼりには、“少しでも笑顔になってほしい”という思いが込められています。

LIL KITCHEN オーナー・八木杏妃さん:
(Q. キッチンカーの経営は?)楽しい。おいしかったと言われた時が一番やりがいを感じる。

学校では一転、八木さんは琴の音色と向き合う箏曲部の部長を務め、高校生活最後の演奏会では仲間をまとめながら堂々とステージに立ちました。

部員は八木さんについて、「明るいムードメーカー」「誰もを巻き込める、すごく不思議な力を持った子」と話します。

八木さんが自分のキッチンカーを持とうと決めたのは2025年6月、能登半島地震の被災地である石川・輪島市で炊き出しを手伝ったことがきっかけでした。

LIL KITCHEN オーナー・八木杏妃さん:
(被災地で)おばあちゃんと話したりした。“話してくれたことがすごくうれしい。来てくれてありがとう”と言われて。

悲しみの中にいる人たちの、ふとこぼれた笑顔。
それを見た瞬間、心が強く震えたといいます。

LIL KITCHEN オーナー・八木杏妃さん:
自分も誰かのためになれる。誰かのために動ける人になりたいと思った。

“誰かの役に立ちたい”という思いが、八木さんを経営者へと歩ませました。

父親は「やらないで後悔するより、やって後悔した方がいい。がんばってもらいたい」と、娘へエールを送ります。

3月に高校を卒業した八木さんは理容の専門学校へ進学。
学費を自分の力でまかなうため、キッチンカーの経営も続けます。

LIL KITCHEN オーナー・八木杏妃さん:
たくさんの人に、これからも笑顔とおいしさを届けられるように、頑張っていく。

18歳の店長が届ける笑顔。
きょうもまた、出会った人の心を温めています。