ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケートのペア・フリーが16日(日本時間17日)に行われ、世界王者の三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)が大逆転で金メダルを獲得した。
SPではミスで5位と出遅れたが、フリーでは世界歴代最高点となる158.13点をたたきだし、大逆転で金メダルを獲得。ペアでは日本初のメダル獲得という快挙を成し遂げ、早朝の列島を感動の渦に巻き込んだ。
金メダル獲得から一夜明けた17日、2人は現地ミラノで会見を行った。
一問一答は以下の通り。
──SPからの大逆転。金メダルはこれからの2人、競技の未来にどんな一歩となったか。
三浦璃来選手:
まだ試合が終わって10時間ぐらいしかたっていなくて、実感がまだ湧いていないんですけど、オリンピックという舞台で自分たちらしい演技ができて、本当にうれしく思っています。これから日本のペアの未来に貢献できていたらいいなと思っています。
木原龍一選手:
正直まだ実感が湧いていない。試合が終わってからまだ一睡もできていないので、まだ試合の日が終わっていない感じがするので、取ったというような感覚はなんですけど。
今回ショートで大きなミスをしてしまって、正直もう無理かなと僕の中では思ってしまって、心が折れてしまっていたんですけど、その中でパートナーの璃来ちゃんだったり、コーチやトレーナーの方だったり、本当に皆さん、僕の心をもう一度立ち直らせてくれた。
このオリンピックで、諦めないことの大切さをすごく学べた。
──いろんなメッセージや反響があった
木原龍一選手:
本当にたくさんのメッセージをいただけた。終わってからドーピング検査だったり、宿舎に帰ってきたのが(午前)3時だったりしたので、パッキングしたりでしっかりとチェックできていないので、少しでも早くお返しできたらいいと思います。
三浦璃来選手:
本当にたくさんお方々からメッセージをいただいて、本当にたくさんの人にサポートされて、私たちはここにいるんだなって痛感しました
──7年の月日を振り返って、今回の結果はどんな意味を持つか。
三浦璃来選手:
私たちから伝えたいのは、ショートで本当に大きなミスをしてしまって、それでも諦めずに前を向いたことで金メダルにつながったと思っている。どんなことがあっても絶対諦めない気持ちを持つことは、本当に大切だと思っています。
木原龍一選手:
チームを結成してから、コロナ禍であったり、2人のお互いのけがであったり、常に試練があったけど、試練を乗り越えるたびに強くなれてきたのかなと思います。
よく頑張ったよねって、今までそういうことは自分にあまりかけないように、常に頑張り続けなければいけないという気持ちは持っていたけど、本当にきょうは2人でチームとして、本当に頑張ったねって思いたいなというふうに思っています。
──SPからフリーにかけてどのように切り替えたのか。木原選手が男泣きをする瞬間はよく見るのか、今回が特別なのか。
木原龍一選手:
ショートが終わった後は絶望的な感じで、点数差も絶望しか残っていなかったので、僕自身の心というのはすごく折れてしまっていたんですけど、コーチの方から「野球は9回裏、3アウト取られるまで試合が終わらない。だからこの試合はまだ終わっていない。絶対に諦めるなと。2018年の平昌(ピョンチャン)オリンピックのペアで、アリオナ・サフチェンコ選手とブルーノ・マッソ選手が同じようなシチュエーションになって、SPでミスがあってFPで挽回した。そういうこともあった。絶対に諦めるな」と。
先生からもすごく勇気づけられたし、璃来ちゃんも。僕はショートが終わって次の日の朝から涙が止まらない状態だったけど、「まだ終わってない」と。みんながほんとに僕の心を立ち直らせてくれて 、本当にチームの力が大きかったなっていうふうに思います。
ショートの後、絶望と悲しみからあんまり睡眠を取ることができなかったので、少しその睡眠不足も影響していたので、公式練習が一度終わったあとに 1時間ほどしっかり寝たら、逆に気持ちもリフレッシュできて。そこからもう自分は大丈夫っていうふうにりくちゃんに宣言をして、もう大丈夫ありがとう、もう強い僕に戻ったからって言って、6分間に入りました。
三浦璃来選手:
