アメリカとイスラエルによるイラン攻撃の影響で原油調達が途絶える事態を想定し、経済産業省は県内の志布志と串木野を含む全国の国家石油備蓄基地に対して放出準備を行うよう指示した。国の石油安定供給を支える重要な備蓄基地が、緊急時に向けた体制強化に入った。

146日分の備蓄で国民生活を支える

国内10カ所にある国家石油備蓄基地は、不測の事態に備えて石油の安定供給を目的とする国の直轄事業である。2025年12月末現在で146日分の原油が備蓄されており、エネルギー安全保障の最後の砦として機能している。

全国10カ所の国家石油備蓄基地が緊急放出準備へ
全国10カ所の国家石油備蓄基地が緊急放出準備へ
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石油備蓄の管理を国から委託されているJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)によると、3月6日に資源エネルギー庁の担当者から「いつでも適切な対応を行うことができる体制をとるよう」連絡があったという。この指示により、全国の備蓄基地では緊急時の放出に向けた準備態勢が整えられている。

志布志基地は国家備蓄の4分の1を担当

県内2カ所の備蓄基地は、それぞれ異なる特徴を持つ。志布志国家石油備蓄基地は、志布志湾内に出島のような形で地上タンクを設置する方式で1993年に完成した。その容量は約500万キロリットルに及び、国家備蓄全体の4分の1という巨大な規模を誇る。

志布志基地の地上タンク方式は、メンテナンスや管理の面で優れており、大容量の原油備蓄を効率的に行うことができる。湾内の立地を活かし、大型タンカーからの原油受け入れや、必要時の迅速な払い出しが可能な設計となっている。

地下岩盤で原油を封じ込める串木野基地

一方、いちき串木野市の串木野国家備蓄基地は、地下の岩盤内に空洞を設け、地下水圧などで原油を封じ込める方式で1994年に完成した。容量は約175万キロリットルとなっている。

この地下備蓄方式は、地上スペースを必要とせず、災害や攻撃に対する安全性が高いという特徴がある。岩盤の特性を活かした封じ込め技術により、長期間安定した保管が可能で、環境への影響も最小限に抑えられている。

緊急時対応体制の重要性が再認識

今回の放出準備指示は、国際情勢の緊迫化を受けた予防的措置である。中東地域での軍事的緊張が高まる中、石油供給ルートの安定性確保は国家の重要課題となっている。

JOGMECでは、「国民の皆様や事業者に正確に状況を理解いただけるよう引き続き丁寧な情報発信に努めたい」とコメントしており、透明性を保ちながら適切な対応を進める姿勢を示している。

石油備蓄基地の存在は、普段の生活では意識されることが少ないが、エネルギー安全保障の観点から極めて重要な施設である。今回の準備指示を通じて、改めてその重要性が浮き彫りになった形だ。

(動画で見る▶経産省が国家石油備蓄に放出準備指示 鹿児島の2拠点も対象に 全国で備え強化)

鹿児島テレビ
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