神戸市北区で2010年に殺害された男子高校生・堤将太さん(当時16歳)の遺族が、加害者の元少年(33)とその両親に損害賠償を求めた裁判で、神戸地方裁判所は元少年の両親に対し、遺族側が訴えていた元少年の両親の監督責任や「犯人であると知っていながら転居させて発覚を遅らせた責任」などについて認めず、賠償を命じませんでした。
一方で元少年については刑事裁判を通じて認められていた9300万円の賠償を改めて命じ、さらに将太さんの姉と兄の3人にそれぞれ110万円、あわせておよそ9700万円の賠償を命じました。
裁判で将太さんの父・敏さんは「民事裁判、確かになにがしかの損害賠償請求してます。ただお金じゃないんです。息子を返してください。私たちの15年前の生活、返してください。それで私、何にも言いません」と訴えていました。
■堤将太さんナイフで何度も刺され殺害 遺族が加害者の元少年(33)と両親に賠償求める
2010年、神戸市北区の路上で高校2年生だった堤将太さんは、ナイフで何度も刺されて殺害されました。
事件からおよそ11年後に逮捕されたのは、当時17歳だった元少年(33)で、刑事裁判を経て懲役18年が確定し、服役しています。
元少年には刑事裁判を経て、およそ9300万円の賠償が命じられましたが、不服を申し立てたため、堤さんの遺族は元少年とその両親に、あわせておよそ1億5000万円の損害賠償を求める民事裁判を起こしていました。
■将太さんの父・敏さん「お金を求めているわけじゃない。『その責任をちゃんと果たしなさい』と」
提訴したとき、将太さんの父・堤敏さんは関西テレビの取材に対し、次のように述べていました。
【堤将太さんの父・敏さん】「お金を求めているわけじゃない。『その責任をちゃんと果たしなさい』と言いたいんです」
そしてその思いは、法廷でも語られました。
【堤将太さんの父・敏さん】「お金じゃないんです。息子を返してください。私たちの15年前の生活、返してください。それで私、何にも言いません」
■民事裁判での元少年や両親の主張は
堤さんの遺族は民事裁判で
・元少年に対し改めて事件の責任
・両親に対し、元交際相手などへの粗暴な行動があった元少年の監督を怠って事件が起きた責任
・事件2日後、千葉県に転居させ犯人であると知りながら、発覚を遅らせた責任
などを問いました。
元少年側は賠償の金額について争う姿勢を示し、両親は監督責任については十分に果たしていたと主張。
”犯人と知りながら逃亡させ、発覚を遅らせた責任”については、裁判の尋問で元少年が兄を通じて「自分が犯人かもしれない」と両親に伝えた記憶があると説明。
両親はそれぞれ次のように話しました。
【元少年の母】「人を刺したかもしれない。混乱して分からないって自分で言いました。事件を目撃して混乱しているのではないかと思いました」被告側代理人「もしかしたら犯人かもしれないと聞いた記憶はないですか?」
【元少年の父】「元少年の兄からその内容を話したと教えてもらいました。妄想と現実の区別がついていないと思いました」
そして返り血がなかったことなどから、犯人とは思わず、転居は元少年が神戸での生活に孤独感を感じていたからだと説明していました。