龍一君がが演技が終わったあとに大泣きする場面というのは1年に1回のイベントなので、全く珍しい物ではなかったんですけど、本当にショートが終わってから、フリーの当日練習からずっとぽろぽろぽろぽろ泣いていて、それがやっとうれし泣きに変わって、私は本当にそれが良かったなと心から思いました。
──今後の二人の目標
木原龍一選手:
今まで競技を見ていただくことはなかなか難しかったと思うんですけど、今回オリンピックを終えて、今までペアのことを知らなかった方々にもペアを知っていただく機会っていうのは少しずつ増えていくと思うので、僕たち世代でこのペアが終わってしまうのではなく、日本のスケートがペア大国に変わるために、僕たちを見てスケート、ペアをやりたいっていう子が出てきていただけるように、また頑張りたいなっていうふうに思いますし、もっともっとペアを広めていきたいなっていうふうに思います。
三浦璃来選手:
私も龍一くんと同じ思いで、後輩もすごく育ってきているので、このまま引き続き、日本からペアの選手をどんどん出していけるように、私たちも頑張っていきたいなと思います。
──坂本花織選手が男子のフリーとペアのSPを見て、オリンピックの恐怖心が出てきたと言っていた。2人はそこを乗り越えたことを踏まえて、坂本選手にエールを。
三浦璃来選手:
本当にかおちゃんには、団体戦のショート、それよりももっと前から、私たちは常に支えられていて。本当に彼女の明るさであったり、そういった部分にすごく救われていて。
ショートで大きな失敗があって、2人ともとぼとぼ歩いて帰ってたんですけど、かおちゃんが、バスを降りたところで待っててくれていて、「璃来たちなら絶対大丈夫だよ」って声をかけていただいて。 本当に、かほちゃんのためにも、みんなのためにも頑張ろうと思って。フリーも、私たち以上に大泣きしてくれて、本当に素晴らしい人柄でもありますし。
本当に心から、きょうからの(女子)ショート、私たちも現地に行ってちゃんと応援したいです。
木原龍一選手:
坂本選手には僕たち2人ともエネルギーをいただいていて、今回のフリーの前にも、たくさん勇気をもらって。かおちゃんがいなかったら、やっぱり、チームジャパンは成り立たないんだなって改めて思って。
ただ今回、僕たちショートで、すごい大きな失敗をしたので、それは多分かおちゃんの分の全部、厄を落としているので。そこで全部引き受けたので僕たちは。かおちゃんはもう全然問題ないと思う。
恐れず、のびのびと滑ってほしいなというふうに思います。
── ブルーノ(・マルコット)コーチの言葉や印象的なこと。
三浦璃来選手:
観察力っていうのは本当にすごくて、なんか私たちが何も言わなくても、私たちの状況をいち早く理解してくれたりとか、本当に私たちの普段の練習を見て、結成して2年目の世界選手権で「あなたたちは絶対10番以内に入る」って言っていただけて。
そのときは本当に私たちはそれを全然信じられなくて。10番以内に入ることが出来て、本当に観察力というか、そういった先生の言霊って、本当にすごいなって思っています。
木原龍一選手:
本当にブルーノコーチは常にポジティブな方で。僕は結構真面目な、自分でいうのはあれなんですけど(笑)、考えすぎてしまう癖があって、どんどんマイナスに持ってしまう癖があって。
そんな時に「物事を良くしたいのであれば、常にポジティブにいなさい」っていう言葉をブルーノコーチからいただいて、その言葉がやっぱり、僕のペア人生の中でもすごく助けになってるのかなというふうに思います。
──過去にやめたいと思ったことがあったかと思うが、今メダルを取って、そのときの自分にどういう声をかけたいか。
木原龍一選手:
やっぱり一度辞めた方が良いのかなって感じていたときは、だいたい2019年。璃来ちゃんからトライアウトの誘いを受ける直前くらいだったと思うんですけど、 自分のペアの技術力のなさをすごく感じていた時期でしたし、脳しんとうであったり肩関節唇損傷といったけがもあったので、もうそろそろ引退した方が良いのかなって思いは抱えていた時期だったと思うんですけど。
その時期の自分にかける言葉ですよね。 「とにかくもう少し頑張ってみよう。必ず良いこと待ってるから」って言う風に伝えたいかな。
──三浦選手はそれを受けて、どのように2人で歩んできたのか。
三浦璃来選手:
私たちがここまで成長してこれたのは、その7年前の瞬間もそうですし、その時に支えてくださった方々もそうですし、本当に何かどれか欠けてしまったら、ここまでたどり着くことはできなかったと断言できる。
すべての方々、そして龍一くんに、本当に感謝だなっていうふうに思っています。