高松市在住の絵本作家、東川りえさんの新作が3月に発売され、書店員から絶賛の声があがっています。この作品完成の裏側には、東川さんを支える地域の人や家族の姿がありました。

「あ!おべんとうわすれてる!たいへん!とどけなくっちぁ。まってぇ~ちいた!おべんとうわすれてるよ~!!!」

主人公はチーターのちいたとそのママ。遠足にお弁当を忘れたちいたに、悪戦苦闘しながらもお弁当を届けに奔走するママの姿がおもしろおかしく描かれています。

この絵本を手掛けたのは高松市在住の絵本作家東川りえさんです。東京出身の東川さんは小学生の時から絵を描く仕事に憧れていました。

東京の美術大学を卒業後、イラスト制作会社でCGデザイナーとして勤務。2019年に「まちにまったおでかけのひ」で絵本作家としてデビューしました。

2作目の『おべんとうわすれてるよ』は3月5日に出版されました。

(東川りえさん)
「お母さんが色々な事にチャレンジしながら(お弁当を)届けるという大疾走劇になっているのでお母さんの必死さが見どころ」

ー本棚から下書き取り出すー

(東川りえさん)
「これがラフといって下書きみたいなもの」

今回の作品の完成に6年の歳月を要したという東川さん。構成や絵のタッチなど試行錯誤を繰り返してできた大量の「ラフ」が絵本の制作が一筋縄ではいかないことを物語っています。

(東川りえさん)
「ずっと絵を見ていると第一印象が薄れていった初めて見た人の気持ちからどんどん離れていってしまってそこがすごく難しかった」

ー書店に入るー

絵本の制作に悩む東川さんをそばで見守ってきた人がいます。高松市の書店「ルヌ・ガンガ」を営む中村涼子さんです。2人が出会ったのは6年前、東川さんがふと立ち寄ったことがきっかけでした。

このころ、東川さんは夫の出身地である、高松市に移住してきたばかり、慣れない土地での生活に不安もある中、中村さんには悩みを打ち明けられたと言います。

(ルヌ・ガンガ 中村涼子さん)
「生みの苦しみの大変さと(作品が)できた時の感慨深さがあるとずっと楽しみにしていた。でもそれがプレッシャーになってもいけないしうまい具合に来てもらって息抜きしてほしいと思っていた」

(東川りえさん)
「(中村さんは)本に対して情熱を持っているのが分かる新人なのに絵本作家として接してもらっていつも励まされている」

東川さんは1児の母。7歳の息子・真之くんの育児中に今回の作品の構想を思いついたといいます。

(東川りえさん)
「離乳食を食べさせている時に今は離乳食だけどお弁当を作る日が来るのかなと想像しながらご飯をあげていたもしお弁当を遠足のような大事な日に子供が忘れるようなことがあったら私はチーターみたいに走って届けると思って構想を練った」

母親の絵本の制作を間近で見てきた真之くんから思わぬ言葉が飛び出しました。

(真之くん)
「ママが死んじゃったら、僕がちいたのことを続けて書きたいと思っている」
(東川りえさん)
「すごくうれしい。こんなふうに言ってもらったのは初めて。そんなに考えていたと知ってびっくり」
(真之くん)
「本当は内緒にしていた」

家族や地域の人の支えがあり、絵本制作に励む東川さん。これからも読者の心に寄り添う絵本を作り続けます。

(東川りえさん)
「日常でちょっと面白いと思ったり気になったささやかなおかしみを見つけて子供から大人まで色々な人と分かち合えるような物語を作っていきたい

岡山放送
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