福岡県議会の“高すぎる”海外視察問題。これまで入札を行わず特定の旅行会社2社が、そろって同じ高級ホテルばかりを議会側に提案し、選ばれてきた疑惑が浮かび上がってきた。

ハワイ視察の名門ホテルを現地取材

取材班が入手した福岡県議会の海外視察に関する内部資料によると、2025年のハワイ視察にかかった費用は、1人当たり約300万円となっている。

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県議会では、コロナ禍が明け、海外視察を再開した2022年から2026年1月までに、少なくとも7回ハワイを訪れているが、そのうち4回、宿泊していたホテルがアメリカの名門ホテル『シェラトン・ワイキキ』だった。

県議会が“定宿”としているシェラトンホテルとは、一体どんな所なのか?取材班は、現地のホノルルに飛んだ。

『シェラトン・ワイキキ・ビーチリゾート』
『シェラトン・ワイキキ・ビーチリゾート』

ワイキキビーチのすぐ側、絶好のロケーションにそびえ立つ『シェラトン・ワイキキ・ビーチリゾート』。

全1636室を誇り、海側の部屋からは、ダイヤモンドヘッドを一望できる贅沢な空間だ。

プールやレストランも充実し、旅行サイトでは『憧れのホテル』『1度は泊まってみたい名門ホテル』などと紹介されている。

「ムチャいい!部屋入って海が見える。最高です!」大阪から来たという宿泊客は、皆んな満面の笑顔を見せる。

総理より高い!県議と職員の部屋代

2025年1月のハワイ視察で参加した4人の県議と同行した職員の宿泊先が、『シェラトン・ワイキキ』。

スタンダードタイプで1泊11万4600円。参加者のトップである副議長は、要人の訪問に備えるという理由で、1泊13万3300円のデラックスタイプに宿泊している。

ハワイのホテル事情に詳しい、旅行アナリストの鳥海高太朗さんによると「シェラトン・ワイキキは、新婚旅行や記念日旅行の時に奮発して泊まるホテルの1つ」という。一般的な会社のハワイ出張でのホテルについて尋ねると、「出張で訪れる人の多くは、アラモアナセンター周辺のホテルに宿泊する。1泊200ドル、3万円前後ぐらいで泊まれるところも多くある」とのことだ。

国家公務員などの旅費支給について定める『旅費法』で、ホノルルでの宿泊の基準額は、総理大臣で7万5000円、一般職員で4万7000円となっている。

総理大臣の基準額を大幅に超える県議の宿泊費。議員4人が参加した2025年のハワイ視察は、3泊4日。シェラトンでの宿泊費やビジネスクラスの航空券、通訳なども含めた総額は1192万円あまり。

単純計算で、議員1人あたり約300万円にのぼる。

県民の税金が使用される県議会の海外視察。ハワイ視察に関して、内部資料から、更に驚きの事実が判明した。

見積書には高級ホテルがずらり

ハワイ視察に伴うホテルの見積書を確認すると、“太平洋のピンクパレス”と称され、スタンダードルームで1泊12万3300円。新婚旅行でも人気の5つ星ホテル『ロイヤルハワイアン ラグジュアリー コレクション リゾート』が登場。

続いて、ヒルトングループの最高級ブランドに位置付けられる『カ・ライ・ワイキキビーチ LXRホテルズ&リゾーツ』が1泊11万8100円。

そして、1泊11万4600円の『シェラトン・ワイキキ・ビーチ』と高級ホテルがずらりと並ぶ。

議会事務局は、宿泊施設の選定条件として、

①セキュリティー体制が万全であること

②宿泊施設の周辺が比較的安全な地域であること

③大型バスの乗降が円滑にできること

④用務地がホノルル市内中心部に集中していることを鑑み、訪問団が予定通りに移動できるようにすること。

⑤不必要に華美なルームタイプでないこと を挙げている。

 

この見積り内容に、福岡の県民からは、驚きの声が次々とあがった。「税金で行くって…かなり、いいホテルに」「『ロイヤルハワイアン』は、友達が新婚旅行で行った」「みんなの税金を使って、本当に視察なのかなと」。

県議会が、見積もりの3つの中で「1番安いホテルを選んだ」と説明していることに対しては、「ちょっと通らないかと思う」と話した女性は、庶民感覚とのズレに呆れた様子だった。

旅行会社2社提案のホテル全て一致

更に、ホテルの見積もりには、気になる点があった。議会事務局は、視察ごとに異なる2つの旅行会社から見積もりを取っていて、その際、「ホテルの指定はしていない」と主張しているが、過去の視察で2つの旅行会社が提案した候補は、不自然なほど一致していた。

「こちらからは条件を伝えるだけで、候補となるホテルは、2つの旅行会社それぞれの選定に任せていた。議会側の条件をもとに、安いホテルを選んだから自然とそうなったのでは?」と話す。

県議会の海外視察を巡っては、批判的な報道が相次ぎ、蔵内議長は、説明責任を果たすためとして『所信表明』と題した文書をホームページ上に公開。ハワイ視察についても言及した。

「宿泊したホテルの部屋は、特段に高級なものではありませんし、宿泊代金も事務局から所管の人事課の承認を得ていると聞いています。

ハワイとの交流は、本県の国際化と経済的発展の原点です。ハワイは環境保護の先駆者でもあり、人と動物と環境の健康を一体的に守る取組である『ワンヘルス』への関心は高く、お互いに学ぶべきものは多い」。

福岡県議会の海外視察を巡っては、批判の高まりを受けて、県が契約の『手続き』に関して、新しい『ガイドライン』を策定した。内容は、これまで特定の旅行業者を選んで直接契約する『随意契約』から原則『競争入札』にするというもの。これにより、最も低い金額を提示した業者が落札するという形になる。更に、予定価格については、他の自治体の状況も踏まえて、実体に合ったものにするという。

今回の県の新しいガイドライン策定で、福岡県議会の海外視察における宿泊先や全体の経費が、他の自治体と比べて妥当な内容となり、県民の理解が得られるようになるのか注目される。

(テレビ西日本)